方(箱)舟のファントムズ

丸ーニィ

第37話「別行動編、フォッカーの受難」



その場にいる全員がツッコミに走るレベルのハニートラップっぽい返信だ!

「何を言うんだ、やっと良い返事を導きだしたのに!」

フォッカーは妙に真剣だ。

「何がどう脈ありと思うんですか?その心は!」

ユナの問いにフォッカーが答える。

「最初の方は
″ウザい!″
次からは
″送るんじゃねえ!″
そして
″死ね!″
を経て、やっと
″今すぐ会いたいの!″
まで追い詰めたんだぜ!」

「「アホかー!」」


フォッカーはもう光りに向かって一直線の様に有頂天である。

カンチョウはとりあえず答える。

「行きたいのならいってみたまえ、何か怪しいならすぐ引き返すのだぞ!よしこ君!」

眉間にシワの寄った顔の柴犬の霊体よしこが語る。

「行きたくないワン(直球)!」

「そんなこと言わないでよしこさん!」

フォッカーが土下座で頼む、斬新な飼い主である。





こうしてそれぞれの行動が決まる。

「遠征での部隊編成はツーマンセル、スリーマンセルで行う、フォッカーはよしこ君、ザジ君はユナ君と誰かでの編成にしよう…」

「ザジは移動にもう一人必要だろう?、俺が付いていこう(俺も二依子ちゃん見たい)」


名乗り出たのはパルドだ、彼もまたドローンやラジコンなどの操縦が得意分野の亡霊である。

「では例の長距離用ドローンを出そう、レストルームの一部屋を使った大型だ」

ドクの操作でレストルームの一部が居住コンテナブロックになり、そのままサイドパネルが開いて外に飛び出すと…

ヘリウムガスを満たした飛行船の船体を上部に付けて、プロペラユニットと長距離霊力タンクとの合体で見事に…

長距離飛行船ドローンの完成となった。

「上空に強い風のない内に出発してくれ」

こうしてザジ達の移動プランが組み上がる。


だが出発前の打ち合わせが始まる最中、ユナに異変が…


(…!)


「また札がゾワゾワする、巨大霊体の時に似てる」

ユナは悪寒のように感じる気配を感じた、どうやらフォッカーの行く先の様だ。

「なあまさか、そのメールはSOSとかじゃないよな…」

ザジはここでふとフォッカーの逢い引きが気になった様だ。

「そんなん言うたって、人間が巨大霊体を見る事が出来るんやったらガスだの嘘ついたりせーへん」

「ああそう言えばあの廃村はガスで住民が避難したとかになってましたよね」

ねぱたが語り、ユナが合いの手を入れる。

「そもそも何故に避難せざる終えないのか、ロボットで攻撃しなければならないのか、訳が解らないんだよな」

ドクも知りたい様である。

ここでカンチョウが提案を切り出す。

「うむ、フォッカー君!正式に行くのを許可しよう、良い機会だ上手く聞き出して欲しい」

「解った、けど帰り道は何処で集合したら良い?ずっとここにいると不味いってユナちゃんが言ってなかったか?」

「直接地下帝国での集合にしよう、君は元々住んでいたんだから場所は間違わないだろうし」

フォッカーは地下帝国出身?の様だ。

「そうなんですか!何故出ていったんです?」

興味深々のユナの問いにフォッカーはぶっきらぼうに答えた。

「別に地下帝国の移住権限は捨ててねえよ、とにかく行ってくるから俺にも長距離用の装備をくれ」

「アイよ…(渋々)」

ドクの支持で精霊達がコンテナから改修パーツが出てくる。




キャンパーのサイドパネルから飛行船ドローンが飛び立った、目的地は例の彼女の家だ。

「レストルームガレージ号発進!」

ザジ達が飛行船ドローンで出発した後にフォッカーも長距離移動装備で出発する。

「こちらフォッカー、ローラー装備で出発する」

キャンパーの下部パネルが開く。

よしこの犬ロボットの足にベアリングローラーを付けて、背中のフォッカードローンと長距離ファントムブースタータンクを合わせた高速仕様のフォッカーが出発する。

「各自出発を確認した、我々も地下帝国に向けて移動を開始する!」

ラマーがGPSで割り出した人気のない走行ルートを掲示した。

「諸君!地下帝国で会おう!」

キャンパーも地下帝国に向けて走り出した。





人気のない道路をフォッカーの犬ロボット(よしこ)が足につけたローラーで滑るように駆け抜ける。

ドローンの生み出した加速を殺さずにファントムブースターで補助しながら、約時速40から50キロ前後で移動。

小さいトイボディで有るがために、その速度の体感は何百キロレベルなのである。

「良いぜー飛ばすぜー!目的地一番乗りだ!」

「アオン(不安)」

よしこの不安な声が木霊する。

途中の座標の確認、GPSの照合を済ませ、フォッカーは遂に目的地のポイントに到着。


目的地には大型のバンを改造したであろう電波送信車両。

「ひゃっほーい!マイハニー!待たせたかーい!」

フォッカーは待ちきれずよしこボディから勝手に切り離し、ドローンの部分で飛び込む様に車の中に入ろうと飛び上がる。

「ギャン(勝手に離れて飛ぶな!)」

よしこの制止も聞かずフォッカーは、侵入出来そうな窓を見つけて車内に入っていった。

「ギャオン(待て!このアホ飼い主!)」

ボロクソに言われながらフォッカーは内部を飛び回ってメール送信者似合おうとするが…


急にフォッカーの声が途絶える…


「アオンアオン!(捕まったのね、帰っていいかしら?)」

暫くの静寂…


そして急にフォッカーの叫びが聞こえた!


「よしこ!」


「エマージェンシーコールだ!」

フォッカーの叫びはとても先程のアホ飼い主とは似ても似つかない!


驚きのあまりよしこも何の警戒もなくボディをジャンプさせて、窓側から車内に侵入する…

そう…


その大きな車内には沢山のモニター類があり、幾人かの白衣の職員が

皆、うつ伏せになって倒れているのである!

「コイツら、体から霊糸が出てる…魂が肉体から出てるんだ…何で」































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