主徒リングの契約

雪村 ましろ

貴方は可哀想な怪物。

「ん…」
私は、いつの間に寝ていたのだろうか。
あ…。
じゃあ、雨が降っていた時の誰かも…
「傘、嬉しかったのにな。」
夢だったのか…。


「おはよ…体調どう?」
え……ぇ…え!?
「夢じゃ、なかった…?」
貴方は。私の驚いた顔にクスッと笑う。
なんだろう、同じく人ではない何かだからだろうか?
とても安心する。
けど、貴方の無表情な顔からは太陽のような、暖かさは感じない。


「何言ってるの?お粥作ったから食べて」
「あ、はい、…」
ってか、この人一体何者!?
よくよく考えたら、私結構危なくない!??
知らない場所に、知らない人と一緒とか…
詰んだ…


「ぇっと…貴方は?」
「あぁ、名乗ってなかったね、僕は…ごめん、僕には名前はない。」
名前が、ない?
「一応、君と同じ人ではない…けど、僕は怪物以外の分類に値するとは思えない。自分が何者か、分からないんだ」

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