お祈りしたら美少女になった話

yukoami

第12話 才能とあだ名





俺には前からこれと言った才能は無かった。
成績なんか下の上くらいだし、体力も下の方ならスポーツも上手くない。歌も微妙だし声もきもい。
俺はこんなに何も取り柄がなかった。

だが今俺は驚いている。
そのわけは、体力テストで今までとほとんど成績が変わらないのだ。
つまり、男子の中では中の下だった運動能力がそのまま受け継がれ、結果的に女子の中では上位に入ったという事だ。
「篠生。頑張ったな。」
体育の先生も褒めてくれていた。
「ありがとうございます!」
「瑠夏にそんな才能があったなんて...!」
「1番びっくりしてるのはお...私だよ。」
「今俺って言いかけた!
運動能力が男の頃と変わらなかったからって油断しちゃだめだからね!」
「き、気をつけます」

握力は流歌よりもなかったけど、運動能力はそこそこあるみたいだ。
自分でもびっくりしている。
今まで気にしてなかったから自分がどの程度運動が出来るかなんてわからなかった。
新たな才能が出て来た気がして嬉しい限りである。



眠くなった頃にやってくるお昼の時間だ。
でも何故か、前の方がご飯は楽しみだったかな。今の身体は殆ど胃に入らないからな。
「ねぇねぇ二人とも〜」
黒崎さんだ。
「ん〜?」
「二人とも名前が「るか」じゃん?
どっちかを呼ぶ時少し困るな〜と思ってさ、苗字で呼ぶにしても若林って長いから、篠生瑠夏は「なつ」若林流歌は「うた」って呼ぶことにするわ!」
「お、おぉ、いいかも...!」
「確かにその方がいいかもね!」
俺も流歌も新たなあだ名(?)をすぐに気に入った。
「そしたら夏さ、黒崎さん呼びはやめて眞冬って呼んでね〜」
「う、うん、分かった、ま、眞ふゅ...」
「なになにこの反応!超可愛いんだけど!!」
「からかうな!やめろ!」
「眞冬ちゃんお手柔らかにね!」
「歌は夏のお母さんみたいだよね〜」
「そ、そんなこと「あるある!」
「もう、瑠夏まで!」
「むしろうちの母親より数倍も母親らしいよ」
「そ、そっか。」
今となっては2人の母親なのだがな。
そして、俺は初めて貰えたあだ名が嬉しくて、心の中はお花畑状態だ。
瑠夏という名前は、男の頃散々からかわれてきたが、今となってこの名前でよかったと思えた。
「にしても夏って酷い少食よね〜。
見てるこっちがお腹すいてくる。」
「自分では食べれそうなのに、全然お腹に入らないんだよね。」
「へぇ。
にしてはいいもの持ってるけどね!」
と言うと俺の胸をつついた。
「ひぁっ!!」
ビックリして変な声が出てしまった。
眞冬はそんな俺の反応を見てニヤニヤしている。覚えておけ。

そのあとの教室は男子が一斉にいなくなったらしい。


夜、家に帰ってきてから俺は部屋でずっと寂しげに残った男物の衣類を見ていた。
さすがに捨てられずいくつか残しておいたのだ。
今の俺の部屋は前より数段広く、しかも前と違って女の子らしく明るい部屋になっている。
何もかもが変わった。
「よし、着てみるか。」
今まで着ていた服を手に取ると前に比べてかなり大きく感じる。
「よいっしょ」
ほぼワンピース状態だ。
胸以外はほとんど幼児体型なこの身体にこの服はなんかアウトな気がするな...。
ロリっ子みたいになってしまった自分を見て、恥ずかしくなり顔を隠した。
「男も悪くなかったのかなぁ...。」
俺には男の心が残っている。
だから、自分の身体を見たり触ったり、それだけで興奮することは今でもある。
風呂や着替えやトイレは今でも緊張してしまう。
「本当に私は男だったんだな。」
いまだに私という一人称に違和感を覚える。
これからどうなって行くのだろうか。
そんなことを考えていると気づいたら眠りについていた。


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