コラボ─チート無しクラス転移・厨二病が率いる異世界ライフ

Akisan

11話

「鎖盾─ライオットシールド!」
ミキオが作り出した鎖の盾は
圧縮された魔力弾を受け止めた

動き続けようとする力と
止めようとする力がぶつかり
押し合いが起こったのも束の間

魔力弾は弾けるかのように
光の粉と爆風を撒き散らしながら爆散した

風の影響を受け土ぼこりが舞い上がり
光の粉が砂塵を飾り幻想的な光景を産み出した
そのようすは、さながら森に舞う蛍のようだった

「全く、おちおち話すことも出来ないのかよ」
煙が風に流され晴れていく
煙を切り裂き立っているミキオには
怪我一つ見えない

「あれを受け止めるとは…なかなかの防御力だね」
秋が言い、原がうなずき
「さて、それじゃあ、また行きますか」
と、言うや否や刀を構える

「作戦があるんだ」
原が不敵に言う
「ミキオ、手伝ってもらえるか?」
ミキオは
「もちろんだ」
と同じような笑みを浮かべ言う
「じゃあ、前衛は任せてよ」
秋が言うとゴーレムへと駆け出す

ゴーレムが原が倒したゴーレムの残骸を操り
己の回りに展開した

秋が気にせず走っていると
かなりの早さを伴って飛ばしてきた

迫り来る数多の鉄の塊を
階段のように踏み越えていく

「龍の名をその身に刻め!─龍刻─」
ゴーレムの胸の辺りまで上がったところで跳躍
右手に力を龍の力を集めて手の振りと共に解放する

ゴーレムが残りの残骸を秋と自分の前に集め
盾を作り出すがその盾を貫通し
ゴーレムの体へと三本の深い傷を付けた
秋はミツキから預かっていたあるものを
指示通りに刀の隙間から投げ込んだ

そして、間髪いれずに
上からおよそ人の持つサイズではない刀
を持って原が降ってきた

目で少し辿ってみると
ミキオの鎖が二本空へと伸び
虚空を掴んでいる
恐らく、そこを登ったのだろう


「流石に効くだろ!とくと味わえ!」
重力加速を伴って急降下
風を裂きながらゴーレムへと一直線
ゴーレムは両腕でガードを試みる

原とゴーレムが接触
重厚な音が鳴り原の大剣はポッキリと折れ
ゴーレムの腕は切断された

「まだまだぁ!」
ミキオが立て続けに攻める
「鎖縄──黒鞭!」
黒光りする鋼鉄の蛇はなんの抵抗もなく
ゴーレムの体へと吸い込まれていった

両腕を失いバランスを取れないのか
ミキオの攻撃が強くなったのか
ゴーレムは大地を削り後退した

ミキオが気づいたかのように言う
「そう言えばさっき何を投げ込んだの?」

「さっきミツキに頼まれたから投げ込んだけど
あれが何かはわからないんだよね」

ミツキを見ると冷然と笑っている

「まぁ、ミツキのことだし何か考えがあるんだろ」

「でも、次ぐらいに決めないともうヤバいかも」
原が言う、攻撃にはとても体力を使う

「次に決められたらヤバイのは鉄人形ゴーレムも一緒だろ」
ミキオが零す

「じゃあ、終わりにしようか」
その言葉を合図に三人で走り出す
ゴーレムはこっちを見てはいるが
抵抗するそぶりは見せない

「原ちゃんとミキオはそれぞれ左右に!
一番の大技で仕留めるよ!」
「「おう!」」


そして、秋は目を閉じた
───きっとこのままじゃ勝てないと思う
───だから今だけ
「てめぇの力、貸しやがれ!」
『やっと出番か、待ちくたびれたぜ!』

意識が一瞬暗くなる
「てめぇら!俺の足引っ張ったら許さねぇぞ!」
「げっ……黒秋か…」
「また暴れられるのかよ」
ミキオも原も少し嫌そうな顔をするが
すぐに笑い
「「心強いぜ!」」

黒秋も笑い
「一番手は俺がもらう!」
黒秋は体の使い方をよく知っている
秋と黒秋では同じ人か疑問に思うぐらいに
動きがちがう
それ故、誰よりも早くゴーレムに近づき
「その身で感じろ龍の命─龍の嘶き!─」
握りしめた拳で空気を巻き込み飛ばす
その風は砲弾に形を変え
ゴーレムを襲う暴力的な風圧となる
しかし、あと少しのところで障壁に
阻まれてしまう

「姑息な手を使いやがって
壊れかけの我楽多のくせに」
ゴーレムはかろうじて破壊された魔力炉に
残っていた魔力を使い、障壁を創り出した

「バリア出されちゃキリがないぞ?どうする?」
ミキオが秋に訪ねる
「こうなったら、バリアごとぶっ壊すしか…」

しかし、突如ゴーレムの魔力炉の辺りから
爆発がおき右脇腹が爆発で吹っ飛ぶ

「なんだ!?」
秋が驚き声をあげるその疑問の答えは
意外なところから聞こえた
「あれは火の魔石か…
魔力に応じて威力が上がるとは言ってたけど
ここまでとは…」
(ミツキ…気になってはいたが…
ここまで読んで仕込みをいれるか
──面白ぇな、戦ってみてぇ!)
その衝動を押さえつつゴーレムを見据え

「準備良いか!行くぞ!」
そして、三人が同時にゴーレムへと一直線
一番手は
「龍の嘶きいななき!」
風の暴力がゴーレムを襲い

「開花!剣化蓮花!」
突き刺した刃が返しのように別れて伸び
体内から爆破を巻き起こす
「鎖縄黒式──叢狩り!」
その鎖は黒煙を孕んだゴーレムの体を裁断した

阻むものなく鉄人形ゴーレムの体へと届いた
その攻撃の嵐は大きさを感じさせず
圧倒した

「もう…平気だよな?勝ったんだよな?」
原が誰かに問いかける
「流石にもういいだろ、半分にしたし」
ミキオが答える
「めんどくせぇ相手だったぜ」

真っ二つにされたそれは
体を支えることもせず
大地へと倒れ、大爆発を起こす

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