【佳作受賞作品】おっさんの異世界建国記
農耕を始めよう(3)
――もうすぐエルリダ大陸は、冬が到来する。
南に存在するエルアル大陸とは違って、北に存在するエルリダ大陸は冬には冷え込む。
そのため、一般家庭ではウェアウルフの毛皮を加工した寝具で暖を取るのが一般的だ。
まぁ、金持ち貴族になれば羽毛などを使った超高級寝具を使うので、夜は寒さから無縁だと思うが……。
そして――。
ちなみに俺と言えば、スノーウルフの毛皮を加工した毛布を利用している。
基本的に枕が替わると寝られない俺にとってスノーウルフの毛皮を加工した毛布というのは、高くても購入してしまうくらい魅力あるものだ。
優れた毛布と言う物は、冒険でも使えるし、普通に宿屋でも使用可能で、冬でも暖かく寝ることができる素晴らしいものだ。
そして、そんな素晴らしい毛布――。
初代、スノーウルフの毛布は燃えてしまったが、俺は町で2代目スノーウルフを最優先で購入しておいた。
そんな素晴らしい毛布には現在、俺とリルカが一緒に入って暖を取っていた。
ちなみに数時間前に、村人が全員で食べる一ヶ月分の干し肉を、全部食べたエルナは、今日からは自主的に他の獣人と床を共にするらしく、最初に立てたログハウスには、俺とリルカしかいない。
「うーん」
「エイジさん、どうかされたのですか?」
「じつはな……」
俺は、エンパスまで食料を買いに行ったが町がリムルのせいで壊滅した事で食料を補給できなかったことをリルカに伝える。
そして、今日の暴飲暴食の結果――、あと一週間で村の食料が尽きることを説明した。
俺の説明に、頭の上の狐耳をペタンと倒しながらリルカが伏せ目で「――そ、そうなのですか……ごめんなさい」と沈んだ声で謝ってきた。
「いや、別にリルカが悪いわけでもないしエルナだって普段は、そんなに食べないだろ? 何か理由があったんだよな?」
「……はい」
「良かったら聞かせてくれないか? どうしてエルナは、あんなに食べていたんだ?」
一緒に横になっていたエルナは、「実は……」と語りだす。
本来、魔力を持たない狐族の中で、稀に生まれる魔力が高い狐は食べた分を魔力として蓄えることが出来ると。
そして、その魔力を使って身体能力を強化して戦う。
戦ったあとは、たくさんの食料を食べないと衰弱死してしまうと。
「なるほど……、つまりリムルと戦ったことで蓄えていた魔力を使いきったという訳か?」
「はい。とくにエルナは、まだ胸が小さいので……、備蓄できる魔力が少ないのです」
「――ふむ……」
俺は、隣で寝ているDいやFはある胸をジッと見ながら、この世界の獣人の胸には魔力が詰まっているのかと何度も頷く。
よく大きな胸には夢が――。
小さな胸には希望が詰まっているとあるが、中々に興味深く深遠に近い言葉だなとは思っていたが、この世界でもそれは通じるらしい。
つまり、エルナも成長すれば極端に食料を食べる必要は無くなるということだ。
――そう、成長すれば……。
上から下まで引っかかりがないエルナでも成長すれば何れは、燃費が良くなるのだろう。
きっと……たぶん――、そこには希望があるのだから。
「あの……エイジさん、そんなに見られると――」
「あっ、うっ――。す、すまない。」
つい重要なことを考えていたため、リルカの何も着てない胸に視線が釘付けだったままであることを思い出し謝罪した。
そう、女性の裸をジロジロと見るなんて紳士としてやってはいけないことだ。
――と、思いつつ見てしまうのが悲しきかな男の性である。
「エイジさん、しばらくエルナは以前と同じ量の食料で足りると思います」
「そうなのか……」
俺はリルカの胸元を見ながら考える。
現在、開拓村エルでは、俺とエルナとリルカと10人の獣人と、元・塩の女神ニートがいるだけだ。
つまり14人分の食料を近日中に手配しないといけない。
現在、村では自給自足が出来るような畑は存在してないし、今から種を撒いたとしても刈り取れるまで数ヶ月はかかるだろう。
そんなのを待っていたら、確実に村が滅んでしまうし何より10歳以下の獣人の女の子がエルナを含めて5人もいるのだ。
ひもじい思いはさせられない。
「仕方ない――。ちょっと裏技を使うとするか――」
「裏技ですか?」
「ああ、エンパスの町で食料の仕入れはできないから、その隣――ソドムの町で食料の仕入れを行おう。ある程度、食料を仕入れたら畑を作ればいいんだが――」
俺は顎に手を当てて考える。
これから冬に向かうのに、育つ植物というか野菜などあっただろうか? と――。
「ちょっと、ソドムの町に行ったら確認してみるか……」
「あの……、エイジさん……」
俺が、これからの予定を一生懸命考えていると頬を赤く染めたリルカが口付けしてくる。
「一生懸命、考えているエイジさんは格好いいです。あの……、わたし……」
リルカが瞳を潤ませながら毛布の中で俺の体に抱きついてきた。
やれやれ――。
どうやら、今日は寝むれそうにないな。
そろそろ40歳なのだから、手加減をしてほしいものだが――。
南に存在するエルアル大陸とは違って、北に存在するエルリダ大陸は冬には冷え込む。
そのため、一般家庭ではウェアウルフの毛皮を加工した寝具で暖を取るのが一般的だ。
まぁ、金持ち貴族になれば羽毛などを使った超高級寝具を使うので、夜は寒さから無縁だと思うが……。
そして――。
ちなみに俺と言えば、スノーウルフの毛皮を加工した毛布を利用している。
基本的に枕が替わると寝られない俺にとってスノーウルフの毛皮を加工した毛布というのは、高くても購入してしまうくらい魅力あるものだ。
優れた毛布と言う物は、冒険でも使えるし、普通に宿屋でも使用可能で、冬でも暖かく寝ることができる素晴らしいものだ。
そして、そんな素晴らしい毛布――。
初代、スノーウルフの毛布は燃えてしまったが、俺は町で2代目スノーウルフを最優先で購入しておいた。
そんな素晴らしい毛布には現在、俺とリルカが一緒に入って暖を取っていた。
ちなみに数時間前に、村人が全員で食べる一ヶ月分の干し肉を、全部食べたエルナは、今日からは自主的に他の獣人と床を共にするらしく、最初に立てたログハウスには、俺とリルカしかいない。
「うーん」
「エイジさん、どうかされたのですか?」
「じつはな……」
俺は、エンパスまで食料を買いに行ったが町がリムルのせいで壊滅した事で食料を補給できなかったことをリルカに伝える。
そして、今日の暴飲暴食の結果――、あと一週間で村の食料が尽きることを説明した。
俺の説明に、頭の上の狐耳をペタンと倒しながらリルカが伏せ目で「――そ、そうなのですか……ごめんなさい」と沈んだ声で謝ってきた。
「いや、別にリルカが悪いわけでもないしエルナだって普段は、そんなに食べないだろ? 何か理由があったんだよな?」
「……はい」
「良かったら聞かせてくれないか? どうしてエルナは、あんなに食べていたんだ?」
一緒に横になっていたエルナは、「実は……」と語りだす。
本来、魔力を持たない狐族の中で、稀に生まれる魔力が高い狐は食べた分を魔力として蓄えることが出来ると。
そして、その魔力を使って身体能力を強化して戦う。
戦ったあとは、たくさんの食料を食べないと衰弱死してしまうと。
「なるほど……、つまりリムルと戦ったことで蓄えていた魔力を使いきったという訳か?」
「はい。とくにエルナは、まだ胸が小さいので……、備蓄できる魔力が少ないのです」
「――ふむ……」
俺は、隣で寝ているDいやFはある胸をジッと見ながら、この世界の獣人の胸には魔力が詰まっているのかと何度も頷く。
よく大きな胸には夢が――。
小さな胸には希望が詰まっているとあるが、中々に興味深く深遠に近い言葉だなとは思っていたが、この世界でもそれは通じるらしい。
つまり、エルナも成長すれば極端に食料を食べる必要は無くなるということだ。
――そう、成長すれば……。
上から下まで引っかかりがないエルナでも成長すれば何れは、燃費が良くなるのだろう。
きっと……たぶん――、そこには希望があるのだから。
「あの……エイジさん、そんなに見られると――」
「あっ、うっ――。す、すまない。」
つい重要なことを考えていたため、リルカの何も着てない胸に視線が釘付けだったままであることを思い出し謝罪した。
そう、女性の裸をジロジロと見るなんて紳士としてやってはいけないことだ。
――と、思いつつ見てしまうのが悲しきかな男の性である。
「エイジさん、しばらくエルナは以前と同じ量の食料で足りると思います」
「そうなのか……」
俺はリルカの胸元を見ながら考える。
現在、開拓村エルでは、俺とエルナとリルカと10人の獣人と、元・塩の女神ニートがいるだけだ。
つまり14人分の食料を近日中に手配しないといけない。
現在、村では自給自足が出来るような畑は存在してないし、今から種を撒いたとしても刈り取れるまで数ヶ月はかかるだろう。
そんなのを待っていたら、確実に村が滅んでしまうし何より10歳以下の獣人の女の子がエルナを含めて5人もいるのだ。
ひもじい思いはさせられない。
「仕方ない――。ちょっと裏技を使うとするか――」
「裏技ですか?」
「ああ、エンパスの町で食料の仕入れはできないから、その隣――ソドムの町で食料の仕入れを行おう。ある程度、食料を仕入れたら畑を作ればいいんだが――」
俺は顎に手を当てて考える。
これから冬に向かうのに、育つ植物というか野菜などあっただろうか? と――。
「ちょっと、ソドムの町に行ったら確認してみるか……」
「あの……、エイジさん……」
俺が、これからの予定を一生懸命考えていると頬を赤く染めたリルカが口付けしてくる。
「一生懸命、考えているエイジさんは格好いいです。あの……、わたし……」
リルカが瞳を潤ませながら毛布の中で俺の体に抱きついてきた。
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