苦役甦す莇
Re:Episode28 Naughty words
カエデはその日に組まれていたプログラムを全て終えると、いの一番にトオルの元に向かった。
そして睨みつけるように、部屋から出てくるトオルの事を凝視した。
「さて、今日からみっちりついてってやるんだから!」
そう言うと、カエデは『律の恋愛成功計画書』と書かれた小さな冊子を、トオルに突き付けた。
「あぁ。そうだな。」
熱の入ってるカエデとは対照的に、トオルはごく冷めていて、淡白な返しをした。そしてなんでもない事のように、渡された冊子を受け取り、ペラペラと捲って斜め読みをした。
「まず話に入る前の段階。突然だが、君は前世を信じるかい?」
「前世?」
「あぁ。君が『色葉 楓』としてこの世に生を受ける前の、君の存在の事さ。」
「私は信じてるよ。前世のこと。」
「OK。じゃあ次の段階、その前世から今の人生になる時、それが誰かに意図されていたものだと言う事があるとしたら、君は信じるかい?」
「えっと......それは私がこの世界に生まれることが、誰かによって決定づけられていたってこと?」
「そういう事。」
「それは流石に信じられないかな。」
「なるほど。それは何故?」
「何故って......そりゃあ、誰かに意図されていたものだとしたら、私はその意図した者の通りに動いてるはず。でも私は何も成し遂げていない。」
「君は成し遂げたさ。大いなる偉業を。」
「大いなる......偉業?」
「君が覚えていないだけさ。その『意図した者』の手によって、君が滞りなく日常に戻れるように、その事に関する記憶を『外』されたんだ。
他のものも同じ。この世界に住む者全員が、記憶がすっぽ抜けてる。でも誰もその違和感に気づかない。まるでこの世界が、遥か太古の昔からそうであったかのように振舞っている。」
「違うって言いたいの? 今私たちが認識しているこの世界は、昔は違った姿をしていたってワケ?」
「あぁ。肯定だ。君はこの世界を変えた。いや、あるべき姿に戻したと言った方が適切かな。とにかく君は『意図した者』の成し遂げられなかったことを完遂させたんだ。」
「一つ質問していい?」
「どうぞ。」
「どうしてトオル君はそんな事を知っているの? この世界に住む者全員が覚えていないなら、トオル君だって知ってるわけ無くない? 矛盾してるよ。」
「矛盾なんかしてないさ。」
「どうして?」
「だって俺は、その時点ではこの世界に存在していなかったから。」
「この世界に存在していなかった?」
「あぁ。俺はこの世界が変わった後に、この世界にやってきた。この世界の『外』で、変わる一連の流れを眺めていた。」
「貴方は何者?」
「俺? 俺はただの前世がカラスだっただけの人間さ。信じるものの為に死んで、無限世界という場所に辿り着いた。そこからこの世界を眺めていた。世界が完全に平和になった後、俺はやるべき事を果たす為にここにやって来た。」
「やるべき事?」
「形はどうあれ、君に、若しくは他の誰かにこの事実を伝える事さ。」
「事実? 貴方が一方的に押し付けてる妄想じゃなくて? 私はまだ貴方の話を信じる事が出来ないよ。」
「別に信じなくていいよ。ただの戯言と思えばいい。だけどそれじゃ、君は一生真実に辿り着けない。」
「何その言い方。気に食わないんだけど。」
「俺は事実を言ってるだけさ。信じる信じないは君次第。でも信じなければ真実には辿り着けない。そう言ってるんだ。」
「その! 言い方が気に食わないって! 言ってんの! その! 見せかけの二者択一が! 気に食わないの!」
「ふぅ......まぁそうカッカするなよ。美しい顔が台無しだぜ?」
「この期に及んでキザなセリフとは、ズブてぇ野郎だ。私は何が何でもアンタの言うこと信じねぇから! 大体さ、何でその『意図した者』が消した記憶の事を、アンタが掘り返すわけ? 意味わかんないんだけど!?」
「不憫だとは思わないのか?」
「ぁん?」
「不憫だって言ったんだ。この世界の為にその存在の全てを捧げ、そして永遠の孤独を享受した彼のことを。不憫だろ、可哀想だろ。誰も覚えてないなんて悲しいじゃないか。」
「可哀想? それは貴方が勝手に、その『意図した者』を可哀想にしてるだけじゃないの? 今、私が忘れてる状態が『意図した者』が望んだ状態なんじゃないの? 貴方の妄想は穴だらけ。はい論破。」
「人間はそんなに合理的に出来てるワケじゃ無かろう。『意図した者』だって、不器用なだけなんだ。彼だって覚えておいて欲しかった筈なんだ。でも全人類を思いやるあまり、彼は自身に関する記憶を消し飛ばした。これじゃ彼が浮かばれない。」
「浮かばれようが、浮かばれまいが、私の知ったこっちゃない。覚えてないなら存在しないも同じ。貴方が勝手に可哀想にしようとしてるだけ。私は貴方の話を信じない。」
「何故そんなにまで頑なに信じようとしない?」
「信じたら、覚えてもいない奴を『可哀想な奴』にしてしまうから。これが私なりの思いやり。」
「そうか。真実に辿り着く事よりも大切な思いやりか。でもそれが正しいと言えるのか?」
「正しい正しくないの問題じゃない。私はこうしたいだけ、こうありたいだけ。覚えてもない人間にまで気を使ってたらキリが無いよ。
人間そんなに完璧に出来てるわけじゃない。だったらせめて、今覚えてるモノ、今そこにあるものを大切にしたいよ。」
「今そこにあるものが全て、その『意図した者』の犠牲の上に成り立っているとしても?」
「別に私は、その『意図した者』を蔑ろにするとかそういう気持ちは無い。
ただ、あなたの言ってることが本当であったとしても、それは立証しようのない『語り得ない』事だし、信じるか信じないかは私の自由。だから私は信じないという選択を選んだだけ。
何かの犠牲で私が成り立つという話で言えば、食料になった獣や植物にも同じことが言える。でも彼らの存在は実際に知っているし、覚えている。でも『意図した者』は知らないし覚えてない。
私は、私の血肉となった獣や植物へ感謝し、食べる側の者としての礼儀を払っている。
しかし、君の言う『意図した者』へは感謝出来ない。自覚が無いからな。感謝しようが無い。うわべだけで『ありがとうございます』なんてのはいくらでも言える。だけど違うでしょ? そう言うのは。
私が認識していない限り、記憶していない限り感謝のしようもなければ、哀れみの情を投げかけることすら出来ない。だから信じないと言ってるの。分かった?」
「なるほどね。では俺から最後に一つだけ質問しよう。君の1番大切なものは何だ?」
「そんなの決まってる。『他の存在との関わり』だ。私はこれを大切にしてる。」
「なるほど......他人の恋路を一生懸命繋ごうとしてるのも、それが所以か。」
トオルは、納得するかのように、渡された冊子をパタンと閉じた。
「もっちろん! これからトオル君には、リツの分バリバリ働いてもらうからね!」
「分かってますよ。」
片桐 了は誰もいなくなったプールで、1人物思いに耽っていた。ユラユラと揺れる水面を眺めながら、自分の気持ちについて考えていた。
「なぁに黄昏てんのさ!」
背後から突然背中をドンと押され、危うくプールに落ちかけ、瞬時に振り向いた。
「な! なんだよ......奏かよ。驚かせんなよな。」
「あ! もしかしてビビった?」
「バ! そんなワケねぇだろ!」
「ふぅん......ビビったんだぁ。」
「そんなワケねぇって言ってんだろ!」
「あーいいのいいの。無理しなくても、この奏ちゃんは、ちゃーんと分かってますから。」
「分かってねぇだろ!」
「あははは! ムキになって! 子供みた〜い。」
「な! なにィ!?」
了はスっと立ち上がると、奏は挑発するようにプールサイドで舞った。
「ほ〜ら! 捕まえてご覧よ〜!」
「なんだと!」
了は奏を追うようにプールサイドを走った。獣人特有のその筋肉質な体で、タイルの上を駆け抜けた。
「貴方は決してボクを捕まえることは出来ない。」
「なに?」
「だって貴方、盲目的だから。」
奏は手に持っていた糸をチョイっと引っ張った。すると了の足元を掬われ、その場ですっ転んだ。
「いで!」
「ボクの事ばかり見て、周りをよく見てない。注意力散漫すぎ。」
「注意力散漫だと?」
「ボク知ってるよ。君がボクの事好きなの。」
「え?」
「だから知ってるって、リョウ君、ボクの事好きなんでしょ?」
「は? 何言って......」
「だからその反応。最近ボクによく話しかけてくるようになった傾向。そして何より同じ部活の仲間にこぼしている愚痴が何よりの証拠。」
「な! あいつら......」
「別にボクの事を好きでいても構わないよ? ただ、ボクには既に立派な彼氏がいるから。」
「は? 彼氏? 誰だよ!」
「色葉 楓っていう、超絶イケてる彼氏だよ。」
「は? あいつが彼氏? あいつ女だろ。」
「女が女を愛しちゃいけないのか?」
「そういう事じゃ......」
「君が今言ったことはそういう事だろ? 同性間で恋愛しちゃいけないのか? それは何故だ? 周りが異性間での恋愛ばかりしているからか? 君は随分と古い人間だな。」
「古い人間?」
「人類が恋愛するのは、種を遺すという動物的な理由だけでは無いという事を、今ここでちゃんと知っておくべきだ。
人類が恋愛するのは、好きな人と時間を共にする為、そしてそれによって、向かい合うだけではなく、いつしか同じ方向を向いて生きていくためだ。
君はボクしか見ていない。それではまるで駄目だ。君の為にならない。君は、近くにある本当の愛を知るべきだ。」
「近くにある本当の愛?」
「それは自力で探し出すんだ。ボクから教えちゃ、なんの意味もない。君には、自分で見つけ出し、理解して受け入れるという過程こそ必要だ。その後結果など、なるようになる。」
「そんなに言うなら見つけてやるよ。」
そして睨みつけるように、部屋から出てくるトオルの事を凝視した。
「さて、今日からみっちりついてってやるんだから!」
そう言うと、カエデは『律の恋愛成功計画書』と書かれた小さな冊子を、トオルに突き付けた。
「あぁ。そうだな。」
熱の入ってるカエデとは対照的に、トオルはごく冷めていて、淡白な返しをした。そしてなんでもない事のように、渡された冊子を受け取り、ペラペラと捲って斜め読みをした。
「まず話に入る前の段階。突然だが、君は前世を信じるかい?」
「前世?」
「あぁ。君が『色葉 楓』としてこの世に生を受ける前の、君の存在の事さ。」
「私は信じてるよ。前世のこと。」
「OK。じゃあ次の段階、その前世から今の人生になる時、それが誰かに意図されていたものだと言う事があるとしたら、君は信じるかい?」
「えっと......それは私がこの世界に生まれることが、誰かによって決定づけられていたってこと?」
「そういう事。」
「それは流石に信じられないかな。」
「なるほど。それは何故?」
「何故って......そりゃあ、誰かに意図されていたものだとしたら、私はその意図した者の通りに動いてるはず。でも私は何も成し遂げていない。」
「君は成し遂げたさ。大いなる偉業を。」
「大いなる......偉業?」
「君が覚えていないだけさ。その『意図した者』の手によって、君が滞りなく日常に戻れるように、その事に関する記憶を『外』されたんだ。
他のものも同じ。この世界に住む者全員が、記憶がすっぽ抜けてる。でも誰もその違和感に気づかない。まるでこの世界が、遥か太古の昔からそうであったかのように振舞っている。」
「違うって言いたいの? 今私たちが認識しているこの世界は、昔は違った姿をしていたってワケ?」
「あぁ。肯定だ。君はこの世界を変えた。いや、あるべき姿に戻したと言った方が適切かな。とにかく君は『意図した者』の成し遂げられなかったことを完遂させたんだ。」
「一つ質問していい?」
「どうぞ。」
「どうしてトオル君はそんな事を知っているの? この世界に住む者全員が覚えていないなら、トオル君だって知ってるわけ無くない? 矛盾してるよ。」
「矛盾なんかしてないさ。」
「どうして?」
「だって俺は、その時点ではこの世界に存在していなかったから。」
「この世界に存在していなかった?」
「あぁ。俺はこの世界が変わった後に、この世界にやってきた。この世界の『外』で、変わる一連の流れを眺めていた。」
「貴方は何者?」
「俺? 俺はただの前世がカラスだっただけの人間さ。信じるものの為に死んで、無限世界という場所に辿り着いた。そこからこの世界を眺めていた。世界が完全に平和になった後、俺はやるべき事を果たす為にここにやって来た。」
「やるべき事?」
「形はどうあれ、君に、若しくは他の誰かにこの事実を伝える事さ。」
「事実? 貴方が一方的に押し付けてる妄想じゃなくて? 私はまだ貴方の話を信じる事が出来ないよ。」
「別に信じなくていいよ。ただの戯言と思えばいい。だけどそれじゃ、君は一生真実に辿り着けない。」
「何その言い方。気に食わないんだけど。」
「俺は事実を言ってるだけさ。信じる信じないは君次第。でも信じなければ真実には辿り着けない。そう言ってるんだ。」
「その! 言い方が気に食わないって! 言ってんの! その! 見せかけの二者択一が! 気に食わないの!」
「ふぅ......まぁそうカッカするなよ。美しい顔が台無しだぜ?」
「この期に及んでキザなセリフとは、ズブてぇ野郎だ。私は何が何でもアンタの言うこと信じねぇから! 大体さ、何でその『意図した者』が消した記憶の事を、アンタが掘り返すわけ? 意味わかんないんだけど!?」
「不憫だとは思わないのか?」
「ぁん?」
「不憫だって言ったんだ。この世界の為にその存在の全てを捧げ、そして永遠の孤独を享受した彼のことを。不憫だろ、可哀想だろ。誰も覚えてないなんて悲しいじゃないか。」
「可哀想? それは貴方が勝手に、その『意図した者』を可哀想にしてるだけじゃないの? 今、私が忘れてる状態が『意図した者』が望んだ状態なんじゃないの? 貴方の妄想は穴だらけ。はい論破。」
「人間はそんなに合理的に出来てるワケじゃ無かろう。『意図した者』だって、不器用なだけなんだ。彼だって覚えておいて欲しかった筈なんだ。でも全人類を思いやるあまり、彼は自身に関する記憶を消し飛ばした。これじゃ彼が浮かばれない。」
「浮かばれようが、浮かばれまいが、私の知ったこっちゃない。覚えてないなら存在しないも同じ。貴方が勝手に可哀想にしようとしてるだけ。私は貴方の話を信じない。」
「何故そんなにまで頑なに信じようとしない?」
「信じたら、覚えてもいない奴を『可哀想な奴』にしてしまうから。これが私なりの思いやり。」
「そうか。真実に辿り着く事よりも大切な思いやりか。でもそれが正しいと言えるのか?」
「正しい正しくないの問題じゃない。私はこうしたいだけ、こうありたいだけ。覚えてもない人間にまで気を使ってたらキリが無いよ。
人間そんなに完璧に出来てるわけじゃない。だったらせめて、今覚えてるモノ、今そこにあるものを大切にしたいよ。」
「今そこにあるものが全て、その『意図した者』の犠牲の上に成り立っているとしても?」
「別に私は、その『意図した者』を蔑ろにするとかそういう気持ちは無い。
ただ、あなたの言ってることが本当であったとしても、それは立証しようのない『語り得ない』事だし、信じるか信じないかは私の自由。だから私は信じないという選択を選んだだけ。
何かの犠牲で私が成り立つという話で言えば、食料になった獣や植物にも同じことが言える。でも彼らの存在は実際に知っているし、覚えている。でも『意図した者』は知らないし覚えてない。
私は、私の血肉となった獣や植物へ感謝し、食べる側の者としての礼儀を払っている。
しかし、君の言う『意図した者』へは感謝出来ない。自覚が無いからな。感謝しようが無い。うわべだけで『ありがとうございます』なんてのはいくらでも言える。だけど違うでしょ? そう言うのは。
私が認識していない限り、記憶していない限り感謝のしようもなければ、哀れみの情を投げかけることすら出来ない。だから信じないと言ってるの。分かった?」
「なるほどね。では俺から最後に一つだけ質問しよう。君の1番大切なものは何だ?」
「そんなの決まってる。『他の存在との関わり』だ。私はこれを大切にしてる。」
「なるほど......他人の恋路を一生懸命繋ごうとしてるのも、それが所以か。」
トオルは、納得するかのように、渡された冊子をパタンと閉じた。
「もっちろん! これからトオル君には、リツの分バリバリ働いてもらうからね!」
「分かってますよ。」
片桐 了は誰もいなくなったプールで、1人物思いに耽っていた。ユラユラと揺れる水面を眺めながら、自分の気持ちについて考えていた。
「なぁに黄昏てんのさ!」
背後から突然背中をドンと押され、危うくプールに落ちかけ、瞬時に振り向いた。
「な! なんだよ......奏かよ。驚かせんなよな。」
「あ! もしかしてビビった?」
「バ! そんなワケねぇだろ!」
「ふぅん......ビビったんだぁ。」
「そんなワケねぇって言ってんだろ!」
「あーいいのいいの。無理しなくても、この奏ちゃんは、ちゃーんと分かってますから。」
「分かってねぇだろ!」
「あははは! ムキになって! 子供みた〜い。」
「な! なにィ!?」
了はスっと立ち上がると、奏は挑発するようにプールサイドで舞った。
「ほ〜ら! 捕まえてご覧よ〜!」
「なんだと!」
了は奏を追うようにプールサイドを走った。獣人特有のその筋肉質な体で、タイルの上を駆け抜けた。
「貴方は決してボクを捕まえることは出来ない。」
「なに?」
「だって貴方、盲目的だから。」
奏は手に持っていた糸をチョイっと引っ張った。すると了の足元を掬われ、その場ですっ転んだ。
「いで!」
「ボクの事ばかり見て、周りをよく見てない。注意力散漫すぎ。」
「注意力散漫だと?」
「ボク知ってるよ。君がボクの事好きなの。」
「え?」
「だから知ってるって、リョウ君、ボクの事好きなんでしょ?」
「は? 何言って......」
「だからその反応。最近ボクによく話しかけてくるようになった傾向。そして何より同じ部活の仲間にこぼしている愚痴が何よりの証拠。」
「な! あいつら......」
「別にボクの事を好きでいても構わないよ? ただ、ボクには既に立派な彼氏がいるから。」
「は? 彼氏? 誰だよ!」
「色葉 楓っていう、超絶イケてる彼氏だよ。」
「は? あいつが彼氏? あいつ女だろ。」
「女が女を愛しちゃいけないのか?」
「そういう事じゃ......」
「君が今言ったことはそういう事だろ? 同性間で恋愛しちゃいけないのか? それは何故だ? 周りが異性間での恋愛ばかりしているからか? 君は随分と古い人間だな。」
「古い人間?」
「人類が恋愛するのは、種を遺すという動物的な理由だけでは無いという事を、今ここでちゃんと知っておくべきだ。
人類が恋愛するのは、好きな人と時間を共にする為、そしてそれによって、向かい合うだけではなく、いつしか同じ方向を向いて生きていくためだ。
君はボクしか見ていない。それではまるで駄目だ。君の為にならない。君は、近くにある本当の愛を知るべきだ。」
「近くにある本当の愛?」
「それは自力で探し出すんだ。ボクから教えちゃ、なんの意味もない。君には、自分で見つけ出し、理解して受け入れるという過程こそ必要だ。その後結果など、なるようになる。」
「そんなに言うなら見つけてやるよ。」
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