第三話　河井編

無理やり高校に入学させられた上、一人暮らしまでしていることになった河井だが、仕方なく高校へは通っていた。

　勉強面に関しては科学者である西岡による答えの耳打ちで成績上位をキープしていた。

　しかし、せっかく高校生になったのだからとまばらに友人関係を築いていった。

　あらゆる人と仲良くなったが、とりわけ一番仲良くなったのは不良グループと呼ばれる少し悪い仲間たちだった。

　成績優秀で不良というギャップに憧れていたからかもしれない。

　そのため、学校帰りにはゲーセンに行ったり、原付バイクの後ろに乗ってパトカーに追いかけられたりとスリル満点な遊びがやめられなくなっていた。

　西岡の体は河井の意思のみで変幻自在なため好き放題だった。

　しかし、やはり西岡も黙ってはいないので、しっかり夜八時には帰って研究に没頭する毎日になっていた。

　一人暮らしということで不良仲間たちは遊びに行きたいと口々に言ったが、それだけは断っていた。

　研究に支障が無い限りどんなことをしてもかまわないということではあったが、西岡の顔も立てないともう遊びに行けないと思い、しっかり約束だけは守っていた。

　ゲーセンやバイクの乗り回し、ロケット花火を手で掲げるなど楽しい毎日は瞬く間に過ぎていった。

　そして、西岡が新山の元で研究を始めてしまうと河井は高校へは行かなくなった。



「おーい？　元気してるか？」



「学校来ないのか？」



「みんな待ってるぜ！」



　河井の元へはたくさんのこういったメールが送られてきていた。

　河井はあんな連中でも友情を大事にしていて胸がジーンとなった。


　そうして、西岡は研究に時間を食われてしまい河井は高校をやめることになる。

「不良」という括りにしてはいけないなにか熱い思いを受け取って高校生活に終止符を打った。

　彼らからのメールはまたしても河井を寂しくさせた。



「またいつか、一緒にバカやろうな！」



　思い思いのメールの返信をして河井は消えていくことになるのだった。