コラボ─チート無しクラス転移・厨二病が率いる異世界ライフ

Akisan

3話:普通後異常

「じ、じゃあ気を取り直して」
原の強烈なカミングアウトから一段落させようと
手を叩いたミキオ、そして
「サイトー、次お願いできるか?」
いきなり僕に振られて、
「え、ぼ…僕!?僕は最後で良いよ光希お願い」
やはり光希に頼ってしまう僕
「あー、ミツキ自己紹介どうぞ!」
光希はこっちを見てうなずき

「「僕の名前は安部光希/ミツキです。
17歳でぇ、趣味はジグソーパズルです
よろしくね~/ぇ」」

ん?今何が起きた?
「すまん、光希俺が言ったのは
ミツキの方で、って…え!!?」
ミキオがとても驚く
それもそのはず、ほぼ同じタイミングで
ほぼ同じ内容を言ったのだから

しかし、雰囲気がとても似ている
流石に顔はあまり似てないものの
切れ長の目やのんびりとした雰囲気
が顔に滲み出した感じがとても似ている

「それにしても、たまたまあった人が
同性同名ってすごい確率だよね」
と、マドリが呻き称賛している
「マジでそれな。色々スッゲェ似てるし
生き別れた双子の兄弟なんじゃね」
と、原が同調の意を示す

しかし、似てるとは言ったがこの二人には
微妙な差異だが明確な違いが───
「──でもないな、光希の語尾が
『~』で終わってるのに対して
ミツキは文末の母音を伸ばしてるんだ」
──先とられたか
でも、同じ感想を抱いていた者としては
理解者がいて少し嬉しい
が、まだ甘い更に細かいところを言うならば
「僕の知ってる光希はこっちのミツキよりも
ちょっと痩せてて声も高いよ」
これには気付かないだろう
これに気付けたら君はミツキマイスター
と言っても過言では無いだろう──いや、過言だね
「だよなぁ!そりゃ似てはいるけど
双子ほどじゃ無いっつの!」

二人でハイタッチをする
その光景をみてマドリは苦笑していた
「何そのミツキ談義、二人とも
どんだけミツキのこと好きなの?」
「そりゃ、何気に半年近く親友やってるしな
……アレミツキ?お前何やってんの?」
と、ミキオが言ったため
光希の方を見る
すると、光希がミツキの上に仰向けで寝転がり

光希が上半身だけ起き上がり
「ゆーたいりだつー」

「「「「似てるッ!」」」」
さっきも言ったが決して顔は似てない
しかし、似てると言わせる何かが二人にはあった

「ってことは次は僕か…」
流れ的には僕になるのが普通だが…
まぁ、念押ししておこう
「最初に言っとくけど──」
二人ともあとの人のこと考えてから
自己紹介してよ、やりづらいったらありゃしない
「僕は原ちゃんみたいな特殊でアレな
性癖とか無いし光希みたいに
面白おかしい持ちネタもないよ」
ミキオと目が合いうなずく
それを是と取り話始める

「ええっと、僕の名前は斉藤秋です
趣味は普通に読書…とか?
…これくらいで良いかな」

「・・・・・」
黙る一同、たしかにそうだ
こんなの、今更感が漂うじゃないか
原ちゃんのせいだ
僕も少し派手にやれば良かったかな
でも、そんなことできるネタは …
『派手にかましてやろうか?』
(良いよ、出てこなくてめんどくさくなるから)
『そんなこと言うなよ、まぁ、任せろって』
そして、意識が黒く塗りかわる
──あぁ、地形が変わらなければ良いな

「…うん、それじゃあ最後にマドリ
大トリらしく堂々と──」

──やるなら今しかねぇな・・・・・・・・・・
「ちょっと待てや」
周囲の目が再びこちらへ向かう
その目は不思議なものを見る目だった

「ぁーあ、やっと出てこれたぜ
秋の野郎すっかり俺を止めたと思ってやがる」
辺りが凍りつき殺意に満ちている
「あぁ?何ビビってんだよお前ら
取って喰いやしねぇよ
自己紹介なんだろ?だったら俺も出張らにゃぁな」
と、秋が禍々しく自己紹介をする
「サイトーの別人格!喧嘩っ早く
暴力的な黒い方の秋ッ!!」

「『俺』の名前は斉藤秋だ
趣味はねぇが、ぶっ壊すのが好きだ
…どうにもシケちまうなぁ」

と、顎を擦ったあと
「おっしゃ、そんじゃ一発
ここらにデッケェクレーター作ってやるよ」
と、地面に拳を叩き込む
「───え!ちょっと待ッ──!!?」
半径5メートルほど、半球型に大地がへこむ

「やっぱ、お前ら普通じゃねぇ───ッ!」
ミキオが放ったその言葉は
爆音に紛れ届くことはなかった

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