メイドの鈴木さんは僕に恋をした

破錠 斬々

第4話:土曜日のデート

今日は鈴木さんとショッピングの約束をした土曜日。待ち合わせ場所は駅前の噴水広場である。一緒に暮らしてるのに何故待ち合わせをする必要があるんだ?

湊「約束の時間まであと三分か…」

余裕を持って待ち合わせの一時より三十分早くに来た。早すぎないかと思われるかもしれないが早いことに越したことはない。

奈緒「ぼっちゃまー!お待たせしましたー!」

元気な声で駅から出てきたのは今日のショッピングに誘ってきた鈴木さんだ。鈴木さんは手を振りながらこちらに走ってきた。

下は膝下まである白いロングスカートに上は紺色のハイネックノースリーブニットを着てその上にステンカラーコートを羽織っている。今日の鈴木さんはいつものメイド姿と違い何か大人びた感じだ。

奈緒「すいませんお待たせして」

湊「いえ、俺も今きたとこなんで待ってませんよ」

鈴木さんは息を切らしながら話しかけてくる。別に遅れているわけじゃないから謝罪をしなくてもいいのだが待たせたと思っているんだろう。

奈緒「では、気を取り直して早速ショッピングに行きましょう!」


湊「どうかしました奈緒さん?早く行きましょう」

奈緒「は、はい!」

最初の目的地は駅前にある大型ショッピングモールでの買い物。三階の服や専門店街で買い物をする。主に鈴木さんの服がメインだが鈴木さんは長年俺のメイドをやっているせいか俺に似合いそうな服を見つけるとすぐに試着させてくる。

奈緒「あ、これ絶対にぼっちゃまが着たら似合います!ぜひ着てみてください!」

湊「奈緒さん…今日は奈緒さんのショッピングがメインなんですから俺の服は気にせずに買ってください」

奈緒「そ、そうでした。私ったらつい///」

無意識に俺の世話をしたがるのは一種の職業病だろう。だからこそ今日みたいな日を満喫してもらいたいのに…鈴木さんはあまり自分の時間の使い方が下手なタイプなのか?

奈緒「でしたら私この店に寄ってみたいです!」

奈緒さんが指したのは今どきの女子高生が好むようなブランドものとかではなくどこの街にでもあるようなシンプルな服ばかりを扱う店だった。こんな店がいいのか?年頃なのだしもっとオシャレはしたくないのだろうか?

湊「あの奈緒さん、せっかく遠くまで来たんですし少し高い服とか買ってみませんか?代金なら俺が父さんに経費として扱ってもらえるように説得しますよ?」

奈緒「ぼっちゃまはわかっていませんねー?服というのは高い安いではなく着こなし方が大事なんですよ?私の場合は最低限の値段で最高のファッションをするのが流儀です!実際に今着ている服も『しま〇ら』で買ったものです」

ー!?確かにあの店は値段の割に服の種類は多いがここまで着こなせるものか?俺は一瞬鈴木さんのファッションセンスに感服した。今度俺の服も選んでもらおう。

奈緒「ぼっちゃまーどれが似合うと思いますかー?」

湊「っと言われましても俺女性経験が多いわけじゃないんで女性の服のセンスなんて皆無ですから」

奈緒「-!当り前じゃないですか!ぼっちゃまに私以外の女性なんて必要ありませんから女性経験が少なくて当たり前です」

何故今ここで怒った?まぁここは鈴木さんの優しさとして捉えておこう。しかし本当に女性ものの服なんて一切わからない。俺にわかるのはその人にその恰好が似合っているかいないかくらいの違いだ。

奈緒「あ、これなんていいかもです!ちょっと試着室まで行ってきます!」

ーん?もういいものが出てきたのか?どんな服か見てみてみたいしついていくか。

奈緒「着替えました!どうでしょうか?似合っていますか?」

試着室のカーテンを勢いよく出てきた鈴木さんの姿は白い肩出しの半袖ブラウスに灰色のチェック柄のミニスカートを着ている。さっきまで着ていた服と違い高校生独特の子供っぽさがでて綺麗に見えていた鈴木さんが一変して可愛くなった。

奈緒「どうですかぼっちゃま?さっきの私と今の私どっちがぼっちゃまの好みですか?」

湊「どどどどっちも素敵だと思いますよ///」

落ち着け俺ー。何鈴木さんの服が変わったくらいで動揺しているんだー?冷静を取り戻すべく俺のとったっ行動はできるだけ目を逸らす!しかしー

奈緒「えーぼっちゃまどっちもなんて無責任なことを言わないでくださいよ。ちゃんと近くで見て、ホラ!」グイッ

近い近い近い近い。鈴木さんに引っ張られ俺は身体のバランスを崩し顔が鈴木さんの胸元あたりまで倒れかけた。しかし、鈴木さんはそんなことを気にもせずに服のことを問いかけてくる。

奈緒「どうですかぼっちゃま?私の服をよーくみてください!」ギュッ


湊「あの、ちょっと近すぎて服が見れないんですけど///」

さっきまで胸元近くまで寄せられていた顔が今度は完全に0距離まで引きつけられた。次回は真っ黒で何もわからないがただ鈴木さんの胸に埋もれていることだけがわかっている。

湊「¥×÷5々%:÷%7!」

顔が完全に埋もれているせいでうまく話せない。ここは力ずくにでも…

バッ!

湊「はぁー!ハァ…死ぬかと思った……?」

顔を上げるとさっきまで俺のことを抱き寄せていた鈴木さんが顔を真っ赤にして俺から目をそらしていた。実はわざとやっていて本人も恥ずかしかったのか?

奈緒「わ、私この服買ってきます!」

顔を逸らしつつレジまで走っていくその姿は不自然なものだった。それは気にすることではないかもしれないが今日の鈴木さんは少し様子がおかしい。

奈緒「いやーぼっちゃまのおかけでいい買い物ができましたよ」

湊「それはどーも」

さっきはとんでもない目にあってしまった。よく考えるとあれは人前でする行動ではなかった。鈴木さんはよくあんなことができるなと思いながらため息をつく。

奈緒「ぼっちゃま、そろそろお腹が空きましたね」

湊「確かに時間もいい頃ですしフードコーナーで何か食べますか」

沢山買い物をしたせいか時間はあっという間に12時の針を余裕で過ぎていた。鈴木さんが教えてくれたおかげで昼を逃さずにすんだ。

奈緒「やっぱ定番はこれですねー。こんなところに来たときくらいしか食べないので美味しく感じますよ」

俺たちが選んだのは某ハンバーガーショップのメニューだった。定番中の定番だがうちでは鈴木さんの手作りメニューが基本のためこんなファーストフードは食べる機会がないから食べるたびにワクワクする。

湊「いつ来ても美味しいですよね。メニューも割と沢山あるから飽きませんし」

2人で仲良く会話を弾ませ昼食を済ませた。途中鈴木さんがハンバーガーを追加で3つ頼んできたのでこちらとしては鈴木さんの胃袋のデカさ驚かされた。

奈緒「さぁぼっちゃま、今日予定していた服も買ったので何かやりたいことはありますか?」

やりたいこと?特にそんな予定を立てて来たわけではないので今の言われてパッと思いつくものはないな…


湊「特には思いつきませんけど奈緒さんは何かやりたいことはあるんですか?」

奈緒「ではゲームエリアに行きましょう!私は一度ぼっちゃまとプリクラ撮ってみたかったんです!」

唐突にプリクラを撮ることになり鈴木さんに手を引っ張られながらゲームエリアに向かう。俺の手を引っ張る鈴木さんはまるでおもちゃ売り場で親を振り回す子供のような感じだった。

奈緒「ぼっちゃま、笑ってください!いぇーい!」

湊「い、いぇーい…」

パシャ!

奈緒「もう一枚いきますよ!今度はこんなポーズで…ワァーオ!」

湊「えっと…わーお」

パシャ!

とにかく恥ずかしい…///そんな言葉しか出てこない。いくら2人でしか撮影していないとは言えこんな恥ずかしいポーズをしたのは初めてだ。プリクラ初体験でこんな苦い思い出はきっと生涯忘れないだろう。

ウィーン…パタッ

写真ができたみたいだ。デコレーションは鈴木さん1人でやっていたけど一体どんなのが出てきたんだ?

ー!?

出てきたのはまるで芸術の絵画とも言えそうなデコレーションをされた俺と鈴木さんの写真。そういや鈴木さんは美術の成績も5以上だったな…

湊「これ凄いですね…しかもあんな短時間で」

奈緒「いやーぼっちゃまの可愛さを精一杯表現するには時間が足りなさすぎましたよ」

照れくさいことを恥ずかしげもなく話す鈴木さんは手強いな。まぁせっかく作ったんだし大事に持っておくか。

奈緒「ぼっちゃまー見てください。私のスマホカバーに写真をつけてみました!」

湊「え、この写真をですか」

その写真は鈴木さんが俺に抱きついていて写真には『最高のカップル』と人に見られたらかなり恥ずかしいことが書かれている。いつも使うスマホのカバーに貼り付けるのはちょっと無理かも…

奈緒「ぼっちゃまのカバーにも付けておきましたよ」

湊「え、あありがとうございます」

まじか…家の机とかに貼っておこうと持っていたがまさか俺のカバーにまで貼るとは…よく撮れてるからいいか。

奈緒「わぁ長くいすぎたせいで夕方になっていましたね」

ショッピングモールを出ると外はすっかり夕方になっていた。これから駅に向かい家に着くころには完全に夜になってるだろう。

奈緒「ぼっちゃま、よければディナーも食べていきません?」

湊「そうですね。今帰っても遅くなりそうだし今のうちに食べておきましょうか」

奈緒「ちょうどこの近くにおいしいイタリア料理店があるんですよ!行きましょう!」

奈緒さんに連れていかれて行った料理店は雑誌にも乗るような高級料理店だった。高校生がこんなところに入っっても相手にされないんじゃないか?

ウエイター「ご予約されていた有森様でございますね。お席へご案内します」

湊「-?奈緒さんいつ予約してたんですか?」

奈緒「ぼっちゃま私に抜かりはありません。メイドとしていち早く行動したまでです!」

鈴木さんはこういった時の行動はとにかく早い。鈴木さんとならどんな店でも構わないのに

俺たちは鈴木さんが事前に予約していたAディナーコースを食べた。イタリア料理は初めてではなかったので問題なく食べれたが予約した本人の鈴木さんは興奮した状態で食べていた。

奈緒「ぼっちゃまおいしかったですか?」

湊「おいしかったですよ。流石雑誌に載るだけのことはありますね」

駅に行くまでの間さっきのイタリア料理店の話で盛り上がっていた。この後起こる大事件が訪れるとも知らずに…



ご愛読ありがとうございます。
ここ最近でフォロワーが数倍に増えたので正直びっくりしました(汗)

正直自分の作品がこんなに多くのフォロワーの方のご期待に応えることができるか不安です…

でも多くの皆さんに喜んでもらえるよう精一杯努力しますのでよろしくお願いします!

ちなみに次回は「土曜日のデートpart2」です!



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