苦役甦す莇
Episode5 Weasel words
声が出せなかった。物理的にでもあるが、同時に状況的にもだった。
皆に寝るように促して逃げるように自室に転がり込んだ俺が、皆を起こして助けを求めるような事するのは出来なかったからだ。
だが、このままサギにされるがままになるのも嫌だった。
サギの顔立ちや容姿はすごく可愛い。はっきり言って美人だ。
だが、これは流石に俺の中のルール的によろしくない。
「ねぇ? アザムキは私のこと好き?」
サギは俺の口を抑えた手を離して、代わりに俺の手を握ってきた。
俺の口が抑えられてる間の口周りにかいた変な汗がサギの手についてしまっていて、少し申し訳ない気がした。
「......ま、まぁサギは......可愛いと思うよ…...」
ビミョーに質問の答えになってない曖昧な返答をした。しかしそれが逆にまずかった。結果的にサギの心に火をつけた。
「なんで曖昧な答えなの!? ちゃんと質問に答えてよ! YESかNOか! ハッキリして!」
俺は吃った。「あー」とか「えっと」とか途切れ途切れにフワフワした事しか言えなかった。
正直なところここは『NO』と答えて押し通りたかった。しかしそれはサギの心を傷つけてしまうかもしれない。結果サギとの仲が悪くなりかねない。
その事は今後このギルドにおいて生活する上で非常によろしくない。仲間内での軋轢はギルドの崩壊に繋がりかねない。俺はその原因にはなりたくないのだ。
だからといって『YES』も選べなかった。サギの事を受け入れてしまうと今度はフランやクーネまで傷つけかねない。俺の思い込みでなければ、きっとそうだ。
そうなると結果は『NO』を選んだ場合と同じになる。どっちみち俺に選ぶことは無理なのである。
詰んだ。
少しの間絶望に打ちひしがれながら俺は選択を悩んでいた。どうするのがベストなのか。
しかし、その思考はまた俺の口が塞がれたことによって強制的に中断されてしまった。しかし今回は前回と違って手ではなく唇によって塞がれた。
あまりの事に反応が遅れてしまった。まさかいきなりキスしてくるとは。
んー! と声にならない声を上げようとしたが、何故か段々と体に力が入らなくなってきた。
サギはまるで俺の口から俺の生気を吸い取るようにキスをした。
段々立ってることすら出来なくなってきて、キスをされながらへたりとその場に座り込んだ。
頑張ってサギの顔を押しのけようとサギの顔に手をあてがうと、俺はとてつもなく驚いた。
俺の手が、もとい体が段々と透明になっていたのである。
不味い。こいつは俺から能力を奪うつもりだ。何としてでもそれは阻止しなくては。
俺はサギの顔にあてがった手をサギの頭の後に回し、しっかりと頭を掴んだ。今度は俺がサギにお返しをする番だ。
俺はサギから奪い返すようにキスをした。すると段々と俺の体に力が戻ってくる感じがした。
傍から見ればただのキスシーンにしか見えないが、その実かなり高度な命のやりとりをしているのである。
サギはとても驚いた表情で俺を見てきた。俺は完全に取り戻すまで離すつもりは無かった。
完全に力が漲り、取り戻したと確信した瞬間。俺の部屋の扉が勢い良く開いた。
さっきから何回かノックの音がしていたが、返答出来ない状況であったのと、俺の力を取り戻すのに夢中になり過ぎて放置していた。
部屋の外から入ってきたのはフランだった。
「何してんの? 二人とも。」
しまった、タイミングが悪すぎた。何回ノックしても反応しなかったから鍵をぶち壊してドアを開けるとは、流石切り込み特攻隊長......って感心している場合では無い。これは流石に勘違いされてもおかしくはない状況だ。なんとか説明しなくては。
そう思いキスしてる顔を離そうとしたが、サギがそれを阻止した。
そして力任せに俺のことをベッドに押し倒した。
「アザムキは私を受け入れてくれたのよ。貴女と違って私はがさつじゃないもの。」
サギはベッドの上で俺に向かってマウントポジションをとり優位な体勢になり、フランを小馬鹿にするように挑発しながら、フランには見えない角度でベッドに魔法をかけた。
すると俺は金縛りのような状態に陥り、声すら出せなくなった。
束縛系の魔法か。俺に余計な口出しをされたくないらしい。
「そうなの? アザムキ。」
フランは俺に質問したが俺は答えることが出来なかった。
「彼が答えないっていう事はそういう事なのよ。受け入れなさい。フラン。」
「サギは黙ってて! アタシはアザムキに聞いてるの!」
落ち着け。今は能力が使える。この束縛から抜け出すんだ。集中しろ俺。
相手は魔法で俺を束縛している。だから魔法の外の力を......
行使する。
瞬間、バキッと嫌な音が響いた。俺はすぐにマウントポジションをとっているサギを押しのけてベッドから転がり落ちるように逃げた。
「そんな!」
驚きの声を上げるサギを無視して、俺は這ってる体勢からまるでビーチフラッグレースのようなスピードで起き上がりながら走り、フランの後ろに隠れた。
「魔法なんかじゃ俺のことを縛っておくなんて出来ないんだよ!」
イメージしたのは魔法という概念の外にあるもっと強大な力そのものだった。予想通り、魔法を無理やりぶち破る事に成功した。
「フラン助けてくれ。あいつはキスすることで俺の命を奪おうとしたんだ。」
縋るように助けを乞う。先程まではフランに追い詰められてサギに助け舟を出してもらったのに、今じゃ形勢逆転だ。
「分かった。そこで待ってて。」
助かった。と安堵すると同時に非常に不味い事態に陥った事に気がついた。
メンバー内の軋轢を回避するためにした事が結局裏目に出てしまった。
まぁ襲ってきたサギが悪いと言えばそれまでだが。
「何よ。ここで私とやり合うつもり?」
目には見えないがフランとサギの睨み合っている間の空間が今にも爆発しそうだった。
俺の思考回路は今まで生きてきた中で最も早いスピードで神経伝達物質が巡っていた。どうするのがベストなのか。
①シナトラを起こしに行く。
②俺がこの場をなんとか収める。
③何もしない。ただ事の流れを見守る。
一番現実的な選択肢は①だ。だが根本的な解決には至らないだろう。
一番楽な選択肢は③だ。だがこれは絶対に選びたく無いところだ。
結局のところ②かな。
今さっき起きた事の記憶を外させてもらおう。
二人に対して
力を行使する。
二人はその場に倒れてしまった。
俺は二人をリビングまで引きずって行き、椅子に座らせた。
幸い、俺が自室に籠った後クーネとホロウはそれぞれの部屋に戻ったらしく、誰もいなかった。
これでリビングで寝落ちしたように見えなくもない。
「ふぅ......これで一件落着かな。」
俺は少しだけ疲れ、キッチンに行った。キッチンには冷蔵庫は無かった。代わりに大きめのBOXが1つ置いてあった。
BOXの中を覗くと何やら得体の知れない物が沢山入っていて反射的に閉めてしまった。
「しばらくこういう物を飲み食いしなきゃいけないなんてな…...」
そう考えると少し身震いしたが、まぁこの世界の住人が生きているのだから食えないことはないのだろう。
そうだ、食うといえば。確かアギルは俺に向かって「体を保つためには魔力を摂取しなければならない」的なことを言ってたな…...
今さっき俺はサギから能力を奪い返した。しかしその時、能力を奪い返すついでに、何故か自分では意識していないのにサギから魔力を少し吸い取っていた。
これはやはり体が無意識のうちに欲してるが故の行動なのかもしれない。
ま、どうせこのギルドに所属している以上高魔力を保有している化け物を狩る機会なんていくらでもありそうだからな。魔力に困りはしないだろう。
ふむ......サギが俺に近づいた理由はなんとなく理解したが、いかんせん他の奴らの行動理由がまだ定かでない以上、下手に関係を深めることは賢い者のすることではない。まずは適切な関係の距離を保たなくてはな。
「あれ?まだ起きてたんだ。」
俺があれこれ考えてる内に後ろから声をかけてきたのはクーネだった。
「あー、うん。まあね。」
ふわっとした感じではぐらかした。嘘をつきたくないし、かと言って本当のことも言いたくなかった。
「そう言うクーネも起きてるじゃん。なんかするの?」
何か質問される前に質問し、予防線を張った。
「私は明日の朝食の準備。暇なら手伝ってよ。」
クーネはそう言いながら棚の中から様々な調理道具を出した。
異世界だから俺らの世界と違うものでも使ってるのかなと思ったが、案外そうでもなかった。
包丁みたいなものや、まな板みたいなもの、鍋みたいなものまでそっくりそのままだった。
「アザムキは外から薪を持ってきてよ。」
「分かった。」
薪を持ってくるように言われ外に出ようとしたが、サギの転移で直接このアジトに入ってきたので、玄関がどこか分からなかった。
「ごめん。玄関ってどこにある?」
「リビングに皆の部屋に繋がる扉以外にもう1個扉あるから、そこを開けて廊下に出て、そのまま歩いていけば玄関だよ。」
「OKありがと。」
リビングに行くとまず気づいたことが1つ。フランとサギがいなかった。恐らくクーネがそれぞれの部屋に連れて行ったのだろう。
そのまま皆の部屋に繋がる扉とは正反対の方向に位置する扉を開いた。そのまま廊下に出て歩いていった。
玄関に行く途中色んな扉があったが、トイレやお風呂と言った所だった。
玄関に辿り着くと、重そうな扉の鍵を開けて外に出た。
外に出るととても空気が澄んでいて星空がとても綺麗に見えた。
玄関横にある木で作られた簡易な棚から薪を何本か持つと、また夜空を見上げた。
満天の星空が俺を見下ろしていた。しばらく空を眺めてると、月が2つある事に気がついた。
そうかこの惑星の衛星は2つなんだ。と冷静に思う一方で、ここは俺達のいた世界じゃないということを再認識させられた。
「取ってきたよ。」
キッチンに戻り薪をBOXの横に置くと、俺はBOXの上に座った。クーネは黙々と仕込みに集中していた。
クーネの料理している姿を見ていると、何故か俺が小さい頃の育ての母親が料理している姿を思い出した。
段々と育ての母親の幻影とクーネの姿が重なってくるのと同時に、段々と瞼が重くなってきていた。
貧乏ゆすりをする事でなんとか抗おうとしたが、無理だった。
「ん?寝ちゃったか。ハァ…...どいつもこいつも変な所で寝落ちしちゃって。世話が焼けるな。」
皆に寝るように促して逃げるように自室に転がり込んだ俺が、皆を起こして助けを求めるような事するのは出来なかったからだ。
だが、このままサギにされるがままになるのも嫌だった。
サギの顔立ちや容姿はすごく可愛い。はっきり言って美人だ。
だが、これは流石に俺の中のルール的によろしくない。
「ねぇ? アザムキは私のこと好き?」
サギは俺の口を抑えた手を離して、代わりに俺の手を握ってきた。
俺の口が抑えられてる間の口周りにかいた変な汗がサギの手についてしまっていて、少し申し訳ない気がした。
「......ま、まぁサギは......可愛いと思うよ…...」
ビミョーに質問の答えになってない曖昧な返答をした。しかしそれが逆にまずかった。結果的にサギの心に火をつけた。
「なんで曖昧な答えなの!? ちゃんと質問に答えてよ! YESかNOか! ハッキリして!」
俺は吃った。「あー」とか「えっと」とか途切れ途切れにフワフワした事しか言えなかった。
正直なところここは『NO』と答えて押し通りたかった。しかしそれはサギの心を傷つけてしまうかもしれない。結果サギとの仲が悪くなりかねない。
その事は今後このギルドにおいて生活する上で非常によろしくない。仲間内での軋轢はギルドの崩壊に繋がりかねない。俺はその原因にはなりたくないのだ。
だからといって『YES』も選べなかった。サギの事を受け入れてしまうと今度はフランやクーネまで傷つけかねない。俺の思い込みでなければ、きっとそうだ。
そうなると結果は『NO』を選んだ場合と同じになる。どっちみち俺に選ぶことは無理なのである。
詰んだ。
少しの間絶望に打ちひしがれながら俺は選択を悩んでいた。どうするのがベストなのか。
しかし、その思考はまた俺の口が塞がれたことによって強制的に中断されてしまった。しかし今回は前回と違って手ではなく唇によって塞がれた。
あまりの事に反応が遅れてしまった。まさかいきなりキスしてくるとは。
んー! と声にならない声を上げようとしたが、何故か段々と体に力が入らなくなってきた。
サギはまるで俺の口から俺の生気を吸い取るようにキスをした。
段々立ってることすら出来なくなってきて、キスをされながらへたりとその場に座り込んだ。
頑張ってサギの顔を押しのけようとサギの顔に手をあてがうと、俺はとてつもなく驚いた。
俺の手が、もとい体が段々と透明になっていたのである。
不味い。こいつは俺から能力を奪うつもりだ。何としてでもそれは阻止しなくては。
俺はサギの顔にあてがった手をサギの頭の後に回し、しっかりと頭を掴んだ。今度は俺がサギにお返しをする番だ。
俺はサギから奪い返すようにキスをした。すると段々と俺の体に力が戻ってくる感じがした。
傍から見ればただのキスシーンにしか見えないが、その実かなり高度な命のやりとりをしているのである。
サギはとても驚いた表情で俺を見てきた。俺は完全に取り戻すまで離すつもりは無かった。
完全に力が漲り、取り戻したと確信した瞬間。俺の部屋の扉が勢い良く開いた。
さっきから何回かノックの音がしていたが、返答出来ない状況であったのと、俺の力を取り戻すのに夢中になり過ぎて放置していた。
部屋の外から入ってきたのはフランだった。
「何してんの? 二人とも。」
しまった、タイミングが悪すぎた。何回ノックしても反応しなかったから鍵をぶち壊してドアを開けるとは、流石切り込み特攻隊長......って感心している場合では無い。これは流石に勘違いされてもおかしくはない状況だ。なんとか説明しなくては。
そう思いキスしてる顔を離そうとしたが、サギがそれを阻止した。
そして力任せに俺のことをベッドに押し倒した。
「アザムキは私を受け入れてくれたのよ。貴女と違って私はがさつじゃないもの。」
サギはベッドの上で俺に向かってマウントポジションをとり優位な体勢になり、フランを小馬鹿にするように挑発しながら、フランには見えない角度でベッドに魔法をかけた。
すると俺は金縛りのような状態に陥り、声すら出せなくなった。
束縛系の魔法か。俺に余計な口出しをされたくないらしい。
「そうなの? アザムキ。」
フランは俺に質問したが俺は答えることが出来なかった。
「彼が答えないっていう事はそういう事なのよ。受け入れなさい。フラン。」
「サギは黙ってて! アタシはアザムキに聞いてるの!」
落ち着け。今は能力が使える。この束縛から抜け出すんだ。集中しろ俺。
相手は魔法で俺を束縛している。だから魔法の外の力を......
行使する。
瞬間、バキッと嫌な音が響いた。俺はすぐにマウントポジションをとっているサギを押しのけてベッドから転がり落ちるように逃げた。
「そんな!」
驚きの声を上げるサギを無視して、俺は這ってる体勢からまるでビーチフラッグレースのようなスピードで起き上がりながら走り、フランの後ろに隠れた。
「魔法なんかじゃ俺のことを縛っておくなんて出来ないんだよ!」
イメージしたのは魔法という概念の外にあるもっと強大な力そのものだった。予想通り、魔法を無理やりぶち破る事に成功した。
「フラン助けてくれ。あいつはキスすることで俺の命を奪おうとしたんだ。」
縋るように助けを乞う。先程まではフランに追い詰められてサギに助け舟を出してもらったのに、今じゃ形勢逆転だ。
「分かった。そこで待ってて。」
助かった。と安堵すると同時に非常に不味い事態に陥った事に気がついた。
メンバー内の軋轢を回避するためにした事が結局裏目に出てしまった。
まぁ襲ってきたサギが悪いと言えばそれまでだが。
「何よ。ここで私とやり合うつもり?」
目には見えないがフランとサギの睨み合っている間の空間が今にも爆発しそうだった。
俺の思考回路は今まで生きてきた中で最も早いスピードで神経伝達物質が巡っていた。どうするのがベストなのか。
①シナトラを起こしに行く。
②俺がこの場をなんとか収める。
③何もしない。ただ事の流れを見守る。
一番現実的な選択肢は①だ。だが根本的な解決には至らないだろう。
一番楽な選択肢は③だ。だがこれは絶対に選びたく無いところだ。
結局のところ②かな。
今さっき起きた事の記憶を外させてもらおう。
二人に対して
力を行使する。
二人はその場に倒れてしまった。
俺は二人をリビングまで引きずって行き、椅子に座らせた。
幸い、俺が自室に籠った後クーネとホロウはそれぞれの部屋に戻ったらしく、誰もいなかった。
これでリビングで寝落ちしたように見えなくもない。
「ふぅ......これで一件落着かな。」
俺は少しだけ疲れ、キッチンに行った。キッチンには冷蔵庫は無かった。代わりに大きめのBOXが1つ置いてあった。
BOXの中を覗くと何やら得体の知れない物が沢山入っていて反射的に閉めてしまった。
「しばらくこういう物を飲み食いしなきゃいけないなんてな…...」
そう考えると少し身震いしたが、まぁこの世界の住人が生きているのだから食えないことはないのだろう。
そうだ、食うといえば。確かアギルは俺に向かって「体を保つためには魔力を摂取しなければならない」的なことを言ってたな…...
今さっき俺はサギから能力を奪い返した。しかしその時、能力を奪い返すついでに、何故か自分では意識していないのにサギから魔力を少し吸い取っていた。
これはやはり体が無意識のうちに欲してるが故の行動なのかもしれない。
ま、どうせこのギルドに所属している以上高魔力を保有している化け物を狩る機会なんていくらでもありそうだからな。魔力に困りはしないだろう。
ふむ......サギが俺に近づいた理由はなんとなく理解したが、いかんせん他の奴らの行動理由がまだ定かでない以上、下手に関係を深めることは賢い者のすることではない。まずは適切な関係の距離を保たなくてはな。
「あれ?まだ起きてたんだ。」
俺があれこれ考えてる内に後ろから声をかけてきたのはクーネだった。
「あー、うん。まあね。」
ふわっとした感じではぐらかした。嘘をつきたくないし、かと言って本当のことも言いたくなかった。
「そう言うクーネも起きてるじゃん。なんかするの?」
何か質問される前に質問し、予防線を張った。
「私は明日の朝食の準備。暇なら手伝ってよ。」
クーネはそう言いながら棚の中から様々な調理道具を出した。
異世界だから俺らの世界と違うものでも使ってるのかなと思ったが、案外そうでもなかった。
包丁みたいなものや、まな板みたいなもの、鍋みたいなものまでそっくりそのままだった。
「アザムキは外から薪を持ってきてよ。」
「分かった。」
薪を持ってくるように言われ外に出ようとしたが、サギの転移で直接このアジトに入ってきたので、玄関がどこか分からなかった。
「ごめん。玄関ってどこにある?」
「リビングに皆の部屋に繋がる扉以外にもう1個扉あるから、そこを開けて廊下に出て、そのまま歩いていけば玄関だよ。」
「OKありがと。」
リビングに行くとまず気づいたことが1つ。フランとサギがいなかった。恐らくクーネがそれぞれの部屋に連れて行ったのだろう。
そのまま皆の部屋に繋がる扉とは正反対の方向に位置する扉を開いた。そのまま廊下に出て歩いていった。
玄関に行く途中色んな扉があったが、トイレやお風呂と言った所だった。
玄関に辿り着くと、重そうな扉の鍵を開けて外に出た。
外に出るととても空気が澄んでいて星空がとても綺麗に見えた。
玄関横にある木で作られた簡易な棚から薪を何本か持つと、また夜空を見上げた。
満天の星空が俺を見下ろしていた。しばらく空を眺めてると、月が2つある事に気がついた。
そうかこの惑星の衛星は2つなんだ。と冷静に思う一方で、ここは俺達のいた世界じゃないということを再認識させられた。
「取ってきたよ。」
キッチンに戻り薪をBOXの横に置くと、俺はBOXの上に座った。クーネは黙々と仕込みに集中していた。
クーネの料理している姿を見ていると、何故か俺が小さい頃の育ての母親が料理している姿を思い出した。
段々と育ての母親の幻影とクーネの姿が重なってくるのと同時に、段々と瞼が重くなってきていた。
貧乏ゆすりをする事でなんとか抗おうとしたが、無理だった。
「ん?寝ちゃったか。ハァ…...どいつもこいつも変な所で寝落ちしちゃって。世話が焼けるな。」
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コメント
ダン
ツイッターからきたハイファン好きだよ。
まず、心理描写、素晴らしい…!
ただ、なが、すぎる?、
かな?
もっと、コンパクト、まとめたら、よくなる、よ?
でも、あそこまで、書ける、才能、ある、おもうた
僕の、青春甘酸っぱかた、
プロローグ、見て、みて?
資料、に、して?
ここまで、かかなくて、も伝わる、よ?
でも、やっぱ、あそこまで、かける、僕より、才能、
ある?
ぼくに、は、こんな、
細かく、かけない
すごい、と、おもう、
やっぱり、無駄、文章、おおい、
せっかく、素晴らしい、
のに、
もったい、ない、もったい、おばけ、でるよ?
ぼく、みたいに、無駄、文、ぶく、と、いいよ?
これは、やりすぎ、だけどね?
また、よむ、くる、
感想、書く、からね?
バイバイ