方(箱)舟のファントムズ

丸ーニィ

第47話「リングはないけどかけろ」



そう言うとザジは何か思う事が有るらしく、少し考えて言葉にする。

「所詮、死出の旅路の亡霊には人の生活は眩しすぎる。」

「それに一緒にいると感じるんだ……拒絶の声がね、土地の霊や一族の霊、守護霊とか言うの?」

「彼等にとってはとても俺達は邪魔者なんだよ、相手が器の無い空気霊だったとしてもね……」

「そんな……」


その語らいの中で、部室のドアが開く、そこには二人の女性の姿。

菊名と愛華である。

彼女達は机の上で独りでに歩くプラモデルとクマらしきモンスター(?)を見るや、スマホを取りだしアプリを立ち上げて確認する。

「!!ザジ君だ!ウチの部に来てくれるの?」

愛華がピョンピョン飛び跳ねる様に近寄ってザジの姿を確認。

「来たわね、アンタの事は日奈代センパイから聞いてるわ」

菊名も胸を張ってザジに語りかける。

「……よろしく」


ザジがふて腐れた顔をしながら挨拶する、ユナがその様子に慌てて答える。

「ザジ君はちょっぴりシャイなピュアボーイ、昨日の事は多めに見てあげてくれないでしょうか?」

ユナが気にしてるのは二人の制服を台無しにしたことをだろう、だが二人はそう言うことに無頓着なのかザジに好意的に接してきた。

「制服は気にしないわ……、生放送は大成功で登録者数も格段に増えたのよ」

同好会のポゼ部に部費は当然無い、活動資金はどうやら配信などでの報酬で成り立ってるらしい。

事実上の文化部である二人の仮の姿がポゼ部であり、この教室はその文化部の部室である。

「たまたま制服のままバトルやっちゃった私達が悪い訳だし、今回のバトルで気を使って配信する事にするわ」

結果、菊名は破れた制服の事は水に流す事を宣言する。

「そんなことより、ランカー報酬の選択を変えるってセンパイに聞いたんだけど?何か知らない?」

愛華ザジとユナに問いかけた。

ここでユナは札の経緯話す。

「……」

「ええええ!あなた生き霊なの?しかも本体に戻れない?!」

「ふーん、それであの札の獲得を目指すのね、良いじゃない気に入ったわ」

愛華がビックリして、菊名が理解の先読みをする。

「しかし、あの札の獲得を目指すとなると………ねえ?」

菊名は困った顔をする、同時に愛華もなんとも言えない顔をしていた。

「何んだよ、そんな珍妙な顔して……札を手に入れるのはそんなに難しいのか?」

ザジはその様子が引っ掛かったのか、言葉の意味を問う。

「ポゼッションバトルの参加者は遠征含めて、今回のランキングバトルに躍起になってるわ」

菊名はその問いに説明で返す。

「表で知られていないけれど、今回この街のバトル参加者は百人は下らない、だけど……」

「だけど何だよ?」

菊名はザジの返答に答える。

「その百人はあくまで本来のランキング報酬で集まったプレイヤー達なの……札を目的とするプレイヤーはほぼ居ないわ」

「はあ?!何だそりゃ!」

ザジは目を丸くして問う。

「じゃあ何か?札の獲得を嫌がってるってことか?」

「そうね……もう少ししたらアプリのリニューアルを始めるから……」

「リニューアルしたら今まで使えてたスキルも見直されて、新たに作り直す必要が出てくるの」

「上位十名配布のランカー報酬はリニューアル後に必要になるであろう″新スキル作成キット″を主体とする従来のプレイヤーの必需品セットね」

「札はランカー報酬じゃない?」

ザジの返答に菊名は再び答える。

「いいえ、違うわ」

「札はね……」

「特別選択報酬よ、ランカー報酬の中でも選択したプレイヤーが取り合う特殊な報酬よ」

ザジはポカンとして答える。

「もしかしてそれ選択したら本来のランキング報酬は選択出来ない?」

「当然ね、つまり札を選択した者の上位″一名″のランカー報酬よ」

「「振るいに振るってるじゃないですかあああ!」」

ユナが突っ込む!

愛華が札の選択について語る。

「プレイヤーチャットでは殆どその報酬存在自体が空気なの……プレイヤー界隈では″ケツを拭く紙にもなりゃしねえ″……だとか″運営の罠″……だとか散々だもの」

ザジが首を傾げて言う。

「もしも俺達以外に居なかったらどうなる?」

菊名が答える。

「即座貴方のモノね」

「使用方法がハッキリしないの、詳細が全く不明のまま小さく告知されていたの……でも」

菊名はユナの様子を見る。

「実際は罠所か危険物なのね、欲しがる人が少なくて良かったわ」



しばらく菊名、愛華と語らう内に、二依子が扉を開けて入って来る。

「みんな揃ってる?ミーティングするよ」

「「はい」」

ポゼ部の面子が揃う、二依子がスマホの画面を転写するモニターを出した。

「札の選択報酬については……ザジ君?、もう菊名から聞いたの?」

「ああ、あまり欲しがる奴が居ないって事が、逆に気になってるけど……」

ザジはちょっと困惑しているが、獲得に対しては意気込んでいる様だ。

「なら早いわ、今回のバトルは通常報酬の選択権を破棄、札の獲得の為に変更を申請したの。」

「そこで札獲得に集まったプレイヤーが今日出揃ったらしくて、運営の発表がされてるから皆で見ようか」

モニターには運営のwebサイトが見える、札獲得バトルの参加チームが貼り出されていたが……何やら皆の様子が変だ。

「そんな……ウワサは本当だったのね」

愛華が急にワナワナ驚く表現をしている。

「何?どう言うこと?」

ザジが問いかけ、二依子が答える。

「通常報酬からこんな意味不明の報酬に切り替えるのよ、つまり″それ″を目的とするプレイヤーか、はたまた……」

「完全にネタ全開の″キワモノ″プレイヤーしか居ないと言うことね」

二依子の発言にザジは白目になってた。

モニターを見るや菊名が叫ぶ!

「ちょっとどう言うことよ!」

菊名が指を指す部分に皆が注目する、そこにあるチーム名は……




ギリシャ代表チーム

″グランドゼウス″。


「……はあ?!何で″国″代表とか居るんだよ!意味不明だろ!?」

ザジの目はもうグルグルになって困惑していた。

ユナは目を光らせて語る。


「ははーん、さては″金ピカ″だな(煽り顔)」




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