One’s day off-Sakura-

嘉禄(かろく)

Sweetest day

今日は、久しぶりのオフかつ久しぶりの百瀬とのデートの日だ。
どこに行きたいか聞いてみたら、

「久しぶりに甘いものを沢山食べたいわね、原宿に行きましょう。
そのあとは雛森も楽しめるように表参道に歩いて行きましょうか。夕飯もついでに済ませちゃいましょう。」

ということで、女子がとても多い街原宿に行くことになった。
百瀬がいなきゃ絶対に行かないところだが…。

当日、俺は先に準備を済ませてリビングで百瀬を待っていた。
20分ほど経って部屋から出てきた百瀬を見て俺は驚きすぎて黙り込んだ。

「お待たせ雛森、待たせたわね。」
「…百瀬、それは…」

百瀬はホワイトのショートパンツにショッキングピンクでオフショルのトップスを着ていた。
メイクもバッチリでどこからどう見ても女性、だが…

「…女子高生かよ。似合うのがこれまた…」
「何よ、文句ある?」
「無いけど、俺思いっきりラフだから…」
「そんな事ないわよ、雛森容姿整ってるから問題ないわ。」
「…その論理がよくわからないが、いいならいい。
行こう、百ちゃん。」

俺は百瀬の手を取り駅まで歩き、そこから電車に乗って原宿は竹下通りに到着した。
休日だけあって、若者たちの賑わいが凄まじい。

「相変わらず若者だらけで騒がしいところだな…。
ここに来たの何年ぶりだろ?」
「だいぶ前に来たわね、早速行きましょう。」

手を引かれるまま俺は百瀬のあとに続く。
少し歩いて、百瀬が突然目を輝かせた。

「雛森、クレープのお店があるわよ。
やっぱり原宿といえばクレープよね、食べましょうよ。
そこまで甘くないのもあるから。」

遠慮する前に買われてしまった…まぁいいか、今日は付き合うと決めたんだし。
それに、クレープを頬張って顔を綻ばせる百瀬を見ているのも悪くない。

「百瀬、クリームついてる。」

口の端についていたクリームを指でとって舐めるとかなり甘かった。それはそうだろう、百瀬が頼んだのはフレッシュミックスベリーというベリー系を生クリームで包んだクレープだったから。

「うわ、あっま。」
「当然よ、甘いの選んだもの。
そういう雛森は…イタリアンサラダのクレープね?
一口ちょうだい。」
「いいけど味が…あー食べちゃった。」

味が混ざってよくわからないと思うぞ、って言おうと思ったのに。
結果案の定俺のクレープと百瀬のクレープの味が混ざったようで、

「…よくわからないわ、今度来た時はそれにするわね。」

と少し残念そうだった。
お互い食べ終えて再び歩き出すと、再び百瀬が店の前で足を止めて中に入っていった。
今度はファッションの店のようで、1着の服を手にとって戻ってくる。

「雛森、これ可愛くないかしら?」

そう言って百瀬が見せてきたのは、背中が大胆にあいたグレーのチュニック。
恐らくワンピースとして着るつもりなんだろうが、露出が凄いことに…。
百瀬の事だからまたそこら辺の男どもに言い寄られるに決まってる、そう考えたらいい気はしなかった。

「可愛いし絶対似合うけど、また男寄ってくるぞ?」
「あら、雛森妬いてるのね?
じゃあ次のデートでこれ着ましょう、それなら問題ないわよね?」
「あ、ああ…。」

俺が頷くと百瀬はさっと店内に戻って買ってきた。
そんな感じで原宿をぶらぶらして、表参道では百瀬が俺の服を選んでくれたりして案外楽しかった。

夕食は珍しく和食の店で済ませ、尋もいるので8時頃に家に着くように帰路につく。

「今日は楽しかったわね、雛森。」
「そうだな、百瀬。また2人でどっか行こうな。」

駅から家までの帰り道で百瀬の呟きに答える。
今日くらいは、俺たち水入らずも悪くないと手を繋いで歩きながら再確認した日だった。

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