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苦役甦す莇

マウスウォッシュ

Another:Episode6 Spirit of nasty

「ほぅ......ここがゴク達が逃げた世界か......中々良い雰囲気では無いか。」


 ニャルマ、ティフォル、ミカの3人は、ゴク達が逃げた世界に辿り着いた。しかし、こちらの3人は街の方に着いていた。


「取り敢えず情報収集......と言ってもあちら側もココに着いたばかりだろうから、聞き込みと言うよりかは、直接偵察した方が早そうね。」

 そう言うとニャルマは、持っていた鞄を開き、そこから小さなボールのような物を3個ほど取り出した。

 そしてニャルマは、腕時計型端末を操作し、その3つのボールのような物を、散り散りに飛ばしてやった。


「今飛ばしたのはなんだい?」

 科学に疎いミカが、ニャルマに先ほど飛ばした小さいボールのような物について訊ねた。


「モノボールっていう偵察用小型ロボットよ。軍に置いてあったものを改造して、より小型化したやつ。」


「あぁ、あれの小さい版か。」


「なぁお二人さん、取り敢えずメシでも食わないか? 流石に俺は腹が減ってきた。」


「そうだね......って、この世界の食べ物って食べられるのかしら......というか、そもそもこの世界の言語とか分からないんだけど大丈夫だろうか......」


「あっと、そこら辺はおまかせあれ。私ミカが、またまた魔法の素晴らしさをお見せしましょう。」

 ミカはそう言うと、首にチョーカーのような物を付け、次に頭にハチマキのような物を巻いた。


「あ、アソコに人が居ますね。私が会話するので、ちょっと傍で見てて下さいね。」

 ミカは怖気付くことなく、現地人に向かってズンズンと歩いていった。


ガリュシァバこんにちはレクトチアこの辺にサリァマ何か ヴェルデュランテすごく美味しい サルァバッシュ料理が イツィツィア食べられる ミルァショお店 グァタヴァ知りませんか?」


ヅーおーレクトチァルーバこの辺にある ヴェルデュランテすごく美味しい サルァバッシュ料理の ミルァションお店か......
! ゴーリュダグそう言えばザースそこの スルーティナ通りを グァガックン曲がった所にトルゥスァマ最近流行りの サルァバッシュ料理が イツィツィア食べられる ミルァショズお店がニュルスプーナ新装開店した スーツリュルバって話をリュシァ フリューズ友人が トックァックァ話していたよ。」


ヅーおートルゥスァマ最近流行りの サルァバッシィサ料理ですかサヴタではザースィそこに トッルゥツァイ行ってみる セッツェリィシアことにしますドゥックデェトルーナありがとうございました。」


サッツァティいえいえクォッゴルッターナどういたしまして。」


 ミカは会話を終えると、会話の内容が毛ほども理解出来ていない2人を連れ、その場を後にした。


「そこの通りを曲がったところに、最近流行りの料理が食える店があるらしいですよ! そこに行きましょうそこに!」


「え? 今のどうやって会話してたの?」


「簡単に概説すると、この頭の輪っかで、私の喋りたい言語の『意味』を感知して、その言語と同じ『意味』を持つ現地言語を、この首に付けたチョーカーから発せられるワケですね。
これがまぁ、私の魔法による『自動翻訳機』って感じですかね。凄いでしょ?」


「なーるほどね。でも聞こえてきた言語はどう聞き取っていたの?」


「それは耳から入ってきて、脳みそに来た『音声情報』から『意味』を汲み取って、頭の輪っかで使用言語に置き換わっていたワケなんですね。」


「おー、なるほどね。じゃあ取り敢えず、お店での注文もミカに任せようか。」


「賛成! ミカ、ちゃんと美味しそうな料理頼んでよ〜!」


「はいはい。分かりましたよ!」










 同時刻、山小屋を見つけ、そこに避難したゴク達一行。ヨギは酷く衰弱し、かなり追い込まれた状況下にあった。


「さてと......ここからどうやって下山しようか......『時空の扉』が使えるまでここに篭ってるというのは選択肢のうちの一つだけど、そうなると衰弱したヨギが死んじまう。」


「兎に角、ヨギを連れて下山して、病院等の医療機関に連れていくしかないな。まぁ、この世界の医療レベルがどの程度かは知らんがな。」


「くっそ......旅に出始めて最初のピンチだぜ......ヨギが死んじまったら俺らまで死ぬ......どうにかしなきゃ......」


 俺はヨギの方に向かって行き、取り敢えずヨギの容態を見た。


「具合はどうだヨギ?」


「ん......あ、あぁ。息はちゃんと吸えるんだが、どうにも身体がダルくて、頭が重たい。まるで......頭ん中に唖鈴ダンベルを突っ込まれたみたいだ......」


「クッソ......どうしようか......」

 俺は頭を悩ませた。そこでふと、ゴクに頼りたい気持ちがぐっと湧き上がったが、先程言われた事が脳裏をよぎった。


「......ゴク、下山しよう。だけど、君の道具の力は借りないよ。俺自身の力で下山してみせる。」


「おいおい......いくらなんでもそこまでしなくても......別に貸してやるよ......」


「良いんだ! これは俺の覚悟だ! 黙って見ていてくれないか!」


「そこまで言うなら止めねぇけど......」


 俺はヨギの抱え山小屋を飛び出て、ゴツゴツした岩が多い険しい山道に入った。









 そこから俺は黙々と降り続けた。下山を始めて、約2〜3時間ほど経ったくらいで、俺は休憩を始めた。


 俺は、自分の足がめちゃめちゃあったかくなって、悲鳴をあげ始めてるのが何となく分かった。


「おいサイ......下山するなら普通に道具貸すぜ? 何もそこまでしなくても......」


「俺の足の事か? 別に気にするな。友達を助けるためなら足くらいどうって事ない。」


「いくらなんでも俺と融合して、ちょっとは並の人間より頑丈だからってな! 俺はお前に死なれたら困るんだよ! だから使えっつってんだ!」


「五月蝿いな! どっちなんだよ! 使えって言ったり使うなって言ったりよォ! いいから黙って見てろや! 俺は自力で下山するって言ったんだ! 最後まで下山させろやボケ!」


 馬鹿な事に、俺はそこで意固地になって、またヨギを抱えて下山を再開した。









 数時間後、ニャルマ達がいる麓の街。ニャルマ達3人は、夕飯を食べ終え、宿泊施設も確保した後、優雅に新聞を眺めて時を過ごした。


「この世界でもやっぱり戦争が......やはり、どの世界に行っても、やってる事に大差は無いんだね。」

 ミカは、感慨深そうに新聞から世界情勢を読み取った。そんなミカは、今度はメガネのような物と、先程付けていた輪っかを頭に付けていた。


「それも自動翻訳機かい?」


「ああそうだよ。これは書いてある文字を読むとき用の翻訳機さ。この新聞によると、この世界でも戦争が未だに絶えず、国民はヒヤヒヤして暮らしているらしい。
また、この国では軍備増強がなされているらしく、人型の飛べる装置まで開発されてるそうだ。

さてと......ニャルマ! 君の端末では、ゴクはあとどのくらいの位置と表示されてるんだい?」



「そうね......あと2000メートルと書いてあるから、大体この街の近くの山の峰あたりかしら?」


「そろそろモノボールから連絡が来ても良い頃じゃないかな? あれを放ってから、大体6時間くらい経つよ?」


「そうだな......ひとつくらい......ん? ちょっ待て! 反応が来たぞ!」









 同時刻、俺は疲れに疲れきって、眼下に街が見えてきたくらいの位置で、休憩をとっていた。

 しかし、俺の足にもいよいよ限界が来て、もう到底歩けるような状態では無かった。



「なぁサイ......さっきは悪かった。でも、さっき言ったことは本音なんだ。だから......つまり俺が言いたいのは、お前が死なない程度には道具に頼れって事だ。だけど、いつも道具があるとは限らない。だから、あまり無闇に道具に頼るような思考は辞めてくれって事だ。」


「ふぅ......はぁ......そうか......ん? なんだありゃ? なんか......ちっこいボールみたいなのが......?」


「クソっ! 不味い! ニャルマの偵察用小型ロボットだ! 見つかっちまった!」


「ニャルマ......? アイツらもこっちの世界に来てたのか......? クソっ......足が動かねぇ......」


「サイ、無理すんな! ここは俺の道具で凌ぎきる! 取り敢えず意識だけはハッキリ保て!」


「......ハァ......ハァ......あれ? なんだか......だんだん......意識が......」


「不味い......サイ! そりゃここまでほぼ休み無しで下山したんだ! 疲労しない方がおかしいさ! お前は今疲れてるんだ! だけどまだ寝るな! ここで捕まったらダメだ!」


「あ......あぁ......ゴク......道具を......」

 ゴクは俺の言葉を聞き入れると、間髪入れずに何かを吐き出した。それは人型のなにかであった。


「サイ! コイツは『ホムンクルス』だ! コイツに何か命令をしろ!」


「ホムンクルス......俺らを守れ......そして......俺らを......病院に連れて行け......」


『了解しましたマスター』

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