メイドの鈴木さんは僕に恋をした

破錠 斬々

第8話:フォロワー100人突破記念

レースのカーテンの隙間から漏れる朝の光で私の1日は始まる。

奈緒「ん〜、さぁ今日も頑張りましょう!」

これが毎朝恒例の自分への掛け声だ。いつの頃から始めたかは忘れたがこれをしないと1日が始まった気がしない。

メイドである私の仕事は正直大変だ。朝は主人であるぼっちゃまより早く起床し掃除、洗濯、朝食の準備などがある。でも、そんな大変な仕事もぼっちゃまの顔を思い浮かべたら何の造作もない。

奈緒「ぼっちゃま朝ですよ。起きてください!」

毎朝同じ時間にぼっちゃまを起こすため私はぼっちゃまのベッドへ飛び込む。着地と同時にぼっちゃは目を覚まし驚いた表情で朝を迎える。

港「お、おはようございます。っていうかいい加減この起こしかたどうにかならないんですか?」

奈緒「えぇ、いいじゃないですか。私もぼっちゃまと同じベッドで寝たいのを我慢してこうやって起こしてるんですから」

ぼっちゃまは押しに弱い。年上である私が少しおちょくると顔を赤らめさせすぐに目をそらし始める。思春期である男の子は可愛くとても面白い。

奈緒「ぼっちゃま、朝食の準備はできているので早く食べてしまいましょう」

今日の朝食はほかほかの白いご飯に朝から作った味噌汁、焼き魚に納豆。朝から作るにはどれも手間暇はかかるがぼっちゃまはちゃんと理解したうえでありがとうといつも感謝の気持ちを伝えてくれる。

湊「朝からありがとうござます。とても美味しいですよ」

ぼっちゃまは私が作った朝食を美味しそうに食べ学校の支度をする。その毎日送る生活が私にとっては私服なのだ。

奈緒「じゃあ行きましょうかぼっちゃま」

互いに準備ができたことを確認し玄関のドアを開けた。ドアを開けると強い日差しが視界全体にい広がり朝のパワーが得られたような気がした。

奈緒「今日もお天気ですね。こんな日は…外で…お弁…」

しかし、その日差しと同時に私は玄関の前で倒れこみぼっちゃまの叫び声が遠いところから聞こえた気がした。

目が覚めると私は自室のベッドの中に入っていた。自分がどうやってベッドに入ったのか思い出せず少し困惑している。するとドアのゆっくり開く音が聞こえその先にはぼっちゃまがおかゆを持った状態で来た。

湊「あ、奈緒さん起きたんですね。いきなり倒れこんだかと思ったら高熱出してきつそうにしてたので本当にびっくりしましたよ」

奈緒「ぼっちゃま、申し訳ございません。いきなり倒れてしまって…学校はどうしたのですか?」

湊「奈緒さんを置いて行ってしまったらこの家には奈緒さんだけになるので心配して今日は休みました」

ぼっちゃまの優しさに私は嬉しさのあまりに照れ隠しのつもりでにやけている口元を隠すよう顔半分をシーツで隠した。

湊「おかゆ作りましたけど今食べますか?無理なら後で温めなおしますけど」

とんでもない。ぼっちゃまが私のためにわざわざ作ってもらったのに対して温かいうちに食べないなど罰が当たってしまうと頭の中で考えながら冷静に食べますとだけ答えた。

奈緒「あの~、できればぼっちゃまのあーんが欲しいのですが駄目…ですか?」

風邪のときは人は優しくしてくれるのと同じように今日のぼっちゃまはとても優しい。

私はぼっちゃまに食べさせることを要求したがぼっちゃまは嫌な顔をせずにスプーンを握ってくれた。

湊「まぁいつもお世話になってるので今日ぐらいはいいですよ」

ぼっちゃまはおかゆの入ったスプーンをゆっくり近づけ優しく口の中に入れてくれた。

お世辞にもぼっちゃまは料理が得意ではない。醤油を入れすぎて塩辛くなって茹ですぎてベチャベチャになりさぎたおかゆ。でも、私にとってはどんな五つ星の料理よりも美味しい。私のために得意でもない料理を一生懸命作っているところが眼に浮かぶ。

湊「あまりおいしくないでしょ?知ってると思いますけど俺料理は全くできませんから」

そんなことはない。っと言ってあげたいがこれはぼっちゃまに対してあまりにも無責任な言葉だろう。私は言葉では何も言えないがぼっちゃまの体をそっと抱き寄せ耳元でささやいた。

奈緒「ごちそうさまでした。また作ってくださいねぼっちゃま」

そうするとぼっちゃまは勢いよくパッと離れ赤面しながら部屋を後にしようとした。

湊「お、お皿は机の上に置いておいてください。後で取りに来ますから」

ぼっちゃま自身も私に直接は何も言わないが何を思っているのかは分かる。今は恥ずかしくなって私の感謝の言葉へのちょっとした返事だろう。そうぼっちゃまの優しさが出ている。

おかゆも食べ終わると体が温まり気分がだいぶ良くなった。起きたすぐは体がだるく仕方なかったが今は普段とあまり変わらないくらいにまで回復した。

奈緒「寂しい」

今私の頭によぎる言葉はこれだ。小さいころからだが風邪の時は何故かいつも寂しくなる。永遠と続くこの孤独な時間は一人で過ごすにはあまりにも長すぎる。

奈緒「ぼっちゃまー!早く来てくださーい!」

暇だったので叫んだ。私の声を聞きつけたぼっちゃまは廊下を全力で走る音が聞こえ始めた。

湊「ど、どうしました!?気分が悪いんですか!?」

ぼっちゃまには悪いがぼっちゃまの慌てる姿がかわいくて思わず笑みを浮かべた。それを見たぼっちゃまは頭の上にクエスチョンマークが浮かび上がりそうな顔をしている。ぼっちゃまは自分がなぜ呼ばれたのかまだわかっていない。

奈緒「すいません。少し寂しかったので読んでみました」

私のちっぽけなイタズラにぼっちゃまは怒ることなく安堵の表情をした。そうするとぼっちゃまは一度部屋を出て自室から一冊の分厚い本を持ってきた。

湊「寂しいんでしたら俺がここで本を読んでますよ。そしたら大丈夫でしょう?」

私の寂しさに気遣ってぼっちゃまは私の部屋で過ごしてくれた。

私はあなたのお背中を見るだけでも落ち着く。
私はあなたの笑顔を見るだけで幸せになる。
私はあなたと年を取れることで一生を終える。
私はあなたの隣にいたい。ずっと…

私は気がつくとまた眠ってしまっていた。その間ぼっちゃまはずっと私の看病をしていた。

湊「あ、起きたんですね。夜ご飯作りましたけど食べれますか?」

その答えはもちろん決まっている。私はできるだけいつものように答えた。

奈緒「食べます!」っと



昨日は大変だった。普段元気な鈴木さんが風邪で倒れてしまってとても心配した1日だった。

朝の強い日差しがカーテンの隙間から照らし始め俺は1日を迎えるのだがいつもは鈴木さんが起こしてくれるのを待つ。

しかし、鈴木さんは今は風邪のため今日は俺が鈴木さんのお世話をする。

奈緒「ぼっちゃまー朝ですよー。起きてくださーい」

俺の部屋の入り口から聞こえた声は毎日聞いている声だった。だが、その声の持ち主は今風邪で寝ている筈…

湊「奈緒さんもう起きて大丈夫ですか?念のためにもう1日休んでいたほうが」

突然の出来事に驚いた俺はベッドからムクリと起き上がり鈴木さんのほうを向いた。そこにはいつもと変わらない元気な鈴木さんがいた。

奈緒「私、元は丈夫なほうなので1日寝てたらケロッとしてますよ?それよりぼっちゃま、早く支度をなさってください!」

無理やり手を引っ張られリビングへ連れて行かれる。鈴木さんが寝込んで改めて気づかされたが普段のこの何気無い日常が自分自身にとってどれだけ大切なものなのかが分かった。

ありがとう鈴木さん。あなたがいるそれだけで俺は幸せになれる。必ずくるこの先の未来、俺は鈴木さんを一生支えられる頼れる主人でもあり夫でもある存在になってみせる。それまでの少しの間我慢してほしい。

奈緒「ありがとうございます。私はいつまでもお待ちしておりますね」

俺の心の声が漏れて彼女に返事をささやかれたことは後に2人の大切な思い出となり子供へと語り継がれていった。



ご愛読ありがとうござます。

今回は今更ではありますがフォロワー100人突破記念で鈴木 奈緒すずき なおの視点で書いた作品にさせて頂きました。

次回からは前回の続きから進めていきます。

これからも「メイドの鈴木さんは僕に恋をした」を応援よろしくお願いします。




ノベルバ ユーザー114788様コメントありがとうござます。コメントされて随分経ちますがこれからもよろしくお願いします。

他の読者の皆様のグッドマークでの応援も私の支えとなっております。本当にありがとうございます。

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コメント

  • ティナ

    内容は面白いです!あと誤字2箇所ほどありました!
    私服→至福
    読んでみました→呼んでみました
    これからもファイトです!

    1
  • ミラル ムカデ

    とても面白い作品ですね!
    なるべく早くに続きが読みたいです

    1
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