主徒リングの契約

雪村 ましろ

一葉の気持ち。

恋鈴が目を覚ます頃、また新しい出会いが生まれていた。

一葉かずはー!」
「んー、何ー?」
少し俯き気味で返事をした私は、天野  一葉あまの かずは
高校2年生。
3年前に双子の弟、和兎かずとを亡くしてからは、ほとんど笑ってない。
和兎は私をかばって事故に巻き込まれた。
あの時のことは鮮明に覚えている。
絶対に忘れはしない。

「和兎ー、その飴美味しい?」
「美味しくなきゃ食べてないでしょ…」
「そぉっかぁー…!」
こんなに私でも凄く仲良くしてくれて。

「私、和兎先輩が好きなんです…付き合ってください!」
校舎裏で夕日を浴びながらの告白を、目にしてしまった私は、どうすることもできずにただ俯いていた。

「ごめんね…僕は他に大事な人がいるから。」
「そう…です、か。」
泣きそうになりながら、絞り出したこえでこたえていた。
「うん、せっかく勇気出してくれたのに気持ちにこたえられなくてほんとごめんね」

そんな会話に安心している自分に鳥肌がたった。
どうして…和兎が幸せになれるなら私も嬉しい筈なのに。
それと同時に和兎を取られてしまうという不安に襲われた。
こんなの最低じゃん。
自分の独占欲で、和兎の幸せを奪ってはいけない。
心が痛む音がした。

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