苦役甦す莇
Episode59 World & world
その日、空には不思議な光景が写し出された。空に地球が見えるのである。
それぞれの地球の民は、各々混乱し、何故このような不可思議な状況に陥っているのか理解出来なかった。
そして宇宙には7つの月が浮かんでいた。その7つある月のうちの1つでは、人類の命運をかけた最後の決着が始まりつつあった。
「......最後に残ったのは貴女達だけよサクリ。何故貴女のような者がこんな所にいるのか知らないけど、せめてただの傍観者という立場を甘んじて受け入れる事ね。」
サクリの周りには沢山の亡骸が倒れていた。フランは発狂して死に絶え、アザムキはホロウに貫かれて死に、ラピスは暴走したホロウの攻撃からサクリを庇って死んだ。
「......どうして......どうしてこんな事に......」
サクリは心の内から溢れ出てくる、悲しい気持ちと怒りの気持ちを抑えながら、アザムキの亡骸を抱きかかえた。
「そうだな......最高に気分がいいから、君には私の計画の全容を教えておこう。
私は魔の海域出身のクラゲ型獣人だ。私は既に身体に第一の神の血を受けていて、神の力の一部が使えた。
それをフルに活用し、とある二つの事実に辿り着いた。
『人類にはワイズマンになるか絶滅するかの二択が与えられていること』そして『その世代がワイズマンになった場合、人類で最強の者がワイズマンの主人格となれるということ』の二つだ。
私はワイズマンになった際、主人格となるべきだと思った。その為には最強にならなくてはいけない。しかし、ここで言う最強と言うのは、異なる存在を受け入れる強さの事であって、他人を打ち負かす強さでは無い。
私は最強になるべく努力したが、とある事をきっかけに途中で挫折した。私は人間のあまりの醜さに絶望したのだ。
サクリ君、君なら一番分かるはずだ。獣人を虐げて来た人間の愚かさが。私は日に日に当初のやり方が通用しなくなってきた事に絶望し、そして曲がりなりにも目的は果たそうと考えた。
それが『神を産むこと』と『王を擁立すること』の二つだと思ったのだ。神の母親になれば信仰も集まる、王を擁立すれば皆が私を崇め奉る。そうすれば自動的にその世代の代表になれ、私こそが最強だと知らしめることが出来ると思ったのだ。
そして現在に至る。計画のスタートこそ私の私利私欲ではあるが、結果として公益が与えられるのだから全人類文句はあるまいよ。
まぁ......ほぼ計画通りとはいえ、まさか息子が不義理だったのは計算外だったがね。」
「なんて勝手な理屈! アザムキさんの母親でありながら育てる事もしないで! 不義理で当然でしょ!」
「私にはやるべき事があったのだ! 親にもなった事の無い小娘がほざくな!」
「親にもなれてない貴女に言われたかないわ! 産んだだけで親になったなんて、ちゃんちゃらおかしいわ! 私のお母さんは最後まで私の事を思ってくれていた! 貴女は間違ってる!」
「仕方無かったのだ! 私が導かねば......私が導かねばこの世代の人類は絶滅していた。」
「抑圧されて生き延びるくらいなら、せめて最後まで自由な意志を持って絶滅するわ! 絶滅しない事が人間の幸福だなんて決めつけないで!」
「君は絶滅しても良いというのかね? おかしな話だ。生き物として生きている以上、生存の確率が高い方に飛び込むのが本能じゃないのかね?」
「自由な意志を奪われて生きるのは、きっと死ぬより辛いわ!」
「勝手にほざいていれば良い。どうせあと数分で2つの世界は混ざって、私とマヤの時代が来るのだからな。」
俺は......死んだのか?
いや、死んじゃいない。
ミラ?
アザムキ、お前は今、生と死の瀬戸際に居る。
俺は......間違っていたのかな......
そんな事、誰にも分からない。でもお前がこのまま死ねば、これからの歴史ではお前は間違っていた事にされる。歴史の転換点では勝者こそ正しく、敗者が間違っているのだ。
そうか......
でもお前は良くやったと思う。最後の最後でお前はホロウの魂を救済したのだから。
どういう事だ?
お前は自覚して無いだろうが、今お前の体には、この戦争で亡くなった霊が続々と集まってきている。それはきっと死者がお前を支持しているからだ。俺だって、お前の身体の中にいたお陰で、ホロウの霊と会話して和解できた。
そうなのか。
全てお前のお陰だ。あとはお前がどうしたいかだけだ。
俺は......俺は最後まで自分の意志を......
アザムキはゆっくりと目を覚ました。身体には依然として大穴が空いていて、生命力は無いはずなのに、使命感と気力だけが自分を突き動かした。
そっと大穴が空いている胸元に手を当てると、胸元にしまっていたシナトラの葉が破けていた。シナトラが残してくれた葉のお陰で、一時的に死という事実を誤魔化しているようである。
「あ......アザムキさん!?」
「サクリ......離してくれ。俺は最後にマヤとアギルと和解しなきゃならない。」
アザムキはゆっくりと起き上がり、母親であるアギルの目の前に立った。
「ソウセキ!? なんで起き上がれる!」
「それは......きっと俺が神だからかな?」
「どうして......どうしてこうも私の前にたち塞がる! どうせ今起きてきた所で、もう世界の融合は止められないんだぞ!」
「別に止めるつもりは無い。」
「なら何故!」
アザムキは少しの間黙り、チラリと2つの地球を眺め、そして神の機雷に向けて手を翳した。
すると、右手からヒヒイロカネの剣が飛び出し、たちまちアザムキの右腕を炎で包んだ。
「何をするつもりだ!」
「見てりゃ分かるさ。」
アザムキの右腕と同化したヒヒイロカネの剣から発せられる煌々とした光は、まるで太陽のようであり、月の大地を赤く染め、地上にもう一つの光を齎した。
そしてその剣からは今までアザムキが殺してきた魔獣の残留意思が解き放たれ、白き獅子は牙で、ダイオウイカは触手で神の機雷を破壊していった。
そして破壊された神の機雷から出た毒ガスは、ヒヒイロカネの剣の炎で一閃し、穢れを焼き払う聖なる炎で浄化した。
「これが......これが俺のやるべき事だったんだ。さぁアギル......いや母さん、もう貴女が俺を脅す道具は無くなった。」
「......こっちはサギの身柄を確保してるんだぞ!? サギの命がどうなっても良いのか!」
「母さん......サギを殺して損するのは母さんの方だろ? サギをさっき殺さなかったって事は、次の世界を創り上げるうえで必要な存在なんだろ? そうじゃなきゃ、貴女が実の息子である俺を捨ててまで、シュバルから預けられたサギの事を手塩にかけて育てた理由が分からない。」
「どこまでも私の事を邪魔する気か......どうせお前が平和な世界を創りあげたところで、人間平和に飽きりゃまた戦争を始めるんだぞ!? それでもいいのか!」
「そうならないように、俺は今から最後の務めを果たす。カエデ! ピースベルを発動! そして俺は『範囲の外の力』を行使する!」
『了解しましたマスター。ピースベル発動致します。』
アザムキの平和の鐘は2つの世界に響き渡った。そして、その鐘を鳴らし終わった頃、カエデは限界を迎えた。
『異常を検知......物理的破壊による損傷甚大......システムの再始動を検討中......演算終了、再始動不可能。
申し訳ございませんマスター。私はこれまでのようです。』
先程ホロウが空けた大穴のせいで、カエデにも甚大なダメージがあり、最早これ以上何かをする事は出来なくなっていた。
「良いんだカエデ。ありがとう。」
『そしてアギル様、こんな機械に生命を与えて下さってありがとうございました。』
「馬鹿言え。お前らに自立思考機能を与えたのは、お前らの本来のユーザーである背徳者達を良いように動かす為だ。」
『それでも......本当に嬉しかったのです......アギル様が造って下さり......マスターが名を与えて下さった......本当に、本当に......ありがとう......ございま......し......た......』
カエデは最後の感謝を伝えきると、鎧としての機能を失い、アザムキから剥がれ落ちるように壊れて行った。
「これで俺のするべき事は大体終わった......最後の大仕事の前に、一つだけやっておかなきゃならん事がある。」
するとアザムキはサクリが持っていた袋から、自身の学生服を取り出し、それに着替えた。
「アザムキさん......何をしてるんです?」
アザムキは学生服のポケットから自身の携帯を取り出し、手際良く操作した後、耳元にあてた。
「挨拶しておこうと思って。沢山不在着信が入ってたし。」
それは今現在向こうの世界と繋がっているからこそ出来ることであった。ケータイで幼馴染のカンナに連絡を取ること。そして自分はもう永く生きてられない事を伝えなくてはいけなかった。
しかし、アザムキは知る由もない。カンナは既にクノリの手中に堕ちている事。
そんな事実があるせいで、アザムキのケータイからは無情にも『おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません』の音声が流れるばかりであった。
「出ない......か。まぁ良い。母さん、そしてマヤ、後は貴女達を受け入れるだけだ。」
「はっ! 私達を受け入れる? とうとう頭おかしくなっちまったのか!? えぇ? 例えアギルが納得したとしても、私は絶対に認めないからな!」
「母さんの考えは?」
「私の人生を捧げた......この計画......こんな神気取りの小僧っ子一人に......こんなガキ一人に潰されるなど! あってはならないんだ!」
「そうかいそうかい。ならもう一度その手で俺を殺せば良い。ホロウの手なんか使わずに、直接俺を殺せば良いだろ!」
「うがあああああ! 獣進化!」
なりふり構っていられなくなったアギルは本性を表し、冷静さを欠いて本来の姿を見せた。その姿を形容するなら、フワフワと宙に浮く大きなクラゲである。
その妖しい触手でアザムキの身体を絡めとり、針を思い切り突き刺した。
マヤはそれに援護するように、アザムキに大量の剣を突き刺した。
「死ね! アザムキソウセキ!」
「俺は......神だ......!」
アザムキは自身の胸に空いている大穴に手を突っ込み、無理やりガバッと開いてみせた。
「この世界の『外の力』を行使する!」
「アザムキさん!」
「サクリ......ありがとうな!」
それぞれの地球の民は、各々混乱し、何故このような不可思議な状況に陥っているのか理解出来なかった。
そして宇宙には7つの月が浮かんでいた。その7つある月のうちの1つでは、人類の命運をかけた最後の決着が始まりつつあった。
「......最後に残ったのは貴女達だけよサクリ。何故貴女のような者がこんな所にいるのか知らないけど、せめてただの傍観者という立場を甘んじて受け入れる事ね。」
サクリの周りには沢山の亡骸が倒れていた。フランは発狂して死に絶え、アザムキはホロウに貫かれて死に、ラピスは暴走したホロウの攻撃からサクリを庇って死んだ。
「......どうして......どうしてこんな事に......」
サクリは心の内から溢れ出てくる、悲しい気持ちと怒りの気持ちを抑えながら、アザムキの亡骸を抱きかかえた。
「そうだな......最高に気分がいいから、君には私の計画の全容を教えておこう。
私は魔の海域出身のクラゲ型獣人だ。私は既に身体に第一の神の血を受けていて、神の力の一部が使えた。
それをフルに活用し、とある二つの事実に辿り着いた。
『人類にはワイズマンになるか絶滅するかの二択が与えられていること』そして『その世代がワイズマンになった場合、人類で最強の者がワイズマンの主人格となれるということ』の二つだ。
私はワイズマンになった際、主人格となるべきだと思った。その為には最強にならなくてはいけない。しかし、ここで言う最強と言うのは、異なる存在を受け入れる強さの事であって、他人を打ち負かす強さでは無い。
私は最強になるべく努力したが、とある事をきっかけに途中で挫折した。私は人間のあまりの醜さに絶望したのだ。
サクリ君、君なら一番分かるはずだ。獣人を虐げて来た人間の愚かさが。私は日に日に当初のやり方が通用しなくなってきた事に絶望し、そして曲がりなりにも目的は果たそうと考えた。
それが『神を産むこと』と『王を擁立すること』の二つだと思ったのだ。神の母親になれば信仰も集まる、王を擁立すれば皆が私を崇め奉る。そうすれば自動的にその世代の代表になれ、私こそが最強だと知らしめることが出来ると思ったのだ。
そして現在に至る。計画のスタートこそ私の私利私欲ではあるが、結果として公益が与えられるのだから全人類文句はあるまいよ。
まぁ......ほぼ計画通りとはいえ、まさか息子が不義理だったのは計算外だったがね。」
「なんて勝手な理屈! アザムキさんの母親でありながら育てる事もしないで! 不義理で当然でしょ!」
「私にはやるべき事があったのだ! 親にもなった事の無い小娘がほざくな!」
「親にもなれてない貴女に言われたかないわ! 産んだだけで親になったなんて、ちゃんちゃらおかしいわ! 私のお母さんは最後まで私の事を思ってくれていた! 貴女は間違ってる!」
「仕方無かったのだ! 私が導かねば......私が導かねばこの世代の人類は絶滅していた。」
「抑圧されて生き延びるくらいなら、せめて最後まで自由な意志を持って絶滅するわ! 絶滅しない事が人間の幸福だなんて決めつけないで!」
「君は絶滅しても良いというのかね? おかしな話だ。生き物として生きている以上、生存の確率が高い方に飛び込むのが本能じゃないのかね?」
「自由な意志を奪われて生きるのは、きっと死ぬより辛いわ!」
「勝手にほざいていれば良い。どうせあと数分で2つの世界は混ざって、私とマヤの時代が来るのだからな。」
俺は......死んだのか?
いや、死んじゃいない。
ミラ?
アザムキ、お前は今、生と死の瀬戸際に居る。
俺は......間違っていたのかな......
そんな事、誰にも分からない。でもお前がこのまま死ねば、これからの歴史ではお前は間違っていた事にされる。歴史の転換点では勝者こそ正しく、敗者が間違っているのだ。
そうか......
でもお前は良くやったと思う。最後の最後でお前はホロウの魂を救済したのだから。
どういう事だ?
お前は自覚して無いだろうが、今お前の体には、この戦争で亡くなった霊が続々と集まってきている。それはきっと死者がお前を支持しているからだ。俺だって、お前の身体の中にいたお陰で、ホロウの霊と会話して和解できた。
そうなのか。
全てお前のお陰だ。あとはお前がどうしたいかだけだ。
俺は......俺は最後まで自分の意志を......
アザムキはゆっくりと目を覚ました。身体には依然として大穴が空いていて、生命力は無いはずなのに、使命感と気力だけが自分を突き動かした。
そっと大穴が空いている胸元に手を当てると、胸元にしまっていたシナトラの葉が破けていた。シナトラが残してくれた葉のお陰で、一時的に死という事実を誤魔化しているようである。
「あ......アザムキさん!?」
「サクリ......離してくれ。俺は最後にマヤとアギルと和解しなきゃならない。」
アザムキはゆっくりと起き上がり、母親であるアギルの目の前に立った。
「ソウセキ!? なんで起き上がれる!」
「それは......きっと俺が神だからかな?」
「どうして......どうしてこうも私の前にたち塞がる! どうせ今起きてきた所で、もう世界の融合は止められないんだぞ!」
「別に止めるつもりは無い。」
「なら何故!」
アザムキは少しの間黙り、チラリと2つの地球を眺め、そして神の機雷に向けて手を翳した。
すると、右手からヒヒイロカネの剣が飛び出し、たちまちアザムキの右腕を炎で包んだ。
「何をするつもりだ!」
「見てりゃ分かるさ。」
アザムキの右腕と同化したヒヒイロカネの剣から発せられる煌々とした光は、まるで太陽のようであり、月の大地を赤く染め、地上にもう一つの光を齎した。
そしてその剣からは今までアザムキが殺してきた魔獣の残留意思が解き放たれ、白き獅子は牙で、ダイオウイカは触手で神の機雷を破壊していった。
そして破壊された神の機雷から出た毒ガスは、ヒヒイロカネの剣の炎で一閃し、穢れを焼き払う聖なる炎で浄化した。
「これが......これが俺のやるべき事だったんだ。さぁアギル......いや母さん、もう貴女が俺を脅す道具は無くなった。」
「......こっちはサギの身柄を確保してるんだぞ!? サギの命がどうなっても良いのか!」
「母さん......サギを殺して損するのは母さんの方だろ? サギをさっき殺さなかったって事は、次の世界を創り上げるうえで必要な存在なんだろ? そうじゃなきゃ、貴女が実の息子である俺を捨ててまで、シュバルから預けられたサギの事を手塩にかけて育てた理由が分からない。」
「どこまでも私の事を邪魔する気か......どうせお前が平和な世界を創りあげたところで、人間平和に飽きりゃまた戦争を始めるんだぞ!? それでもいいのか!」
「そうならないように、俺は今から最後の務めを果たす。カエデ! ピースベルを発動! そして俺は『範囲の外の力』を行使する!」
『了解しましたマスター。ピースベル発動致します。』
アザムキの平和の鐘は2つの世界に響き渡った。そして、その鐘を鳴らし終わった頃、カエデは限界を迎えた。
『異常を検知......物理的破壊による損傷甚大......システムの再始動を検討中......演算終了、再始動不可能。
申し訳ございませんマスター。私はこれまでのようです。』
先程ホロウが空けた大穴のせいで、カエデにも甚大なダメージがあり、最早これ以上何かをする事は出来なくなっていた。
「良いんだカエデ。ありがとう。」
『そしてアギル様、こんな機械に生命を与えて下さってありがとうございました。』
「馬鹿言え。お前らに自立思考機能を与えたのは、お前らの本来のユーザーである背徳者達を良いように動かす為だ。」
『それでも......本当に嬉しかったのです......アギル様が造って下さり......マスターが名を与えて下さった......本当に、本当に......ありがとう......ございま......し......た......』
カエデは最後の感謝を伝えきると、鎧としての機能を失い、アザムキから剥がれ落ちるように壊れて行った。
「これで俺のするべき事は大体終わった......最後の大仕事の前に、一つだけやっておかなきゃならん事がある。」
するとアザムキはサクリが持っていた袋から、自身の学生服を取り出し、それに着替えた。
「アザムキさん......何をしてるんです?」
アザムキは学生服のポケットから自身の携帯を取り出し、手際良く操作した後、耳元にあてた。
「挨拶しておこうと思って。沢山不在着信が入ってたし。」
それは今現在向こうの世界と繋がっているからこそ出来ることであった。ケータイで幼馴染のカンナに連絡を取ること。そして自分はもう永く生きてられない事を伝えなくてはいけなかった。
しかし、アザムキは知る由もない。カンナは既にクノリの手中に堕ちている事。
そんな事実があるせいで、アザムキのケータイからは無情にも『おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりません』の音声が流れるばかりであった。
「出ない......か。まぁ良い。母さん、そしてマヤ、後は貴女達を受け入れるだけだ。」
「はっ! 私達を受け入れる? とうとう頭おかしくなっちまったのか!? えぇ? 例えアギルが納得したとしても、私は絶対に認めないからな!」
「母さんの考えは?」
「私の人生を捧げた......この計画......こんな神気取りの小僧っ子一人に......こんなガキ一人に潰されるなど! あってはならないんだ!」
「そうかいそうかい。ならもう一度その手で俺を殺せば良い。ホロウの手なんか使わずに、直接俺を殺せば良いだろ!」
「うがあああああ! 獣進化!」
なりふり構っていられなくなったアギルは本性を表し、冷静さを欠いて本来の姿を見せた。その姿を形容するなら、フワフワと宙に浮く大きなクラゲである。
その妖しい触手でアザムキの身体を絡めとり、針を思い切り突き刺した。
マヤはそれに援護するように、アザムキに大量の剣を突き刺した。
「死ね! アザムキソウセキ!」
「俺は......神だ......!」
アザムキは自身の胸に空いている大穴に手を突っ込み、無理やりガバッと開いてみせた。
「この世界の『外の力』を行使する!」
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