【ボイスドラマ化全三部作】突然変異~mutation~【Youtube】
第十四話 奇妙(改編済み)
「お疲れさん」
川島は木村に一言言うと、夕食の用意を始めた。ここからの作業はいつも彼の仕事だ。
こうして自分の体に戻ると、初めはこの状況が不思議に思えて仕方なかったのだが、今では「こうなって結構経つな」とどこか楽観視出来るようになっていた。
そんなことを考えつつ、夕食を済ませテレビを観たりして、いつもと変わらない時間を過ごした。彼は火曜の一日と水曜の夕方まで授業を受けた。
「真也、夕方からお前の時間だぞ?」
声をかけるが返事はなかった。
「おい、真也! どうしたんだよ? 今日はお前が使う曜日だろ?」
またしても応答はなかった。とうとう自分の体に戻ったかのように思えた。
「戻ったんだ。一錠しか飲んでなかったから効力が切れたんだ!」
そう叫んだ瞬間、頭の中にある声が響きわたる。
「なに叫んでるの? 戻ってなんかいないよ」
木村の呆れたような声だった。少しはしゃいでいた川島の動きは一瞬にして止まった。
「あれ? 真衣いたのか?」
いかにも冷静なふりをして彼は言った。
「当たり前。いるに決まってんじゃん」
彼女は嘲笑しながら言った。そんな彼女の対応を受けながら、彼は反応しなかった深沢に腹が立った。
「真也! いるんだろ! 返事ぐらいしろよ!」
怒鳴る彼の言葉にようやく深沢が反応する。
「悪い。今日は夜から交代してくれればいいから。それまで健太が使ってくれ」
ようやく反応したかと思うと、端的に言葉を返した。川島には意味が分からなかった。しかし、深沢の様子がおかしいと思うより腹立たしさの方が強かった。
「わかったよ。ったく。返事ぐらいしろよ」
「もういい!」と言わんばかりに言い放った。こうして、夜まで自分の時間を使うことにした。これといった特別なことはせず、いつもと同様にテレビを観たり、友達とメールしたり、小説を読んだりしてゆったりした時間を過ごした。時刻は夜七時を回った頃をさしていた。
「健太、そろそろ変わってくれるか?」
不意に深沢の声がして、代わってもらうよう懇願された。この時にはもう川島の腹の虫もおさまっていた。
「分かった」
深沢に体をすんなりと受け渡す。体が変わると、自分の服に着替えて外に出かけて行く。外へ出ると、いつものようにキャッチで溢れかえっている街中へと入っていく。
他の二人は未だにこの行動が意味するものがわからなかった。しかし、ここ数日同じ行動を繰り返していたので余り気にも留めていなかった。
思った通り街をぶらついて、夜遅くに家に帰ってきた。何を買うわけでもなく、街を徘徊するだけだった。二人は深沢から何か話してくれるだろうと思っていた。
「健太、ありがとう。交代してくれ」
家に着いてから深沢は一言だけ言って川島に交代した。結局、この日も彼からの説明は何もなかった。交代してすぐに眠りについた。
川島は木村に一言言うと、夕食の用意を始めた。ここからの作業はいつも彼の仕事だ。
こうして自分の体に戻ると、初めはこの状況が不思議に思えて仕方なかったのだが、今では「こうなって結構経つな」とどこか楽観視出来るようになっていた。
そんなことを考えつつ、夕食を済ませテレビを観たりして、いつもと変わらない時間を過ごした。彼は火曜の一日と水曜の夕方まで授業を受けた。
「真也、夕方からお前の時間だぞ?」
声をかけるが返事はなかった。
「おい、真也! どうしたんだよ? 今日はお前が使う曜日だろ?」
またしても応答はなかった。とうとう自分の体に戻ったかのように思えた。
「戻ったんだ。一錠しか飲んでなかったから効力が切れたんだ!」
そう叫んだ瞬間、頭の中にある声が響きわたる。
「なに叫んでるの? 戻ってなんかいないよ」
木村の呆れたような声だった。少しはしゃいでいた川島の動きは一瞬にして止まった。
「あれ? 真衣いたのか?」
いかにも冷静なふりをして彼は言った。
「当たり前。いるに決まってんじゃん」
彼女は嘲笑しながら言った。そんな彼女の対応を受けながら、彼は反応しなかった深沢に腹が立った。
「真也! いるんだろ! 返事ぐらいしろよ!」
怒鳴る彼の言葉にようやく深沢が反応する。
「悪い。今日は夜から交代してくれればいいから。それまで健太が使ってくれ」
ようやく反応したかと思うと、端的に言葉を返した。川島には意味が分からなかった。しかし、深沢の様子がおかしいと思うより腹立たしさの方が強かった。
「わかったよ。ったく。返事ぐらいしろよ」
「もういい!」と言わんばかりに言い放った。こうして、夜まで自分の時間を使うことにした。これといった特別なことはせず、いつもと同様にテレビを観たり、友達とメールしたり、小説を読んだりしてゆったりした時間を過ごした。時刻は夜七時を回った頃をさしていた。
「健太、そろそろ変わってくれるか?」
不意に深沢の声がして、代わってもらうよう懇願された。この時にはもう川島の腹の虫もおさまっていた。
「分かった」
深沢に体をすんなりと受け渡す。体が変わると、自分の服に着替えて外に出かけて行く。外へ出ると、いつものようにキャッチで溢れかえっている街中へと入っていく。
他の二人は未だにこの行動が意味するものがわからなかった。しかし、ここ数日同じ行動を繰り返していたので余り気にも留めていなかった。
思った通り街をぶらついて、夜遅くに家に帰ってきた。何を買うわけでもなく、街を徘徊するだけだった。二人は深沢から何か話してくれるだろうと思っていた。
「健太、ありがとう。交代してくれ」
家に着いてから深沢は一言だけ言って川島に交代した。結局、この日も彼からの説明は何もなかった。交代してすぐに眠りについた。
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