トカゲな俺の異世界迷宮生活
No.21 ゲーマー女神
謎の首長竜出現から少したって。
なんとかタール草を餌にして15センチ大の魚を4匹釣り上げることに成功した俺達は、《焔の牙》で作った焚き火を前にして、焼き魚を料理していた。
『ほんと、こうしてみると………電子レンジのありがたみが見に染みるよなぁ………』
『そッスね………。ほんと、地球の科学は偉大だったんスねぇ………』
魚に枝を刺して焼くという、極めて原始的なやり方をする俺達は、改めて科学の偉大さを実感していた。とくに電子レンジ、あれはすごい発明だったのだ………!
と男2人が料理を作っている中。なんだかんだで持ちつ持たれつの関係性(?)であるうちの女神様といえば………。
『まーだ出来ないんですかぁ?私、お腹空いたんですけどー!』
『はいはい、今作ってるから静かにしてろ』
『そうッスよ、1人だけ働かないくせに』
もはやドSというか、幼児後退的な症状へと陥っていた。というかあれは、ただのダメ人間だ。
『まったく、少しは働けって………』
『ま、所詮神様なんてあんなもんッスよ………』
『それもそうか』
ぶつぶつ言いながらも焚き火の周りに魚つきの枝を刺して焼き始める俺達。すると、さすがのリリナさんも働く気になったのか、むくりと身体を起こし………。
パチン、と指を鳴らす。
そしてどこからともなく出現するのは、日本、いや世界でお馴染みの電子機器。そう、テレビだ。
『『……は?』』
突如リリナさんが行った召喚の意味が分からず呆然とする俺達。だが、当の女神様はそんなことはお構いなしに2つ折りのゲーム機を取り出して、電源を付けたかと思うと………。
『さぁて、今日も頑張りますか!』
と意気込み新たに、ゲーム機片手にテレビでアニメを見始めるのだった。
「ひゃっふー!」だの「ふおぉぉぉ!」だの、謎の怪音を発するリリナさん。どうやら頭のネジが数本まとめて消し飛んだらしい。これは早急に治療が必要である。主に頭の。
こくり、とコーキと無言でアイコンタクトを交わした俺は、コーキと同時に焚き火でふっくら焼き上がった焼き魚を手にとって―――
ジュッ!
『あっつぁぁぁぁぁぁ!?』
同時に両方のほっぺたを焼かれてのたうち回るリリナさん。だが、この程度の一撃で収まる怒りではない。
『おいコラ、あんた1人で何やってんだよ』
『え………?何って、とある配管工兄弟が拐われた姫を助けるために各地を回って敵を抹殺しながら最後にはカメ型の魔王をぶっ殺すファンタジー物ですよ?』
『その説明じゃぜんぜんファンタジーじゃねえよ。ゲーム内容バイオレンスに全フリしてんのか』
どこかで聞いたようなゲームだったが、おそらく地球の某有名企業の看板作ではないだろう。何故なら、例の配管工兄弟とやらのカラーが両方緑だから。 
『………一応聞こう。このゲームの名前は?』
『スーパーマリモブラザーズです』
『微妙にパチモンじゃねぇか』
マリモってあれか。北海道で売ってる緑色の球体の。というか敵はともかく、せめて味方くらい人間にしてあげて欲しい。
『んで?そのパチモンをどうしてこんなとこでやってんだよ』
『ふっ、愚問ですね海翔さん。ゲーマーがプレイするのなんて、目の前にゲームがあったから以外に考えられますか!?』
『ああ、うん。実際リリナさんが召喚するまで目の前には無かったハズなんだけどな』
どうしよう、この痛いドヤ顔を決めている1/16スケールの生物は本当に女神様なのだろうか。いや違う、絶対にあり得ない。
『ま、神様なんてそんなもんッスよね』
『だよな。過度な期待は厳禁、か………』
もはや定番化しつつあるコーキとの会話をしながら、そっとゲーム機とテレビを掴んで、よっこいしょと言って持ち上げる。
『え、ちょっ………?』
困惑するリリナさんを他所に、俺達はゆっくりとそれを湖の方へと運んで………。
『『そーれっと!』』
おもいっきりぶん投げた。
『ああぁぁぁぁぁぁ!!!わ、私の戦友達がっ!』
悲鳴を上げてせめてゲーム機だけでもと走り出すリリナさん。だが、その手が宙を舞う電子機器に届く寸前で。
派手な水飛沫と共に、巨大な魚類登場。そのシャチのような白黒模様のサメは、大きな口で電子機器をぱくっと丸飲みして湖へと消えていった。
『ああぅ………。死んだ………死にました私………』
うわごとのようにそう繰り返すリリナさん。もはや廃人の領域へと片足つっこむどころか頭からダイビングしているらしい。仮にも女神なのにそれはどうなのだろうか。
そのままリリナさんは10分ほど臨死っていたかと思うと、おもむろに立ち上がって焚き火のところにあった真っ黒に焦げた魚の成れの果てを両手に1本ずつ掴むと………。
『この場で処刑してやるッ!』
『なっ………二刀流、だと!?』
『バカな!?ここはまだ覚醒する時ではないのに!』
こうして、壮絶な戦いの火蓋が切って落とされたのだった………。その後、壮絶な空腹と戦いながら激しく後悔することになるのだが………それはまた次回のお話。
なんとかタール草を餌にして15センチ大の魚を4匹釣り上げることに成功した俺達は、《焔の牙》で作った焚き火を前にして、焼き魚を料理していた。
『ほんと、こうしてみると………電子レンジのありがたみが見に染みるよなぁ………』
『そッスね………。ほんと、地球の科学は偉大だったんスねぇ………』
魚に枝を刺して焼くという、極めて原始的なやり方をする俺達は、改めて科学の偉大さを実感していた。とくに電子レンジ、あれはすごい発明だったのだ………!
と男2人が料理を作っている中。なんだかんだで持ちつ持たれつの関係性(?)であるうちの女神様といえば………。
『まーだ出来ないんですかぁ?私、お腹空いたんですけどー!』
『はいはい、今作ってるから静かにしてろ』
『そうッスよ、1人だけ働かないくせに』
もはやドSというか、幼児後退的な症状へと陥っていた。というかあれは、ただのダメ人間だ。
『まったく、少しは働けって………』
『ま、所詮神様なんてあんなもんッスよ………』
『それもそうか』
ぶつぶつ言いながらも焚き火の周りに魚つきの枝を刺して焼き始める俺達。すると、さすがのリリナさんも働く気になったのか、むくりと身体を起こし………。
パチン、と指を鳴らす。
そしてどこからともなく出現するのは、日本、いや世界でお馴染みの電子機器。そう、テレビだ。
『『……は?』』
突如リリナさんが行った召喚の意味が分からず呆然とする俺達。だが、当の女神様はそんなことはお構いなしに2つ折りのゲーム機を取り出して、電源を付けたかと思うと………。
『さぁて、今日も頑張りますか!』
と意気込み新たに、ゲーム機片手にテレビでアニメを見始めるのだった。
「ひゃっふー!」だの「ふおぉぉぉ!」だの、謎の怪音を発するリリナさん。どうやら頭のネジが数本まとめて消し飛んだらしい。これは早急に治療が必要である。主に頭の。
こくり、とコーキと無言でアイコンタクトを交わした俺は、コーキと同時に焚き火でふっくら焼き上がった焼き魚を手にとって―――
ジュッ!
『あっつぁぁぁぁぁぁ!?』
同時に両方のほっぺたを焼かれてのたうち回るリリナさん。だが、この程度の一撃で収まる怒りではない。
『おいコラ、あんた1人で何やってんだよ』
『え………?何って、とある配管工兄弟が拐われた姫を助けるために各地を回って敵を抹殺しながら最後にはカメ型の魔王をぶっ殺すファンタジー物ですよ?』
『その説明じゃぜんぜんファンタジーじゃねえよ。ゲーム内容バイオレンスに全フリしてんのか』
どこかで聞いたようなゲームだったが、おそらく地球の某有名企業の看板作ではないだろう。何故なら、例の配管工兄弟とやらのカラーが両方緑だから。 
『………一応聞こう。このゲームの名前は?』
『スーパーマリモブラザーズです』
『微妙にパチモンじゃねぇか』
マリモってあれか。北海道で売ってる緑色の球体の。というか敵はともかく、せめて味方くらい人間にしてあげて欲しい。
『んで?そのパチモンをどうしてこんなとこでやってんだよ』
『ふっ、愚問ですね海翔さん。ゲーマーがプレイするのなんて、目の前にゲームがあったから以外に考えられますか!?』
『ああ、うん。実際リリナさんが召喚するまで目の前には無かったハズなんだけどな』
どうしよう、この痛いドヤ顔を決めている1/16スケールの生物は本当に女神様なのだろうか。いや違う、絶対にあり得ない。
『ま、神様なんてそんなもんッスよね』
『だよな。過度な期待は厳禁、か………』
もはや定番化しつつあるコーキとの会話をしながら、そっとゲーム機とテレビを掴んで、よっこいしょと言って持ち上げる。
『え、ちょっ………?』
困惑するリリナさんを他所に、俺達はゆっくりとそれを湖の方へと運んで………。
『『そーれっと!』』
おもいっきりぶん投げた。
『ああぁぁぁぁぁぁ!!!わ、私の戦友達がっ!』
悲鳴を上げてせめてゲーム機だけでもと走り出すリリナさん。だが、その手が宙を舞う電子機器に届く寸前で。
派手な水飛沫と共に、巨大な魚類登場。そのシャチのような白黒模様のサメは、大きな口で電子機器をぱくっと丸飲みして湖へと消えていった。
『ああぅ………。死んだ………死にました私………』
うわごとのようにそう繰り返すリリナさん。もはや廃人の領域へと片足つっこむどころか頭からダイビングしているらしい。仮にも女神なのにそれはどうなのだろうか。
そのままリリナさんは10分ほど臨死っていたかと思うと、おもむろに立ち上がって焚き火のところにあった真っ黒に焦げた魚の成れの果てを両手に1本ずつ掴むと………。
『この場で処刑してやるッ!』
『なっ………二刀流、だと!?』
『バカな!?ここはまだ覚醒する時ではないのに!』
こうして、壮絶な戦いの火蓋が切って落とされたのだった………。その後、壮絶な空腹と戦いながら激しく後悔することになるのだが………それはまた次回のお話。
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