右目を無くした少年の恋のお話

Akisan

捜索

他の女子達を家まで送り
京極は一人春斗を探し続けた

既に日は落ち月が輝く時間だった
夏が近づいてきているとは言え
日が落ちれば肌寒く感じる

(居そうな所だと、どこだ?
クソっ、全然分からねぇ)

ただ、がむしゃらに走り探し続けた



ゲームセンターでアイツに会い京極に秘密を知られ
とにかく、あの場を離れたかった俺は
何も言わずにあの場から逃げた

しかし、家に帰る気分にはなれず
適当にフラフラと行く宛もなく
人の少ない方へ少ない方へと歩き続けた

歩き疲れた俺は土手に座り川を眺めた
今の乱れた心を癒すのに丁度良かった
(アイツらには悪いことしたな
明日、謝るか、京極に何て言えば良いんだろう)

そこでふと思い出したのはあの場所だった



「はぁ、はぁ、もう、走れねぇ」
橋に差し掛かったところであまりの疲労で
近くにあったベンチに座り背もたれに寄り掛かる

街灯の光と、車のヘッドライトが
辺りを明るく染める
 
「家に帰ったかな…この時間だし」
何て思っていると

「よう、少年、こんな時間まで友達探しかい?」
その声と共に首筋にヒヤッとしたものが触れる

「うわ、冷たっ──って名代?それに早坂まで
なにしてんだよ、お前ら帰ったってか送っただろ」
イタズラっぽく笑って名代が
「あんたなら絶対に一人で探すと思って
二人で一緒に手伝おうってなったのよ」
と、言った

「明日を待つしかないって言ったけど
不安で待てそうもないしね」
早坂も笑ってそう言う

「それで?これからどうする?」
「まずは、二手に別れよう
俺は川の東側を見てくるから
川の西側を頼む、1時間ぐらいしたら
またここに集合だ、見つからなかったら
明日を待つ、それで良いか?」
「わかった」
「ん、おっけ」

そして、また探し始めた

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