主徒リングの契約

雪村 ましろ

杏と杏奈。

「なんだ…一緒だったんですか。」
「あ、いや…この子は杏とちゃうんや。」
「はい…?」

何処からどう見ても、佳代子さんの妹じゃないか。
一体何が違うんだ?

その時、違和感を覚えたキリトはその正体を理解した。

「人間…なんですか?」
佳代子さんは僕と同じ人ではない。
だからその妹もバケモノのはずなのに。

「せや、この子…杏奈は…人の子や。」
「うちの妹は杏、この子は杏奈。見た目も声も性格も仕草すらもそっくりやけど…杏やない。」

そんなことがあるのか…というか。
「それじゃぁ…杏さんはどこに?」

その言葉にひ再び顔を歪ませる佳代子。
「うちの妹は…もう…この世には。」

とても辛そうに一言一言を絞り出している。
こんな弱々しい佳代子さんは、見たことがない。

いつも華麗に強気でしっかり者の佳代子が…今にも泣きそうでいるなんて。

恋鈴はやっと理解した。
キリト達のような〝人ではない何か〟
について。
そして、その全員が辛い過去をいや、現在を抱えていることを。

コメント

  • ゆき

    これからどうなっていくのでしょうか。
    キリトくんにもこのような過去があると思うと‥‥

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