【ボイスドラマ化全三部作】突然変異~mutation~【Youtube】
第八話 長閑-2
「あのさ、健太。あたし、キャスターやめようと思う。芸能界も」
帰宅して川島が夕ご飯を作っている時にふいに木村がつぶやいた。
とっさに食器を落として、床に破片が散乱してしまった。
さすがにあれだけモデル業界や芸能界を楽しく歩んでいたため、驚きを隠せなかったのだ。
「どうして? 確かに最近、真衣の様子はおかしいと思っていたけど。いったい真衣の中で何が起こってるんだ? 教えてくれないと俺たちには何もできないぞ」
川島はここ最近の木村の態度や言葉が明らかにモデルを始めたときの状態と比べてガラリと変わってしまっていて、何がその原因なのかを食器の破片を拾いながら聞こうとする。
「ううん、あたしだけの問題だから健太や真也には関係の無いことなの。
単純にもうこの業界でやっていくことは無理だと思う。さっきの週刊誌にも載ってたでしょ?
もうこれからはCMの起用もなくなっちゃうだろうし、あの記事に嘘はないからね。ただ……」
木村は最後の言葉を濁す。
「ただ?」
深沢も川島と同様に気になっていたため聞き返す。
「ううん、やっぱりいい。これはあたしが出した決断だから」
そう言うと、川島の体が木村へと変わっていく。またしても気持ちで変異することを忘れていたため川島は驚いた。
「真衣、変わるならちゃんと……。って何してるんだよ!?」
木村は持っていた携帯電話を取り出すとあるところに電話をかけ始めた。
「あ、もしもし。木村です」
「あら? どうしたの、真衣ちゃん」
電話の相手は高木だった。
「あたし、もう芸能界やめようと思います」
「え!? どうして?」
「理由は言えません。週刊誌にすっぱ抜かれたことは事実ですし、これから仕事も減ると思います。休業という言い訳やワガママはもう使えませんし、使いたくありません」
木村の口調ははっきりしたものだった。さすがの高木も首をひねるしかなかった。
「やめてどうするの? なにかしたいことでもあるの?」
そんな高木の問いに木村は自分の気持ちを明かすことにする。
「いえ、自分が悪いので、最近の悪態も自分がしたことです。いまさら何かしたいからやめる! なんて自分勝手な感情で動くつもりはありません。ただ、関係者の方々や視聴者の皆様に迷惑をかけたのは事実ですから」
高木は引き止めたかったが、これだけ気持ちが固まっている以上どうしようもないと悟っていた。
「分かったわ。でも、さすがに今クールの撮影やキャスターの仕事は受けてよね。契約を簡単に切ることができるなんて子供じみた考えは今の真衣ちゃんにはないと思うから」
その言葉に木村は「はい」と小さくつぶやいた。
帰宅して川島が夕ご飯を作っている時にふいに木村がつぶやいた。
とっさに食器を落として、床に破片が散乱してしまった。
さすがにあれだけモデル業界や芸能界を楽しく歩んでいたため、驚きを隠せなかったのだ。
「どうして? 確かに最近、真衣の様子はおかしいと思っていたけど。いったい真衣の中で何が起こってるんだ? 教えてくれないと俺たちには何もできないぞ」
川島はここ最近の木村の態度や言葉が明らかにモデルを始めたときの状態と比べてガラリと変わってしまっていて、何がその原因なのかを食器の破片を拾いながら聞こうとする。
「ううん、あたしだけの問題だから健太や真也には関係の無いことなの。
単純にもうこの業界でやっていくことは無理だと思う。さっきの週刊誌にも載ってたでしょ?
もうこれからはCMの起用もなくなっちゃうだろうし、あの記事に嘘はないからね。ただ……」
木村は最後の言葉を濁す。
「ただ?」
深沢も川島と同様に気になっていたため聞き返す。
「ううん、やっぱりいい。これはあたしが出した決断だから」
そう言うと、川島の体が木村へと変わっていく。またしても気持ちで変異することを忘れていたため川島は驚いた。
「真衣、変わるならちゃんと……。って何してるんだよ!?」
木村は持っていた携帯電話を取り出すとあるところに電話をかけ始めた。
「あ、もしもし。木村です」
「あら? どうしたの、真衣ちゃん」
電話の相手は高木だった。
「あたし、もう芸能界やめようと思います」
「え!? どうして?」
「理由は言えません。週刊誌にすっぱ抜かれたことは事実ですし、これから仕事も減ると思います。休業という言い訳やワガママはもう使えませんし、使いたくありません」
木村の口調ははっきりしたものだった。さすがの高木も首をひねるしかなかった。
「やめてどうするの? なにかしたいことでもあるの?」
そんな高木の問いに木村は自分の気持ちを明かすことにする。
「いえ、自分が悪いので、最近の悪態も自分がしたことです。いまさら何かしたいからやめる! なんて自分勝手な感情で動くつもりはありません。ただ、関係者の方々や視聴者の皆様に迷惑をかけたのは事実ですから」
高木は引き止めたかったが、これだけ気持ちが固まっている以上どうしようもないと悟っていた。
「分かったわ。でも、さすがに今クールの撮影やキャスターの仕事は受けてよね。契約を簡単に切ることができるなんて子供じみた考えは今の真衣ちゃんにはないと思うから」
その言葉に木村は「はい」と小さくつぶやいた。
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