ギャング★スター

髭紳士

サムライ卍テンプル1

 極東の国ジャポンの寿司屋「イタマエ」のカウンター席に二人の男が座っていた。一人は眼帯をし、右腕が義手の男。もう一人は頭をマゲに結い、刀を腰に差したサムライだ。
 眼帯の男は右手を見つめた。
「俺はあの街で警官をしていた。毎日がエキサイティングな日々だったよ。」
 サムライは黙って湯呑みの茶を飲んだ。
「あの街で生き残るのに必要な物は『強さ』だ」
 サムライの湯呑みに熱い茶が注がれる。サムライは板前に大トロを頼んだ。
「俺は警官として正義を守り通したかった…結局はこのザマだけどな。」
 純白の米と深紅の大トロが固く握られる。
「その街へはどのように行くのか。」
 眼帯の男は驚いて聞いた。
「おいおい。何しに行く気だい?」 
 サムライは大トロ寿司を口に放り込み席を立った。
「腕試し、にごさるよ」
 のれんをくぐろうとしたサムライを眼帯の男が呼び止める。
「あんたの名を聞かせてもらえねえか。」
「サイトー」
 それがサムライの名だった。

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