主徒リングの契約

雪村 ましろ

和兎の気持ち2

「一葉っ…!」
一葉の姿が見え、安心したのか今まで走ってた疲れがどっとくる。

「か、和兎…?どうしたの、女の子と一緒だったんじゃ…?」
「その事は後で話すから、今は走って!」
「え、ええぇー!?」

手を引っ張られながら走る私を待ち受けていたのは、あの女の子だった。

「もぉー、先輩何処に行くんですかぁー?まだ話は終わってないんですからねぇー?」
「ぼ、僕は用事があるからまた今度で…」
「一葉先輩…あなたですよねぇ?和兎先輩を騙したの」
何この子…騙したのって?どういうこと…?

「一葉、気にしないで行こ!」
「ぁ、うん…?!」

「一葉先輩…」
キラリと光る刃物。
それは一葉に向けられた。

「私達のために…死んでくれますますよね?」
素早く刃物が振りかざされた。
…和兎に。

「和兎!?か、ずと!和兎!!」
とっさに一葉をかばい刃物は和兎に刺さってしまった。

どうしよう、和兎が…和兎が!
「か…ずは…だい…じょう…ぶ…?」
「えぇ、和兎のおかげで大丈夫よ」

「よかった…」
「何も良くない!和兎が死んじゃったら私…」
堪えてた涙は大粒となり和兎を濡らす。

「どうしてこんな…私なんてかばったの!?」
「やく…そ…く…」
約束…?
何の?誰との?

「何言ってるの?!ねぇ、目あけてよ!和兎!」

「かず…とぉ…!」

一葉が泣いてる声がする。
泣かないで欲しいのに、笑ってて欲しいのに。
泣いてる時は甘いものがいいんだよ。
自然と笑顔になれるから。

「…だ…から…笑って…」
いつもみたいに無邪気な笑顔で、皆を明るい気持ちにしてくれるような。
そんな君に一葉に惚れたから。

コメント

  • ゆき

    ヤバイです。ちょっとうるってきました。
    情景描写がものすごくリアルでとても良いです

    1
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