痩せ姫さまになりたかった女の子のお話

ノベルバユーザー166947

桃子の憂鬱

桃子はお風呂の中で一人で考え込んでいた。
大学はお休みだというのに今日したことと言えば大量に食べては吐いて疲れて寝る、の繰り返しー
あとは時々インスタを開いて友達が旅行や流行りのカフェで自撮りしてるのをいいね!するくらいだ。
いいね!なんてこれっぽっちも思ってないし、なんならほとんど写真を見てすらないのだが、上に書いてある友人の名前を確認してダブルクリック。これで友達との関係が保てるのならお安い御用である。

桃子にだって一緒に流行りのインスタ映えスポットに行く友達や遊ぶ友達がいないわけではない。彼氏だっている。
でもわざわざ休みの日に時間を割いてまで行きたいスポットもなければ、明日どうせ大学で会う友達に会いたいという気力もおきなかった。お金もないし。

というわけで、朝から晩まで寝巻きのまま、ひたすら食べて吐いてしていたわけだが、こんなことなら外で遊べばよかったと思い始めた。過食欲というやつはどこからともなく現れて、スイッチが入ったように家にあるものを食べ尽くす。自分じゃないモンスターみたいに全てを食べ尽くす。

こんなこと、ホントは全然したくなかった。お金はかかるし、食道や歯はやられるし、なによりも太る!
そう、「太る」
正直、どんな他の害よりも怖いのはこの太るということで、その占める割合が99.5パーセントくらいだ。
とにかく太るのが怖い。太るくらいなら死んでしまいたいと、過食したあとは必ず思うのだった。

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