【ボイスドラマ化全三部作】突然変異~mutation~【Youtube】
シーズン1 第一話 疑念(改編済み)
一人の女性が研究室にこもり、パソコンを触っている。部屋の中は薬品のビンやフラスコ、試験管といった理科室を思い出させるような器具であふれている。
彼女の名前は新山 愛。科学者であり、整形外科医としての資格も持っている。年齢は二十五歳。キーボードのエンターキーを二回リズムよくたたき、彼女は声を上げた。
「できた! やっぱり私って天才だわ」
声をあげると同時に立ち上がったので、着ていた白衣がひらひらと舞った。彼女は休む間もなく、試験管を持ち出し、紫色をした液体を試験管に注ぐ。
そうして試験管立てに立てかけ、もう一本試験管を用意する。今度は緑色の液体を注ぐ。初めの試験管に緑色の液体を注ぎ、軽く振り始める。音を立てて爆発することもなく、穏やかに混ざっていく。
彼女は納得の表情を見せながら、注射器を手に取る。液体を注射器に吸引していく。ある程度、量を採ると試験管を立てかけて注射器を持って移動する。
やってきた部屋は実験室と書かれていた。部屋の中には数百ものケージがあり、モルモットが飼育されていた。その中の一匹を取り出して、注射器を当てる。モルモットは鳴きながら新山の手に掴まれている。
新山はモルモットに濁った色の液体を注入し、足に印をつけた。
「うまくいってよ。理論上は完璧なんだから」
そう呟いて、モルモットをケージに戻し、実験室を後にした。
翌日、彼女は実験室へやってきた。例の足に印がついたモルモットを掴み、念入りに調べ始めた。モルモットは鳴きもせず、静かだ。モルモットの体中をじっくりと見てからこう言った。
「完璧! 理論通りだわ」
彼女は研究室へ戻り、昨日液体にするために溶かした粉末をカプセルに注入する。試作段階として同様のカプセルを四錠作ることにした。数時間後、カプセルは完成した。出来上がったカプセルをカプセルケースに入れ、机の上に置いて研究室を後にした。
彼女が研究所を出て行ってから数時間後、ある男が研究所へ入ってきた。
ここは都心の街の中、一人の男性が道を歩いている。
「あー、退屈だな」
彼の名前は川島 健太。私立深川大学法学部二回生。年は二十歳。ある田舎から都会へ引っ越して来て一人暮らしをしている普通の大学生だ。
たった今、大学の授業を終え、帰路につくところだった。彼はふと、今日は違う道を通って駅まで向かおうと思った。いつもと違う帰り道は雰囲気が異なり、あらゆる店が新鮮に見えた。そこで、ふとある店が目に入った。
店の看板に『秘妙堂』と書かれていた。彼は自然とその店に足を踏み入れていた。店内を見渡す限り、雑貨店のようだった。商品には香水やアンティークな小物、奇妙な薬品などがあった。その中のあるものが彼の目に止まった。
それは薬品の分類棚に置かれているたった一錠しかないカプセル剤だった。
「おい、おやじ。この薬は何なんだ?」
店の店主と見られる男は高齢で白いひげを生やしていた。店主は川島の近くへやって来てその薬をケースごと持ち上げた。
「こいつはな、ついさっき入ったんじゃ。五十代くらいの白衣を着た男が一錠だけ置いていきよった」
「効力は何なんだ?」
「さぁて、なんと言ったかな。何やら体が男から女に、女から男に変わると言っておったかの」
川島は性別が変わると聞いて疑わずにはいられなかった。男から女に変わると言えば、今は手術やオネェキャラになるくらいだろう。こんな一つのカプセルで性別が変わるなんて、ありえないことだ。でも、もし本当ならすごいことだ。彼は好奇心から店主に聞いた。
「これ、いくらだ?」
「うちは、商品に値札はつけとらん。客が買いたい値段で売る。いくらで買うかの?」
彼は少し考えた。もし本当に性別が変化するなら、安い値段をつけるのは人が悪い気がする。無難な値段をつけるのに苦労したが、結局、こう言った。
「五千円」
「よし、売った。しかし、これは薬物じゃ。多少取引に手続きが必要じゃ。とりあえずこれを書いてくれ」
そう言うと、店主は川島に一枚の用紙を差し出した。その用紙には氏名、性別、年齢、職業などの項目があった。「面倒だな」と思いながら項目を埋めていった。店主に用紙を提出し、カプセルケースを受け取った。
「本当にこんなもので性別が変わるのか? 第一、体が変化するのかよ。怪しすぎるぜ」
家に帰り、ベッドに横になりながらカプセルケースを睨んでいた。数分後、腰を上げ夕食の準備をして、食事を済ませた。そして、半信半疑ながらも薬を飲むことを決意した。薬を手に取り、コップに水を注ぐ。じっと薬を見つめた後、口に薬と水を同時に含み飲み干した。
変化がみられないうちに彼は眠ることにした。
彼女の名前は新山 愛。科学者であり、整形外科医としての資格も持っている。年齢は二十五歳。キーボードのエンターキーを二回リズムよくたたき、彼女は声を上げた。
「できた! やっぱり私って天才だわ」
声をあげると同時に立ち上がったので、着ていた白衣がひらひらと舞った。彼女は休む間もなく、試験管を持ち出し、紫色をした液体を試験管に注ぐ。
そうして試験管立てに立てかけ、もう一本試験管を用意する。今度は緑色の液体を注ぐ。初めの試験管に緑色の液体を注ぎ、軽く振り始める。音を立てて爆発することもなく、穏やかに混ざっていく。
彼女は納得の表情を見せながら、注射器を手に取る。液体を注射器に吸引していく。ある程度、量を採ると試験管を立てかけて注射器を持って移動する。
やってきた部屋は実験室と書かれていた。部屋の中には数百ものケージがあり、モルモットが飼育されていた。その中の一匹を取り出して、注射器を当てる。モルモットは鳴きながら新山の手に掴まれている。
新山はモルモットに濁った色の液体を注入し、足に印をつけた。
「うまくいってよ。理論上は完璧なんだから」
そう呟いて、モルモットをケージに戻し、実験室を後にした。
翌日、彼女は実験室へやってきた。例の足に印がついたモルモットを掴み、念入りに調べ始めた。モルモットは鳴きもせず、静かだ。モルモットの体中をじっくりと見てからこう言った。
「完璧! 理論通りだわ」
彼女は研究室へ戻り、昨日液体にするために溶かした粉末をカプセルに注入する。試作段階として同様のカプセルを四錠作ることにした。数時間後、カプセルは完成した。出来上がったカプセルをカプセルケースに入れ、机の上に置いて研究室を後にした。
彼女が研究所を出て行ってから数時間後、ある男が研究所へ入ってきた。
ここは都心の街の中、一人の男性が道を歩いている。
「あー、退屈だな」
彼の名前は川島 健太。私立深川大学法学部二回生。年は二十歳。ある田舎から都会へ引っ越して来て一人暮らしをしている普通の大学生だ。
たった今、大学の授業を終え、帰路につくところだった。彼はふと、今日は違う道を通って駅まで向かおうと思った。いつもと違う帰り道は雰囲気が異なり、あらゆる店が新鮮に見えた。そこで、ふとある店が目に入った。
店の看板に『秘妙堂』と書かれていた。彼は自然とその店に足を踏み入れていた。店内を見渡す限り、雑貨店のようだった。商品には香水やアンティークな小物、奇妙な薬品などがあった。その中のあるものが彼の目に止まった。
それは薬品の分類棚に置かれているたった一錠しかないカプセル剤だった。
「おい、おやじ。この薬は何なんだ?」
店の店主と見られる男は高齢で白いひげを生やしていた。店主は川島の近くへやって来てその薬をケースごと持ち上げた。
「こいつはな、ついさっき入ったんじゃ。五十代くらいの白衣を着た男が一錠だけ置いていきよった」
「効力は何なんだ?」
「さぁて、なんと言ったかな。何やら体が男から女に、女から男に変わると言っておったかの」
川島は性別が変わると聞いて疑わずにはいられなかった。男から女に変わると言えば、今は手術やオネェキャラになるくらいだろう。こんな一つのカプセルで性別が変わるなんて、ありえないことだ。でも、もし本当ならすごいことだ。彼は好奇心から店主に聞いた。
「これ、いくらだ?」
「うちは、商品に値札はつけとらん。客が買いたい値段で売る。いくらで買うかの?」
彼は少し考えた。もし本当に性別が変化するなら、安い値段をつけるのは人が悪い気がする。無難な値段をつけるのに苦労したが、結局、こう言った。
「五千円」
「よし、売った。しかし、これは薬物じゃ。多少取引に手続きが必要じゃ。とりあえずこれを書いてくれ」
そう言うと、店主は川島に一枚の用紙を差し出した。その用紙には氏名、性別、年齢、職業などの項目があった。「面倒だな」と思いながら項目を埋めていった。店主に用紙を提出し、カプセルケースを受け取った。
「本当にこんなもので性別が変わるのか? 第一、体が変化するのかよ。怪しすぎるぜ」
家に帰り、ベッドに横になりながらカプセルケースを睨んでいた。数分後、腰を上げ夕食の準備をして、食事を済ませた。そして、半信半疑ながらも薬を飲むことを決意した。薬を手に取り、コップに水を注ぐ。じっと薬を見つめた後、口に薬と水を同時に含み飲み干した。
変化がみられないうちに彼は眠ることにした。
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