イタダキマス〜とりあえず魔王の手下になって世界作り直します!あれ?なんかループしてない?〜

駅構内の狂っぽー

自分の中に何かいる

声は体を包み、尾骶骨の辺りの体の中から爆発した。感情ではないし、爆薬を仕込まれていた訳では無い。何かが皮膚を突き破って来たのだ。痛みはさほど感じない。これも魔物になった影響だろうか。何かの正体を確かめる前に女騎士の方を振り返る。笑っていた顔は恐怖に溢れていて、畏怖の念が見て取れる。そして振り向くと水晶のような結晶が、正確には鉱物が結晶となって僕の尾骶骨の辺りから生えているのだ。まるで尻尾のように、うねっているのだ。ガシャガシャ音を立てながら。ガラスが軋むような、陶器を爪で引っ掻くような。誰かの悲痛な叫びが騎士をコロセ、コロセ、と唸る。ひとまず視線を騎士に向ける。まるで化け物を見たかのようにガタガタ震えている。まぁ僕は化け物だが。地面に倒れ込んだ2人は硬直している。1人は恐怖で動けず、1人は苦痛に動けず、その時だ。騎士の背後から金属がぶつかり合う音がした。そして人影が見えた頃、化け物は絶望し、騎士は希望の光を見た。化け物の耳には声がこだまする。
「このままだと死んじゃうよ?それでもいいの?」
一瞬、視界に白髪の少女が映る。
「死にたくない、僕は生きる。」無意識に呟く。
「じゃあ、決めなよ。何を取るか。中途半端なのはいけないよ?」
「中途半端?どこが…」
「分かってるんじゃないの?自分がされたことを人には出来ない。だってそれほど君は冷たくないから。でもそんなんじゃこの世界では生きていけない。その弱さを捨てなよ。そうじゃなきゃ強くはなれない。」
「いいよ、この人は殺す。だから、」
「だから?」
「僕に力をくれ。」
「私は力をあげられない、あなたが強くなるの。」
「そうだね。」
少年は少女の手をとる。そして電子音にノイズが走る。

ズッズザー ピ、ピピ、超速再生を獲得くくくしましただだだ 称号 ううう 克服者を手に入れましただだだだズザザザープツ

「カガリ様、ご無事で何よりです。」
騎士が駆け寄る。
「ああ、だがまだトドメを刺さねば、油断はできん。」
その時、複数の水晶の柱が地面から突き出る。
「ゼルゾフトーツ!」
ゼルゾフトと呼ばれた騎士は水晶の柱に体を貫かれ、血綿を地面に撒き散らしていた。女騎士は怒りを露わにして怪物の方を見る。そこには、自分が切ったはずの片手片足を既に取り戻した少年の姿があった。
(くそ、連れてきた騎士の中ではゼルゾフトが1番の手練、《獣》も覚醒した。最悪の事態だ。)

スキル~人心掌握~を習得しました

「お姉さんはさ、もちろん教えてくれるよね?《獣》についてさ。」
「な、なぜそれを、教会の最重要項目だぞ?」
「そんなのは知らない。ただ、あの男の人みたいにみんななっちゃうんじゃない?言わなかったらの話だけど」
「くっ、仕方がない。《獣》は1000年以上前にこの大地を蹂躙していた原初の魔獣だ。そして人間と魔族、2つの種族の協力により全13体が討伐された。その血と肉は大地を穢し、やがて蒸発して魔素となった。そしてその魔石は魔族が7個を。人間が6個を。持っていた。だが、その魔石は他の物質の基本的なルールである、魔素を吸収する。に反して魔素を常に吐き出している。そしてもしその魔石を人体に埋め込んだら、それが転移者だとしたら…私が知っているのはここまでよ。」
「そうですか、では。」
待って、私との約束は?殺すって言ったよね?
「すみません、やはりあなたは俺の・・敵でした。」
そう言って音もなく、水晶の柱は真っ直ぐに騎士の顔を全部潰した。

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