破滅の華が散る日まで

澪佩

よろしく 〜ユリュリアside〜

私は、物心ついた頃から自分にしか見えないものがある。例えば、他の神の魔力の色や形。もちろん自分の身体を覆う魔力や形は見えている。でも、父や母、ましてや姉弟(きょうだい)さえも私の魔力は、見えないと言った。

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「ユリュリアは、僕のまわりにあるものが見えるの?」

「うん、見えるよ。お華の形。ルノワールには見えないの?」
見えないよ、という答えが帰ってくるのを知りながらも聞きたくなってしまうのは性分。しかし、ルノワールの開いた口から出てきた言葉は……

「僕も見えてるよ。良かった、僕以外にも見える人がいて。」
一瞬、何を言われたのか頭で理解出来なかった。今、確かに見える、とルノワールは言った。

「もしかしてずっと前から見えるの?」
生まれつきなのか、それとも何かを代償に得た力なのか。それが知りたくて聞いてしまった。デリカシーがないのは分かっている。

「多分ね。そのせいで……まぁ、この力に罪はないんだけど、このことを話したらみんな僕に近づくのを怖がり始めたんだ。」
そんなに恐れるような力だろうか?

「私も……、周りのみんなから変な目を向けられたことあるよ……。」
そして同時に同じ言葉を呟いた。



「望んだ力じゃないのにね……。」




同時に同じ言葉を言ったことが可笑しくて、2人で笑わずにはいられない。するとリエース達が戻ってきた。

「何笑ってんだよ……。」
呆れたように笑い歩み寄ってくる。そして要件を伝える

「お父上が呼んでるぞ。ルノワールと一緒に来るように言われた。パーゴス様もそこで待ってる。」

「分かった。行きましょう、ルノワール。」
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お父様の書斎の前で深呼吸する。大体お父様に呼ばれる時は怒られる時くらい。そう、例えば……


無断で神立魔導図書館で一夜をすごした時は……

「全く……お前が本好きだということは百も承知しているが、せめて誰かに一言ぐらい言いなさい。」

「ごめんなさい、お父様……。」


あと、庭にあるおおきな木に木登りした時とか……
「お前は女の子なのだぞ?落ちたらどうするのだ。もう少し自分の立場というものを考えなさい。」

「はい……ごめんなさい、お父様……。」




他にも両手では数え切れないほどお父様を怒らせてーと言うよりは困らせてーきた。今度もきっとあの森に近づいたことで叱られるに違いない。よし、と心で呟くと中にいるお父様に声をかける。

「お父様、ユリュリアです。」
入りなさい、の合図で部屋に入る。恐る恐るお父様の顔を見ると、眉間に皺を寄せている。パーゴス様も困った顔をしている。とうとうこれは、ディナーを抜きにされそう。

「ユリュリアが助けたというのは君かな?」

「は……はい。」
ルノワールが受け答えをするも、完全に恐縮状態……

「そんなに気を張るんでない。怒ってはいないよ。」
これはルノワールに向けられた言葉。私は怒られる。そんな事をルノワールも思ったのか、

「ユリュリアは悪くありません。僕を助けてくれたのですから。」

「ふむ……困ったものだな、ここまでお前がおてんば娘とは……。」
あぁ、ディナーはなしだ……。

「ユリュリア、1人で勝手にするなと何度言った?」

「ごめんなさい……お父様。控えます……。」
ディナーなしだけはやめてください……!!!切実に!

「控えよ……と何度かお前には言ったはずだが……?」
はぁ……、ってもう呆れてる。

「まぁ、その行動が君を救った訳だ。そこは認めるべきだな、パーゴス?」

「まぁ、そうですね。ユリュリアも反省しているようですし。」
そして目をルノワールに向けた。

「それで君を保護した訳だが……、どこから来たのかな?ついでと言っては何だが、怪我を負ったまま何故外にいたのか教えてはくれまいか?」
ルノワールは、戸惑いがちに答える。何かを隠しているような感じだけど、まぁ、そこは目を瞑った方がいいやつだろうし……

「成程そうか。帰る家がない……と。」

「はい、ですが今はこの通り怪我も消えましたし、あとは自分で何とかします。お世話になりました。」
そんな風に発言したルノワールにお父様は質問を投げかける。

「ルノワールと言ったな。アルカナ家と聞いて何か思わないかい?」
突拍子もない質問に、頭の上に?が浮かんでいるルノワール。誰もが即答できるこの質問に答えられないのはまずい。



ーだって、アルカナ家は物心がついてすぐに誰もが教わる4大神の家だから。ーそれを見たお父様は、難しそうな顔をする。

「ねぇ、ルノワール。ほんとに何も分からない?」
さっぱりという顔をしている。お父様の顔を見ると、言い出しにくいというのが良くわかる。

「ルノワール、よく聞いて。今のままだと何にもできないよ……。」
どういうこと?と聞き返される。困った顔をしたリエースが説明をする。自分の置かれている現状を理解したのか、しょぼくれるルノワール。そこにお父様の声がかかる。

「どうだね、行く場所がないならこの家においで。」

「で、でも助けていただいたのに、僕は何もできませんよ……?」

「いや、君は出会った人の顔と名前を覚えるのが早い。なかなか出来るものでは無いのだぞ?そういう能力を使う仕事は主にパーゴス達がやっている。離れになってしまうが、そこでパーゴス達と共に暮らし、仕事を手伝ってはくれまいか?」

「そ、そんな僕がいてもいいんですか?」

「君が望むなら。それに……」
私の方を向くと、とんでもない言葉が出る。

「私の娘、ユリュリアの監視も兼ねて……な。私は忙しくてユリュリアのことを見ていられない。リエースやパーゴスに頼ってはいるが、しぶとくすり抜けるのでな。」
あぁ、それ以上口に出さないでください…心が折れそう。

「さて、ユリュリア、お前には抜け出した罰として……」
え、待って……さっき褒めてたじゃないの。なんで罰則があるの!?

「ルノワールの教育係になり、ルノワールにこの世界の事を教えてあげなさい。」
……え?ディナー無しじゃ……ない?

「お、お父様……!」
お父様に手で制されてしまう。しかし、帰ってきた言葉はー

「お前が助けた子だ、お前の手で育てなさい。」
その一言だけに収まっている。何とも珍しい。そんな事を思っているうちにお父様は書斎から出ていってしまった。残された私とルノワールとリエースはどう反応して良いのか分からない。

「良かったな、ルノワール。これからよろしく。」

「うん、ルノワールが知らないこと沢山教えてあげる。よろしくね。」
ルノワールは照れながら、うん、よろしく。と言った




















─ルノワールの周りの邪気が少しなくなっている事に、あなたは気がついたのかな……?ー

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