【ボイスドラマ化全三部作】突然変異~mutation~【Youtube】
第八話 長閑-5
家に着くと、ソファーにゆっくり腰を下ろす。
「真衣。ごめんな。何も気付けなくて」
川島は木村の言動に気付いていながらも、なぜそうなったのかという理由について言及しなかったことを激しく悔やんだ。
それは深沢に対してもそうだった。
「いいの、どうせあたしはいなくなる運命なんだから。
ただ、有村さんと話せてよかったよ。これからこの国はいい方向に動いてくれればいいな。
DSGはもう使っちゃいけない薬だと私は思うから。愛ちゃんにもちゃんと言っておいてよ?
こんな薬二度と作るなー! って。ふふっ」
木村は最後はとぼけて見せた。
それは少し気分が元に戻ったからだろうか? それとも、無理やり笑顔を作っているのか、どちらか川島には分からなかった。
しかし、木村の気遣いや本来の無邪気な木村に戻ったんだなと思うとホッとしていた。
ただ、もうじきお別れがやってくることを考えると寂しさがよりいっそう増すのを感じられずに入られなかった。
川島は風呂に入りながら、今日一日の出来事とここ最近の木村のことを考えていた。
やはり自分が悪かったのだろう。という罪悪感でいっぱいになっているところ、木村からの声が聞こえる。
「健太、さっきも言ったでしょ? 誰も悪くないんだって。健太がいなかったら今の私たちは存在しなかったんだから。
こういう経験が出来ただけで十分。あたしなんてモデルだよ? ニュースキャスターとかありえない話だよ、本当に。
だから、悪いんじゃなくて感謝してる。楽しい時間だったからね。
だからこそ、DSGを悪用しようとするやつらが許せない。最後まで闘いきろうね!
これが木村真衣からの最後のお願いだよ! ねっ! 真也もそう思うでしょ?」
木村の口から発せられる前向きな発言に深沢も同調せざるを得なくなり、「あぁ」と返した。
二人の心境はきっと寂しさで満ちているのだと思ったが、辛くても切なくても二人はいつもと同じように明るく話し、川島を安心させようとする。
もし、自分がその立場だった場合、どういう風に言葉をかけるかなど考えれば考えるほど悲しいという感情でいっぱいになっていくのを彼は感じていた。
しかし、二人の明るさは自分のために無理をしてでも元気付ける精一杯の優しさだと感じると川島もその感情に応えて、しょげていてはいけないと後押しされる。
そのことに気付いて川島は「わかったよ」と一言つぶやくのが精一杯だった。
それ以上話を続けると、きっと、二人にも申し訳なくなる上に川島自身も辛さが増すだけだと思ったのだ。
そして、一連の出来事を振り返りながら、眠りに落ちていった。
「真衣。ごめんな。何も気付けなくて」
川島は木村の言動に気付いていながらも、なぜそうなったのかという理由について言及しなかったことを激しく悔やんだ。
それは深沢に対してもそうだった。
「いいの、どうせあたしはいなくなる運命なんだから。
ただ、有村さんと話せてよかったよ。これからこの国はいい方向に動いてくれればいいな。
DSGはもう使っちゃいけない薬だと私は思うから。愛ちゃんにもちゃんと言っておいてよ?
こんな薬二度と作るなー! って。ふふっ」
木村は最後はとぼけて見せた。
それは少し気分が元に戻ったからだろうか? それとも、無理やり笑顔を作っているのか、どちらか川島には分からなかった。
しかし、木村の気遣いや本来の無邪気な木村に戻ったんだなと思うとホッとしていた。
ただ、もうじきお別れがやってくることを考えると寂しさがよりいっそう増すのを感じられずに入られなかった。
川島は風呂に入りながら、今日一日の出来事とここ最近の木村のことを考えていた。
やはり自分が悪かったのだろう。という罪悪感でいっぱいになっているところ、木村からの声が聞こえる。
「健太、さっきも言ったでしょ? 誰も悪くないんだって。健太がいなかったら今の私たちは存在しなかったんだから。
こういう経験が出来ただけで十分。あたしなんてモデルだよ? ニュースキャスターとかありえない話だよ、本当に。
だから、悪いんじゃなくて感謝してる。楽しい時間だったからね。
だからこそ、DSGを悪用しようとするやつらが許せない。最後まで闘いきろうね!
これが木村真衣からの最後のお願いだよ! ねっ! 真也もそう思うでしょ?」
木村の口から発せられる前向きな発言に深沢も同調せざるを得なくなり、「あぁ」と返した。
二人の心境はきっと寂しさで満ちているのだと思ったが、辛くても切なくても二人はいつもと同じように明るく話し、川島を安心させようとする。
もし、自分がその立場だった場合、どういう風に言葉をかけるかなど考えれば考えるほど悲しいという感情でいっぱいになっていくのを彼は感じていた。
しかし、二人の明るさは自分のために無理をしてでも元気付ける精一杯の優しさだと感じると川島もその感情に応えて、しょげていてはいけないと後押しされる。
そのことに気付いて川島は「わかったよ」と一言つぶやくのが精一杯だった。
それ以上話を続けると、きっと、二人にも申し訳なくなる上に川島自身も辛さが増すだけだと思ったのだ。
そして、一連の出来事を振り返りながら、眠りに落ちていった。
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