△高校3年2組へいらっしゃい!

ふう

9話 オウムの目覚め

体育祭は8時に開会式がスタートとなる。

Aくんは団員を集合させ、言葉をかけることにした。

「みんなラーメンは食べたか?俺は食べたぞ」

「「ワッハッハ」」笑いが起こる。

午前3時に集合した彼らはもはや通常の神経ではなかった。そう、いわゆる深夜テンションというやつである。
なにを言っても笑ってしまうようなものだ。

「国家熱唱!!」

どこからともなく声が聞こえた。その後、黄団は開会式が始まる1分前、先生たちに1人ずつ頭をしばかれるまで歌い続けた。

黄団のみんなは目を覚ました。そして、行進が始まる。

赤、青、緑、黄、黒の順番で行進をするが、今緑がスタートしたところだ。

そしていよいよ黄団の番、行進は完璧だった。
本部に向かって行う振り付けを除いては…

なんと、本部の前で振り付けを披露しようとしたとき、
中川先生が出てきて振り付けの『確認』をし始めたのだ!

しかも1回や2回ではない、6回も『徘徊』しやがったのだ。

耐えきれなくなったよし子が「なんでやねん!」とツッコミを入れて何とか行進を終えることができた。

行進のあとは、オープニングとして全校で奇声をあげながらグラウンドを走り回る。

これは毎年のことなので、何も無く終わり、プログラム1番大縄跳びがはじまるのだ。

赤・青・緑・黄・黒の順で1団ずつ飛んでいく。今はまだ赤団が280回飛んだところなので、

後半の団のみんなは家に帰ったり映画を見に行ったり、思い思いの時間を過ごした。

結果、赤団は962回で回す人の腕が上がらなくなり、引っ掛かった。

次に青団だ。ところが異変が。縄が濡れているのだ、これでは縄が重たく回しずらいはずだ。

これは勝ったと思ったが、甘かった。青団は縄から水分補給をしていたのだ。

しかもただの水ではなくアリナミンVだった。青団は体力がなかなか減らない。

なんと、飛び終わった時に審判が言った数字は「2462」だった。驚異的だ。

ほかの団は練習ではせいぜい1500回が限界だった。やる気をなくした緑団の記録は「0」だった。

次は黄団の番だ。よしこは言った「やる気をなくしてもしょうがない。自分たちがやってきたことを出すしかないでしょう!」

「「「オーー!!!」」」黄団のみんなは決心した。そして飛び始める。1回、また1回と回数を増やしていく。

そしてとうとう2400回を越えたころ、誰一人余力の残っている者などいなかった。

しかし、ここを気合で乗り越えれば優勝も見えてくる。みんなは必死で飛んだ。

「2453!」「2454!」「2455!」カウントを重ねていく。

「2462!」「2463!」ついに青団を抜いた。が、それだけでは終わらなかった。

最終的にもはや意識の消えかけている団員の耳に届いた数字は「5002」だった。

団員はグラウンドに転がっている。救急車も4台来た。毎年こうなるそうだが、5000回を越えたのは初めてだそうだ

最後は黒団なのだが、呼ばれても未だに魔法陣を囲みぶつぶつ何か言っている。気づいた時には黒団のみんなが座席に帰っていた

審判の口が動いている。遅れてマイクを通して声が聞こえてくる、「……7824回」どよめきが起きた。

飛んでいないように見えたのではない。実際に飛んでいないのだ。しかし、その場にいる全員が声をかける

「おつかれ!」 「すげーな!!」
洗脳だった。これに気づいたのはA君だけだろう。

しかし、それを訴えようにも証拠がない。時計を見てみてもしっかり時間が進んでいるのだ。

時刻は午後2時だった。

とてつもない記録が叩き出された午前の部はこれで終了した。







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