方(箱)舟のファントムズ

丸ーニィ

第53話「青いヒドランジア」



波瀾(?)の予選が終了した。

二依子がホームページを見ている。

「ええと、グンマーと淡路島が次回のベストエイトの初戦ね……」

勝ち上がって来たのは……

グンマー代表
みなみあわじ代表
ポジションバトル運営
KIRIKU兄弟
ヒドランジアの色
ブゥードゥー呪術
機動陰陽士ヴァリアント・ドーマン
ポゼ部

以上8チームだ。

「大会は日程上かなり押してるから、次回のバトルは一日開けてから一気に詰めてやるみたい」

二依子の言葉通り運営ホームページでは、最終日に本来のランキングバトルの予定が入り。

「ほぼ茶番」のバトルである今回の特殊報酬バトルは、早めに畳んでおきたいそうなコメントがある。

「酷いわね、運営チームと当たったら文句言ってやるんだから……」

菊名が両手を振るい抗議のジェスチャー。

「ええそうね、菊名の言う通りの直接抗議が可能みたいね……」

二依子が苦虫でも噛み潰した様な顔をすると、準々決勝の相手が確定したメールを見せて来た。


そう、そこに書かれていた相手こそが……


ポジションバトル運営チームである。


「えええええ!次の私達の相手が運営チームですか!」

愛華が目を丸くした。

「丁度良い!札の事も聞き出して、アプリの事も聞き出して……って聞きたい事ばかりじゃないか!」

ザジが自問自答している。

運営サイドにはバトルを始めたきっかけや、過去に存在したアプリとの違い何かを問い正したいらしい。

(……)

バトルの打ち合わせ等が進む。

「あーでも、夜も遅いしそろそろ帰るよ愛華」

時間はもう夜の十時になろうとしている、菊名と愛華は帰る準備を始めた。

「先輩、明日は休日ですよね?部活はどうするんです?」

愛華は二依子に予定を問う。

「私は学校に用事があるの、部室を使うなら朝に出向いて開けておくね」

二依子は何かを調べているのか、学校に用事が有るらしい。

「お疲れ様でしたー、日奈代先輩また明日部室で会いましょう」

菊名と愛華が身支度を終える、二人を玄関に送ると手を振って別れの挨拶を済ませた。

「二人ともまた明日……」

「また明日ー。」

二人は二依子の家を後にした。



部屋に戻る二依子、何かを考えている様だ。

「ヒドランジアの色……」

そう言うと二依子が急に黙り混んだ。

「移り変わりを指す花言葉の花……つまり紫陽花(ヒドランジア)ですね、冠婚葬祭にはしばらく避けられていた花」

この言葉を言ったのはユナだ、二依子の顔色に何かを感じ取り言葉を連ねる。

「紫陽花……」

ザジも何かを思い出した様だ。

「二依子の二年前の事件で、居なくなった仲間……確か″スズハ″だったな」


二依子は頷く。

「実際本人には面識が無いまま、亡くなった事を知ったの……ショックだった……」

二依子が重い口を開くと過去の残滓が垣間見る。

「アプリの霊体とボディだけしか知らないのに、親友だなんて言ってた自分が情けないね」

二依子はモニターに写る文字、今回のバトル参加チーム″ヒドランジアの色″を指差した。

「もしかして、そのチームが亡霊の″スズハ″を連れている可能性が有るのか?」

ザジがその可能性を問う。


「うん……だって見つけたの、学校の過去の卒業アルバムに顔が写ってた」



「スズハって名前は……蒼い花で″蒼々花″って書くの。」



「!」

二依子の言葉にザジは驚く、これは余りに解りやす過ぎる。

「でも二依子さん気を付けて下さい、相手が亡霊だからって昔のままと思えない。」

ここで言葉を切り出したのはユナだ。

「うん……」

二依子は何やら思い当たる節が有るようで、ユナの言葉に聞き入っている。

「紫陽花の花言葉は″移り気″で、青い紫陽花は″冷淡、無情、高慢″の意味だよ……嫌な予感しかしない……」

そう、正にその言葉の通りの意味。

恐ろしく警告じみた意味合いに成ってきた事に、二依子も危険を感じずには居られない。


(……)

しばらくの沈黙。

二依子はユナに笑顔を向けて、感謝を言葉にする。



「そうね、その″友人の警告″は心に止めとくね……ユナちゃん」

「ありがとう、落ち着いたよ」

出会ってさほど時間の経ってない友人であれど、その言葉に偽りは無かった。



「二依子……」

ザジもユナの言葉が、二依子の負の揺らぎを止めた事に感謝を感じずに居られない。

(凄いなユナは、俺には出来ない事を簡単にやってのけた……)

(今なら二依子にアレを言い出せるかな)


ザジは急に外に出ると、二依子とユナに来るように催促する。


「え?何?ザジ君?どうしたの?」

二依子とユナは、ザジに呼ばれるように庭に出る、目の前には飛行船ドローン。

「どうしたザジ?二人とも何だ?」

パルドが飛行船ドローンから霊体を乗り出してザジに問う。

「二依子に治して貰いたいモノが有るんだ」

ザジが飛行船ドローンの下部を指差す。

「?」

パルドがその指差す位置を見ると……急に慌て出してザジに向けて叫ぶ。

「おいおいおい!ザジ!お前そこに在るモノを治すってか?!」

ユナと二依子はキョトンとパルドの慌てぶりに目を丸くしている。

ザジが霊体の手をかざす。

「キャンパーメンバー認証!レストルームコア!」

パルドがギョっとしている。

ここで言うレストルームのコアと言うのは、キャンパーの霊力根源の一部であり。

ザジは今回飛行船ドローンに格納した、レストルームの一部の電子ロックを開ける行為をしているのだ。


「オープン!」

開かれる小さな格納庫、そして溢れ出る膨大な霊力。

「凄い……」

ユナが霊力に当てられてよろめく。


そこには……

過去にザジが最初に肉体から離れ……

現在のように″プラモデル″をボディとする原因になった

オリジナル(原初の)ボディであるプラモデル……

THE・GREAT・KNIGHT

のボディが入っていた。




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