異世界の貿易人

ゼルディーニ・O・J

第3話

あの日から何年の月日が流れただろう…
 1年から先は数えていない。数える気力すらなかった。
 俺は今牛車に乗せられている。俺一人ではなく、年老いた者、精神が狂った者、体の1部が欠損した者。
 そうこの牛車は欠陥品、すなわち商品にすらならない奴隷を運んで居るのだ。
 恐らく俺たちをまとめて処理する気だろう。
正直どうでもいい、今の状態じゃ生きていても意味が無い、右手と左足の欠損、顔面の焼け爛れた痕、チグハグに縫われた胸部の切り傷。
 もう死ぬ事えの抵抗は無い。どちらかと言うと早く殺してほしいぐらいだ。
 
 そして牛車が止まった。俺は辛うじて動く体を使い松葉杖のような枝を使い歩いた。
 
 どうやら俺たちは魔法の実験台になって死ぬらしい。
 
 俺たちは10分ほど待たされた。そして子連れの男魔導師が入ってきた。
 
魔導師「そのを男こちらへ!」
 
兵士「ハッ!」
 
 呼ばれたのは俺だったようで兵士に引きずられながら別室へ移った。
 
魔導師「坊や。これからお父さんの仕事っぷりを見ていなさい。」
 
子供「うん!」
 
仕返しという訳でも無く何かしたかった訳でもないが俺は舌を噛みちぎった。恐らく走馬灯であろう過去の出来事が全て蘇ってきた、全てがスローに見えた、今までにない幸福感と快感のあと俺の視界は暗転した。



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お読み頂きありがとうございます。
今回は意図的に主人公には喋って貰いませんでした。
まー多分意図しなくても喋らなかっただろうけど……


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