それぞれの愛の形

嘉禄(かろく)

Tide

君が奪われて、共にいられなくなって長い時が過ぎた。
君がいるのは、きっと声は届かない月の向こう側。

「迎えには来なくていいわ、ここにいるのは私の意思だから」

それでも、心臓が止まりそうなくらい逢いたくて…君は僕に夢をくれた人だから。
君にしか気持ちは向かわないから。
だから、君の元へ飛んでいける翼を分け与えてほしい。

転生を繰り返して、色んな星に辿り着いて、けれど距離は縮まるどころか互いに遠ざかって廻り廻るばかり。
けれど、いつの日か交われるならどんなに残酷な御伽噺でも報われると信じて寄り添っていたい。

…このまま会えないなら、いっそ何も聞こえない月に落ちてしまおうか?
命壊れるまで歩き続ければ、君に会えるだろうか?
最愛の君を迎えるまで、僕は運命すら退けてやる、そう思っていたのに。


…思い出せば、最初に離れたのは僕だった。
愛していたのに、君が離れるのが怖くて。
僕には君を守れるほどの強さなんてなかったから。
今は自分自身を引き裂いてしまいたいくらい、悔やんでいる愚か者。
…戻れるなら、離れる前に戻りたい。

ずっと、あの夜君がくれた本当の愛が僕を呼んでいる。
途切れた時間が、今もどこかにあるなら…。
最後でいい、どうか…一度だけでも君に逢いたい。
2人の中に眠る羽を探して…夢幻の楽園で君に抱かれながら、翼を重ね合って永遠を夢見ていたかったよ…。

Good bye,my angel.

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