初仕事は地獄でした?!
『地獄』
   死──それは何だろう…。生きていれば、知ることは無く、その痛みを知ることは無いだろう。
   だが、今現在、その死とやらを経験しているとしたら?あなたならどうするだろうか…。
   現在進行形で言おう。
   僕は死にました!
   とか言っておいて…え?頭が追いついていないんだが…?
自己紹介がまだだったな。僕の名前は、茅野草。男子高校生でした。
 つい先刻までは。
過去形ですね。
  「はぁ……」
   出したくもないのに、ため息が出てしまう。
   なんで死んだのか、僕には理解出来ていない部分が沢山ある。
   状況把握から始めてみよう。
   死後の世界とは、真っ白な世界だった。何もなく、ただただ白い世界が続いている、ただそれだけだった。
   一つだけ疑問がある。とても重要な事だ。
   ここは、どっちなんだ?
   どっちなんだ…って言うのも、天国か地獄かの二択なんだがな!
   ものすごく知りたい…。
   もし、仮に僕が本当に死んでいたら、現世の僕の行いはそれほど悪いものではなかった気がする。
   人助けなどやって、民の為に人事を尽くしていたと思う…多分。
   そっから考えるのをやめた。
   立ち尽くしていた僕は歩き始める。しかし、僕は歩くことができなかった。なぜなら……
   その場で倒れてしまったから。
   体が軽かった。背に羽が生えたように、どこまでも行けそうな…そんな気がした。
   目の前に人がいた。小さく、可愛らしい少女だった。彼女は、僕になにか訴えるように口を動かしていた。
   悲しいことに、僕はそれを理解出来なかった。それでもなお、口を動かす少女。そこに白い霧が覆いかぶさってきて、視界を悪くする。
   そこで体の軽さは無くなった。
   微かな体の痛み、そして何より人の声がした。
声から判断するには、女の人が2人居るようだった。
   1人は、大人しそうな女性。もう1人は、少々荒れっぽい少女だ。
   「……さ、……るの?」
   「……も、………でしょう」
   何も理解出来なかった。
   恐る恐る目を開けてみることにした。
   「あっ!やっと目覚ました!」
   「あら、大丈夫?自分が誰だか分かる?」
   え……?
   ここ、どこ?
   「なぁ、聞こえてるのか?おーいおぉーい?!」
   少女の方が何か言ってる気がするが、僕の耳には全く入ってこない。
   まず、ここはどこで、この人達はなんなんだ?僕は生きていたのか…?
   など、自問自答していると頭を掴まれた。
   「おい!聞こえてんのかって聞いてるんだよ!」
   「ひよぇ?!き、聞こえてます!!聞こえてますからっ!!」
    怖い…。女性ってこんなものなのか?
   「ボク、名前分かる?」
   「は、はい…わかり…ますけど?なぜ?」
   「なぜって…そりゃ…あんたを助けてやったんだし。当然の質問じゃない?」
   僕が助けられた…?なぜ?いつ助けられるような事を……ん?
   「そうか!!僕は倒れて…!!」
   急に大きな声を出したことにビックリしたのか、彼女達の体が微かに動いた。
僕は助けられたのか…彼女たちに…。
   「すみません…助けてもらって。僕はもう大丈夫ですから。失礼します……ぐぇ?!」
   「ちょっと待ちなよ。あんた、ここ出て行く場所あんの?」
荒っぽい少女が僕の首根っこをつかみ、問い質す。
行く場所と聞かれましても…死霊に行く場所も何も無いような…。
「特にないですが…」
まぁ、当然その回答にたどり着く。
すると……
「そうだ、宛が見つかるまで、ここで生活しなさいな!ね?そう思わない?九十九?」
   「あたしは、どっちでもいいし?こいつが決めることだし…どうする?」
   この人達に甘えてもいいかもしれない…。
何者で誰なのかわからない彼女たちに、と不安になるが…。でも、野宿よりかは、幾分かマシだよね…?
   「あの…お言葉に甘えさせてもらってもいいですかね?」
   「いいわよ!大歓迎!!自分の家だと思って生活して頂戴な!」
   「あたしの迷惑にならなければそれでいいから」
   「こら、九十九っ!気にしないでね?」
   「ありがとうございます!」
   優しい人たちで良かった。これで暫く雨風を気にしないで済む。
   「名前を言ってなかったわね。私は、女医のハルカ。宜しくね」
大人しそうな女性、ハルカさんが言う。 
「あたしは…九十九。」
「ところで名前は?」
   「はい!僕の名前は、茅野草です。気軽に草、とお呼びください」
   「んじゃ、草。突然だがここはどこか、理解出来るか?」
   「え?現実?リアル?3次元??…えっ違うのですか?」
   そう言うと彼女──九十九は、大きなため息をついた。
   「やはりか…。草、ここは地獄だ」
   ──はいっ?!
   だが、今現在、その死とやらを経験しているとしたら?あなたならどうするだろうか…。
   現在進行形で言おう。
   僕は死にました!
   とか言っておいて…え?頭が追いついていないんだが…?
自己紹介がまだだったな。僕の名前は、茅野草。男子高校生でした。
 つい先刻までは。
過去形ですね。
  「はぁ……」
   出したくもないのに、ため息が出てしまう。
   なんで死んだのか、僕には理解出来ていない部分が沢山ある。
   状況把握から始めてみよう。
   死後の世界とは、真っ白な世界だった。何もなく、ただただ白い世界が続いている、ただそれだけだった。
   一つだけ疑問がある。とても重要な事だ。
   ここは、どっちなんだ?
   どっちなんだ…って言うのも、天国か地獄かの二択なんだがな!
   ものすごく知りたい…。
   もし、仮に僕が本当に死んでいたら、現世の僕の行いはそれほど悪いものではなかった気がする。
   人助けなどやって、民の為に人事を尽くしていたと思う…多分。
   そっから考えるのをやめた。
   立ち尽くしていた僕は歩き始める。しかし、僕は歩くことができなかった。なぜなら……
   その場で倒れてしまったから。
   体が軽かった。背に羽が生えたように、どこまでも行けそうな…そんな気がした。
   目の前に人がいた。小さく、可愛らしい少女だった。彼女は、僕になにか訴えるように口を動かしていた。
   悲しいことに、僕はそれを理解出来なかった。それでもなお、口を動かす少女。そこに白い霧が覆いかぶさってきて、視界を悪くする。
   そこで体の軽さは無くなった。
   微かな体の痛み、そして何より人の声がした。
声から判断するには、女の人が2人居るようだった。
   1人は、大人しそうな女性。もう1人は、少々荒れっぽい少女だ。
   「……さ、……るの?」
   「……も、………でしょう」
   何も理解出来なかった。
   恐る恐る目を開けてみることにした。
   「あっ!やっと目覚ました!」
   「あら、大丈夫?自分が誰だか分かる?」
   え……?
   ここ、どこ?
   「なぁ、聞こえてるのか?おーいおぉーい?!」
   少女の方が何か言ってる気がするが、僕の耳には全く入ってこない。
   まず、ここはどこで、この人達はなんなんだ?僕は生きていたのか…?
   など、自問自答していると頭を掴まれた。
   「おい!聞こえてんのかって聞いてるんだよ!」
   「ひよぇ?!き、聞こえてます!!聞こえてますからっ!!」
    怖い…。女性ってこんなものなのか?
   「ボク、名前分かる?」
   「は、はい…わかり…ますけど?なぜ?」
   「なぜって…そりゃ…あんたを助けてやったんだし。当然の質問じゃない?」
   僕が助けられた…?なぜ?いつ助けられるような事を……ん?
   「そうか!!僕は倒れて…!!」
   急に大きな声を出したことにビックリしたのか、彼女達の体が微かに動いた。
僕は助けられたのか…彼女たちに…。
   「すみません…助けてもらって。僕はもう大丈夫ですから。失礼します……ぐぇ?!」
   「ちょっと待ちなよ。あんた、ここ出て行く場所あんの?」
荒っぽい少女が僕の首根っこをつかみ、問い質す。
行く場所と聞かれましても…死霊に行く場所も何も無いような…。
「特にないですが…」
まぁ、当然その回答にたどり着く。
すると……
「そうだ、宛が見つかるまで、ここで生活しなさいな!ね?そう思わない?九十九?」
   「あたしは、どっちでもいいし?こいつが決めることだし…どうする?」
   この人達に甘えてもいいかもしれない…。
何者で誰なのかわからない彼女たちに、と不安になるが…。でも、野宿よりかは、幾分かマシだよね…?
   「あの…お言葉に甘えさせてもらってもいいですかね?」
   「いいわよ!大歓迎!!自分の家だと思って生活して頂戴な!」
   「あたしの迷惑にならなければそれでいいから」
   「こら、九十九っ!気にしないでね?」
   「ありがとうございます!」
   優しい人たちで良かった。これで暫く雨風を気にしないで済む。
   「名前を言ってなかったわね。私は、女医のハルカ。宜しくね」
大人しそうな女性、ハルカさんが言う。 
「あたしは…九十九。」
「ところで名前は?」
   「はい!僕の名前は、茅野草です。気軽に草、とお呼びください」
   「んじゃ、草。突然だがここはどこか、理解出来るか?」
   「え?現実?リアル?3次元??…えっ違うのですか?」
   そう言うと彼女──九十九は、大きなため息をついた。
   「やはりか…。草、ここは地獄だ」
   ──はいっ?!
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