主徒リングの契約

雪村 ましろ

喧嘩。

「そんなに警戒せんでも、なんもする気あらへん。」

キリトは佳代子にかなり警戒している。
「そう言って何人殺してきたんですか。」

「そんな殺しとらへん…ちゃんと半殺しでやめたげたやん?」

「貴女の半殺しは、後遺症が残るか、醜い姿にすることですよね?そのおかげで自殺者が多発してたいへんだったんですよ?」
キリトの顔には怒りが浮かんでいた。

「かいちゃんも、言うようになったなぁ。」

「カカカッ…安心し、その子に傷付ける気はあらへんて。」

「どうだか。妹に似て違う人間、そんな似非に頼る貴女の言うことなんて信じられませんがね。」

似非、似てるが全く違うもの…か。
ほんま、馬鹿にするのも大概にしてほしいなぁ。
怪物の分際でっ…!

「ええかげんにしいや、この半端者が。」

その一言でキリトは少し震える。

半端者。
何度言われたのだろうか?
覚えていない、数えきれない。
誰も僕のことを僕として見てくれなかった。
僕が誰とも違う、怪物だから。

「人でもうちらみたいな証ももたへん、怪物が何を人面してるんや?どっちでもない半端者は…」

「そこまでですっ…!」
恋鈴はキリトの前に立ち、声を張り上げた。

「そこまで…!キリトも、貴女もいい年して、喧嘩しないでください。」

「喧嘩、やと…?」

目をぱちぱちさせながら佳代子は再確認した。

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コメント

  • 花波真珠

    とっても面白いです!!
    お話の構成とか、キャラクターの設定とか、すごくいいと思います!
    よかったら、私の小説も読んでみてください!

    1
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