世界最強の傭兵は異世界でも最強のようです

YKD

第十六話

俺に投げ飛ばされた男はようやく事態を把握したみたいだ。顔を真っ赤にして腰に付けてた片手斧に手を当てた。

「てめえ、ふざけた真似しやがってぶっ殺してやる!」
「殺れるもんなら殺ってみろ」
「この....」
「そこまで!」

男が武器を抜こうとした瞬間に声が聞こえた。声のする方を見るとエルフの男がいた。

「ぎ、ギルドマスター!」

受付嬢の一人が驚いていた。

「ギルド内での揉め事はやめてもらえるかい?」

ギルドマスターは、にこやかに注意しながらも威圧を放っていた。

「ちっ、命拾いしたな」

ギルドマスターの威圧に気づいた男は捨て台詞を吐いて出ていった。

「君達、大丈夫だったかい?」
「ああ」
「問題ありません」
「うんうん、良かったよ。じゃあ早速着いてきて貰えるかい?」
「ああ」

俺達はギルマスの後に着いていった。


ギルマスに着いていき、二階奥の部屋に入った。

「じゃあ取り敢えず、はいこれ」

ギルマスからサファイアのプレートを受け取った。

冒険者
名前:シロ
職業:武術家
得意武器:無し
ランク:S

「ありがとうございます」
「うん、それじゃあもう行っても構わないよ」
「失礼しました」
「失礼した」

俺達はギルマスの部屋を出てそのまま一階に降りた。すると、入り口付近で鎧を着た男達が立っていた。そして、こちらに気づくと近づいてきた。


「失礼だが君はユウスケと言う名前か?」
「そうだ」
「そうか、では。ユウスケ・ワタベ、貴殿には貴族への不敬罪がかけられている。大人しくご同行願おう」

俺は最初何故そんな罪がかかったのか解らなかったが、以前に貴族の手首を折った事を思い出した。

「成る程、分かった」
「ご主人様」
「心配するなシロ、直ぐに終わらせてくる。それまで、ユイ達と宿で待ってろ」
「はい」

返事はしたが明らかに落ち込んでいた。なので優しく頭を撫でてやった。すると、気持ち良さそうに顔を緩ませた。

「直ぐに戻る」
「はい!」

シロの元気な返事を背中に俺は騎士達に連行されていった。



俺は現在馬車の中にいる。それは、あの豚貴族への不敬罪として、連行されているためである。
リゼンブルクの町にある貴族や大商人が住む高級街を進み町の中心部にある屋敷の前で止まった。どうやらここが領主の住まいのようだ。

現在俺は、手と足に枷をつけられている。まぁ、壊そうと思えば壊せるのだが、今は止めておいた。

「良く来たな愚民、この僕に無礼な行いをしたことを公開させてやる」

迎えたのは以前に俺が手首をへし折った貴族、ゲレールである。

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