俺と妹の異世界人生

神田礫

遠方の街

朝目が覚めた。
窓からは太陽の光が差し込んでいた。

「おい、誌乃起きろ」

「ん?あ、おはようお兄ちゃん」

半分起きていない状態の誌乃はベットから体を起こす。

「今日は少し遠いが街に行くからな」

そう、今日の二人の予定はこうである。

朝早くから街を出て少し遠くの街まで行き、装備一式を揃え、クエストを受ける。

「うん、分かってる。でも装備はここで揃えて行ったほうがいいんじゃないの?」

誌乃の意見は最もである。
だが隼斗には考えがあった。

「大丈夫だ。まず俺達にはバイクがある。それに途中で魔物にあっても魔法が撃てるだろ。そこで魔物の素材が手に入ったら換金もできる」

「ちゃんと考えがあったんだ」

「人を考えてないやつみたいに言うんじゃない。失礼だぞ」

「違うの?」

「ちげぇよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「誌乃!誌乃!助けて!!お願い!!いや、お願いします!!神様、仏様、誌乃様ぁ〜!!!」

「やってる!やってるから!でもさっきからあたらないんだって!!」

絶賛襲われ中。
バイクで移動したのはいいものの、そこからが問題だった。
地中で行動している、アンダーシャークという魔物がバイクの音に反応したのか追いかけてくるのだ。

異世界最悪。
そんな言葉が隼斗と誌乃の頭の中で流れる。

「クソ!こうなったら!」

そう言いブレーキをかけバイクから降りた。

「食らえ!!」

やけくそ気味に隼斗が拳を構えアンダーシャークを迎え撃つ。
いくら身体的な能力が高いからと言って拳だけで大丈夫だろうか。

「シャアア!!!」

舐めんな!!と、言わんばかりの声を出すアンダーシャーク。

そして、

「うるるるるァァァ!!」

結構巻き舌な声を出し拳を出した。
すると、

ボワァァ
実際はこんな音はなっていないのだが、まるでなっているかのように黒い何かが隼斗の拳を包んだ。

「何だ!!」

すると、拳が当たりそうになったアンダーシャークは地中に潜った。

「うおっ!」

いきなり潜られた隼斗は拳をすかし体勢を崩される。

「っ、あっぶねぇ」

(何なんだ一体?)

「大丈夫お兄ちゃん?」

「あぁ。じゃっ、行くか誌乃」

「うん」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゴガァーーン!
バーーーーン!!
あぁ!俺の大事な振動する棒がぁ!!

「何なんだよ一体!」

街の門の前につくとそんな声が聞こえた。
三番目の声が気になるのだがそんなことよりも、問題が起きてる事が問題なのである。

「ほんっと嫌異世界…」

誌乃もこんな感じ。

「とりあえず行くぞ誌乃!」

「うん!」

そう、冒険者となった以上はこれは仕事である。

「一体何がどうなってやがる!」

「何でこんな事に!」

「ざけてやがる!この野郎!!」

ひどい有様だった。
女子供も関係なしに殺されている。

「ハハッ!面白い!!面白すぎるぞ!!」

そんな声が聞こえた。

(今、何つったんだ…面白い?これが?これのどこがおもしれぇってんだよ。狂ってやがる…これが異世界なのか)

初めて異世界の恐ろしさを知った。
魔法の存在、それは人間をここまでにするもの。そして、そうなった人間をとめるのもまた魔法なのである。

「おい…お前!!」

「お兄ちゃん…」

「ん?あぁ?何なんだい?君たち」

「お前!これやっておもしれぇのか!」

この言葉は別に正義の意識があったわけではない。これはただの確認。

「面白いからやってるんだけど。それがどうかした?」

「オーケー…お前は絶対に殺す!」

「ハハッ!面白い!やろうじゃないか!」







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