クズスキルでも、努力次第で世界最強!?
35話 苦悩
スキルは、全ての生き物に平等に与えられた唯一の力である。
この世界の基本法則を無視して行使できる力であり、その影響力は絶大である。
過去に、強力なスキルを持った二人の諍いが起こした戦いが、一国を滅ぼしかける程に発展してしまったというのは有名な話だ。
スキルは扱いを間違えれば種族をいとも簡単に滅ぼしてしまうほど強大な力であるという事だ。
しかし、それは扱い方を間違えた時だ。
今では国家間で協定を結び、現在の平穏な日々を保ってはいるが、歴史を遡れば戦争が絶えなかった。
当時の各国の王達は、このまま争いが続けば取り返しのつかないことになるとわかっていた。
だが、それをわかっていながら止めることも出来ない。
たった一国が手を引いたところで変わらない、それどころか他国から攻め落とされる危険が大いにあった。
どの国も引くに引けない状態になってしまった。
そんなある日、戦場の最前線に三人の特殊なスキル持ちが現れた。
その三人は決して誰も傷つけることはせず、各国の会談の場を設けるために七日間も戦い続けたという。
三人の活躍により、大規模な戦争は幕を閉じ、それから現在に至るまでこの協定は破られることは無く、国家間でこの三人の名前を取った催し物が行われるようになった。
この二つの話は、「双極」と「神使の三天」と呼ばれ、形は変われど知らぬものはいない話となっている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺はアリサの言ったことに、大きく驚くことはしなかった。
アリサはそのまま話を続ける。
「私は昔からいろんな習い事を受けていたわ。王族に相応しい礼節は三歳の頃には覚えたし、必要あることもないことも学んだ。自慢じゃないけどぽっと出の官僚なんかよりは優秀だと自負しているわ。」
それを自慢と言わずになんという、と思ったものの口にはしなかった。
「それでも、この世界の中心はどうあってもスキルなの。どれだけ知識を持っていても、なんの役に立たないくらいにね...。でも私は諦めたくなかった。スキルがなくても私にできることはないかって。」
「それが武術家だった?」
アリサは頷いた。
「父様は私にスキルがなくても気にしないって言ってくれた、そのことにはとても感謝してる。でも貴族の、それも王族の子がスキルを持っていないなんて、公に言えるわけがない。でも、みんなに認められるような実績がないと、父様にも王様にも迷惑をかけてしまう。」
アリサは自分がスキルを持っていないと知ってから、ずっとその事を考えて過ごしていたのか。
俺にはわからない、ただの平民でなんのしがらみもなく自由に生きてきた俺には、アリサの苦悩は計り知れない。
「...この話を聞いた後に頼むのは、無理を言っているってわかってる。でも!」
アリサは頭を下げて言った。
「どうか、私を誰からも認められるように強くしてください!」
...さて、どうしたものか。
その頼みを断る理由はない、むしろどこまで伸びるのか見たいと今では思っている。
ただ、まずはアリサの思い違いから正すことにしよう。
「一つだけいいか?」
「...何かしら。」
「さっきの話、スキルがないとか言ってたけどさ。」
「えぇ、ちゃんと見てもらったから間違いないわ…。」
「いや、ちゃんとスキル持ってるよな?」
「......え?」
この世界の基本法則を無視して行使できる力であり、その影響力は絶大である。
過去に、強力なスキルを持った二人の諍いが起こした戦いが、一国を滅ぼしかける程に発展してしまったというのは有名な話だ。
スキルは扱いを間違えれば種族をいとも簡単に滅ぼしてしまうほど強大な力であるという事だ。
しかし、それは扱い方を間違えた時だ。
今では国家間で協定を結び、現在の平穏な日々を保ってはいるが、歴史を遡れば戦争が絶えなかった。
当時の各国の王達は、このまま争いが続けば取り返しのつかないことになるとわかっていた。
だが、それをわかっていながら止めることも出来ない。
たった一国が手を引いたところで変わらない、それどころか他国から攻め落とされる危険が大いにあった。
どの国も引くに引けない状態になってしまった。
そんなある日、戦場の最前線に三人の特殊なスキル持ちが現れた。
その三人は決して誰も傷つけることはせず、各国の会談の場を設けるために七日間も戦い続けたという。
三人の活躍により、大規模な戦争は幕を閉じ、それから現在に至るまでこの協定は破られることは無く、国家間でこの三人の名前を取った催し物が行われるようになった。
この二つの話は、「双極」と「神使の三天」と呼ばれ、形は変われど知らぬものはいない話となっている。
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俺はアリサの言ったことに、大きく驚くことはしなかった。
アリサはそのまま話を続ける。
「私は昔からいろんな習い事を受けていたわ。王族に相応しい礼節は三歳の頃には覚えたし、必要あることもないことも学んだ。自慢じゃないけどぽっと出の官僚なんかよりは優秀だと自負しているわ。」
それを自慢と言わずになんという、と思ったものの口にはしなかった。
「それでも、この世界の中心はどうあってもスキルなの。どれだけ知識を持っていても、なんの役に立たないくらいにね...。でも私は諦めたくなかった。スキルがなくても私にできることはないかって。」
「それが武術家だった?」
アリサは頷いた。
「父様は私にスキルがなくても気にしないって言ってくれた、そのことにはとても感謝してる。でも貴族の、それも王族の子がスキルを持っていないなんて、公に言えるわけがない。でも、みんなに認められるような実績がないと、父様にも王様にも迷惑をかけてしまう。」
アリサは自分がスキルを持っていないと知ってから、ずっとその事を考えて過ごしていたのか。
俺にはわからない、ただの平民でなんのしがらみもなく自由に生きてきた俺には、アリサの苦悩は計り知れない。
「...この話を聞いた後に頼むのは、無理を言っているってわかってる。でも!」
アリサは頭を下げて言った。
「どうか、私を誰からも認められるように強くしてください!」
...さて、どうしたものか。
その頼みを断る理由はない、むしろどこまで伸びるのか見たいと今では思っている。
ただ、まずはアリサの思い違いから正すことにしよう。
「一つだけいいか?」
「...何かしら。」
「さっきの話、スキルがないとか言ってたけどさ。」
「えぇ、ちゃんと見てもらったから間違いないわ…。」
「いや、ちゃんとスキル持ってるよな?」
「......え?」
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