異世界モノ【削除予定】
鑑定:極・改の真のチカラ
正直な心境としては『めんどうそう』という気持ちの光瑠。
契約の話が事実であり、契約内容も嘘が無いとしても、光瑠は旨味を感じなかった。
仮に選び抜いた二本の短剣が無料だとしても。
その時は普通の店で普通の短剣を買えば良し。
なにより最初から強武器を持つと依存し、技術が疎かになりやすい。
ならばいっそ魔物ごとにギリギリのラインで勝てるレベルの武器を使った方が、将来性を考慮した場合には良いだろう。
……となるため契約を断る方へ天秤が大きく傾いていた光瑠だったが、じっと返事を待つ店主の顔を見て、断る前に聞くことにした。
「話せたらでいいけど、その取り返して欲しいもんってなんなわけ?」
国宝級から果ては伝説級の武具を持つような〝異常な〟彼がこれほど執着しているモノ。それがなんなのか光瑠は知りたかった。
神器クラスのモノなのか、それとも先ほど憂いでいた過去に関するものなのか。
候補は浮かぶが、まったく想像のつかないモノであることなのは確かだった。
「……………………ま、気になるよな、そりゃあ。オレがお前の立場なら同じように聞くだろうよ。……話してやる」
光瑠に共感を示した店主は、ただし、と付け加える。
「聞けば後戻り無しだ。それでいいなら教えてやる」
――――どうする?
そう目で訴えてくる店主に、光瑠はさほど考えずに首肯した。
「……やけに簡単に頷くじゃねぇか」
「ただしこっちも条件を追加させてもらう。……俺とあんたの会話は他言無用にする。そして俺たちの事情に他人を巻き込まない。これが守れるなら度協力してやる」
「……なんだ、キャラに反してお優しい性格じゃねぇか」
店主の評価に対し、それは違うと内心で否定する光瑠。この追加条件は光瑠自身が定めたルールを遵守するためのもの。
決して優しいなどと言われる思考回路からではなく、むしろ危険思想といえる部分も含む考えだった。
……わざわざそれを一から説明する気は無いので、お優しいという評価をスルーするが。
「ま、オレもおおごとにする気はねぇし、その条件を追加してやる。ただ知られた奴は状況によっては巻き込まれるぞ?」
「バレないなら問題無いなら良いわ。
……じゃあ、聞かせてもらおうかね、詳細を」
「そうだな。……ただその前に一つ試してほしいことがある」
「試してほしいこと?」
オウム返しに聞き返した光瑠に頷き、店主はその内容を言う。
「オレのステータスをその鑑定で見てみてくれ」
……なるほど。そういえば確かめたことなかったなと光瑠は振り返り思う。
鑑定があるのなら他人のステータスが見れる、という事柄はライトノベルでは良くあるモノ。
にもかかわらず試したことがなかったのは、光瑠の性格が要因となり、鑑定で他人のステータスを見るという発想に至らなかったことにある。
レイからも鑑定ではステータスを見れないという話は聞いていたが、改だから見れるかも、という考えすら及ばなかったのは不覚だと光瑠は省みる。
とはいえステータスが見れるならこの先道行く人のステータスを見るかと言うと、その発想もまた光瑠は無かった。
せいぜいが一部の者と魔物相手ぐらいだろう。
それ程に他人のステータスを見るという行為への忌避感を持つ光瑠ではあったが、店主に対しては忌避しなくても良いカテゴリに加わっているので、頼まれた通り試してみる。
こんだけ考えておいてステータスが見れなかったら笑い者だな。そう感じつつ光瑠は店主に対して鑑定を発動させると、その考えが杞憂であったことを証明するように、目の前に半透明のステータスが現出した。
――――――――
名前:アウディア・ドゥ・センス・グラウド
レベル:【50】(282)
種族:魔族種
職業:青大鴉
魔力:【33807/33807】(316881)
スキル:〈剣術:2〉〈雷魔法:4〉〈滑空:4〉
状態:〈乖離封印:5〉
称号:〈異端〉〈悪魔侯〉〈呪われし者〉
――――――――
「……………………は?」
思わず、理解が及ばずに情けない声を上げてしまう光瑠であったが、それは無理からぬ話であった。
なにせそこに書かれた内容は、想像の斜め上を行く文字が有るのだから。
『種族:魔族種』
瞬きを繰り返し、見間違いが無いのを確認した光瑠は、店主――――アウディアに対し――純然たる事実が目の前にあるにもかかわらず――尋ねた。
「あんた……魔族なん……?」
アウディアは質問に首肯し答えた。
「あぁ、それもとびっきり悪の、な」
その事実は光瑠が思考を放棄するには充分な内容だった。
契約の話が事実であり、契約内容も嘘が無いとしても、光瑠は旨味を感じなかった。
仮に選び抜いた二本の短剣が無料だとしても。
その時は普通の店で普通の短剣を買えば良し。
なにより最初から強武器を持つと依存し、技術が疎かになりやすい。
ならばいっそ魔物ごとにギリギリのラインで勝てるレベルの武器を使った方が、将来性を考慮した場合には良いだろう。
……となるため契約を断る方へ天秤が大きく傾いていた光瑠だったが、じっと返事を待つ店主の顔を見て、断る前に聞くことにした。
「話せたらでいいけど、その取り返して欲しいもんってなんなわけ?」
国宝級から果ては伝説級の武具を持つような〝異常な〟彼がこれほど執着しているモノ。それがなんなのか光瑠は知りたかった。
神器クラスのモノなのか、それとも先ほど憂いでいた過去に関するものなのか。
候補は浮かぶが、まったく想像のつかないモノであることなのは確かだった。
「……………………ま、気になるよな、そりゃあ。オレがお前の立場なら同じように聞くだろうよ。……話してやる」
光瑠に共感を示した店主は、ただし、と付け加える。
「聞けば後戻り無しだ。それでいいなら教えてやる」
――――どうする?
そう目で訴えてくる店主に、光瑠はさほど考えずに首肯した。
「……やけに簡単に頷くじゃねぇか」
「ただしこっちも条件を追加させてもらう。……俺とあんたの会話は他言無用にする。そして俺たちの事情に他人を巻き込まない。これが守れるなら度協力してやる」
「……なんだ、キャラに反してお優しい性格じゃねぇか」
店主の評価に対し、それは違うと内心で否定する光瑠。この追加条件は光瑠自身が定めたルールを遵守するためのもの。
決して優しいなどと言われる思考回路からではなく、むしろ危険思想といえる部分も含む考えだった。
……わざわざそれを一から説明する気は無いので、お優しいという評価をスルーするが。
「ま、オレもおおごとにする気はねぇし、その条件を追加してやる。ただ知られた奴は状況によっては巻き込まれるぞ?」
「バレないなら問題無いなら良いわ。
……じゃあ、聞かせてもらおうかね、詳細を」
「そうだな。……ただその前に一つ試してほしいことがある」
「試してほしいこと?」
オウム返しに聞き返した光瑠に頷き、店主はその内容を言う。
「オレのステータスをその鑑定で見てみてくれ」
……なるほど。そういえば確かめたことなかったなと光瑠は振り返り思う。
鑑定があるのなら他人のステータスが見れる、という事柄はライトノベルでは良くあるモノ。
にもかかわらず試したことがなかったのは、光瑠の性格が要因となり、鑑定で他人のステータスを見るという発想に至らなかったことにある。
レイからも鑑定ではステータスを見れないという話は聞いていたが、改だから見れるかも、という考えすら及ばなかったのは不覚だと光瑠は省みる。
とはいえステータスが見れるならこの先道行く人のステータスを見るかと言うと、その発想もまた光瑠は無かった。
せいぜいが一部の者と魔物相手ぐらいだろう。
それ程に他人のステータスを見るという行為への忌避感を持つ光瑠ではあったが、店主に対しては忌避しなくても良いカテゴリに加わっているので、頼まれた通り試してみる。
こんだけ考えておいてステータスが見れなかったら笑い者だな。そう感じつつ光瑠は店主に対して鑑定を発動させると、その考えが杞憂であったことを証明するように、目の前に半透明のステータスが現出した。
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名前:アウディア・ドゥ・センス・グラウド
レベル:【50】(282)
種族:魔族種
職業:青大鴉
魔力:【33807/33807】(316881)
スキル:〈剣術:2〉〈雷魔法:4〉〈滑空:4〉
状態:〈乖離封印:5〉
称号:〈異端〉〈悪魔侯〉〈呪われし者〉
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「……………………は?」
思わず、理解が及ばずに情けない声を上げてしまう光瑠であったが、それは無理からぬ話であった。
なにせそこに書かれた内容は、想像の斜め上を行く文字が有るのだから。
『種族:魔族種』
瞬きを繰り返し、見間違いが無いのを確認した光瑠は、店主――――アウディアに対し――純然たる事実が目の前にあるにもかかわらず――尋ねた。
「あんた……魔族なん……?」
アウディアは質問に首肯し答えた。
「あぁ、それもとびっきり悪の、な」
その事実は光瑠が思考を放棄するには充分な内容だった。
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