自殺系JK、佐藤美緒の密着一週間☆

漆黒の饅頭

番外 3年前、女王の誕生

「改めて、入学おめでとう。今日から君たちの担任を努める、田口芳明です。えー、今の時間はHRということで、簡単に明日からの予定を説明したいと思います。まず明日は──」
 担任の先生、話長いな……。予定なんて紙渡せば分かるのに。それよりも、早く友達作んないと……。知ってる人誰もいないんだから。
「──ということなので、とりあえず、今年一年、よろしく!……と、時間が余ったので、自己紹介の時間にしよう。出席番号1番から、名前、出身中学校、後は……入りたい部活と、何か一言言いたい人は言ってって下さい。それでは1番からー」
 うわ、こんな大人数の前で自己紹介とかムリムリ!心臓破裂する!何て言おう……
 えっと、東中学校からきました、佐々木明日香です。入りたい部活はまだ決まってません。よろしくお願いします。でいいかな?もっと面白いこと言った方が
「──はい、よろしくー。では、次30番ー」
 ヤバ!考えるのに夢中で他の人の紹介聞いてなかった!落ち着け、落ち着け……。
「えっと、東中学校からきました、佐々木明日香です。入りたい部活はまだ決まってません。よろしくお願いします」
 ふぅ、終わったー……。よし、今度は他の人の紹介を聞こう。友達作んないと…。
「南中学校からきましたー、佐藤美緒です。バスケ部に入ろうと思ってまーす。よろしくお願いしまーす」
 後ろの人、佐藤さんか。なんかちょっと話しかけづらそう。


「よし、じゃあ自己紹介もしたことだし、仲良くしていきましょう」
 キーンコーンカーンコーン
「じゃあHR終わりまーす、次の時間は学年集会なので、第一体育館に集まって下さい。では、号令ー」

 うわ、やっぱりもうグループ出来てる。お昼までに誰かに話しかけないと……。
「ねぇ、佐々木さん、だっけ?」
「わ、は、はい!じゃない、うん!佐々木です!」
 めっちゃビビった!!めっちゃビビった!!佐藤さんから話しかけてくるとは思わなかった!!
「そんなにビビんなくてもいいよw次、体育館移動すんの、一緒に行かない?私友達別のクラスでさ。嫌だったらいいんだけど」
「あ、い、いいよ!一緒にいこ!!」
「マジ?良かったー!じゃあ、行こっか」
 ……思ったよりすごく優しそう。良かったー!後ろの人がいい人で。ごめんなさい、さっきは話しかけづらそうなんて思って。

 お昼だ!佐藤さんとたべれるかな??
「佐藤さん、お昼、一緒に食べない??」
「いいよ!友達も来るけどいい?」
「全然大丈夫!」
 よし、よし!入学でお昼ボッチになんなくてすんだ!佐藤さんとこのまま友達になれるかな?
「美緒、お待たせー」
「おー、遅かったね。そっちのクラスどう?」
「めっちゃ楽しいよ!担任の先生も面白いし。そっちは?」
「担任は普通かな。でも、男子がみんな面白い。ね?佐々木さん?」
 いきなり振られた!
「あ、うん!男子の自己紹介、おもしろかった!」
 ……緊張しすぎだよ!私!
「佐々木さんっていうの?うち、隣のクラスの渡辺菜々美。美緒とは中学校からの仲なんだ。よろしくね!」
「あ、佐々木明日香です!こちらこそ、よろしく!」
「ね、下の名前で呼んでいいよね?私達のことも呼び捨てでいいからさ。いいでしょ?美緒」
「全然いいよー。佐々木さんがいいなら」
「私もオッケーだよ!」
 えっと、後ろの席の美緒ちゃんと、隣のクラスの菜々美ちゃん……。
「そいえばさー、美緒、今日の部見学どするー?うち、いろいろ見ていきたいんだけどー」
「私はバスケ部しか見ないよ。他、興味ないし」
「あっそ、明日香ちゃんは?」
「私は、部活には、入んなくていいかなーって思って」
「そうなの?でも、高校生になったんだから、新しいこと初めてみたくない?」
 それもそうか。新しいことに挑戦してみてもいいのかな?
「じゃあ、美緒ちゃんと一緒に、バスケ部見てこようかな……」
「え!二人ともバスケ部!?じゃあうちもバスケ部行く!」
 楽しい。良かったー!入学式で、友達二人も出来ちゃった!高校生活、超楽しくなりそう!




「──よし、じゃあこのあとは部見学だから、部活に興味ある人は、見学してって下さい。俺は柔道部の顧問だから、道場に来れば成績あげるかもしれないぞー」
 きたきた!部見学!美緒ちゃんと行こっと!
「美緒ちゃん!一緒にいこ!」
「うん、菜々美も行くってからちょっと待ってよ」
「うん!」
 ……待てよ?私、中学校、料理部だったけど、バスケなんて始められるのかな?今さら不安になってきた。ヤバい。
「お待たせー!」
「遅いわw」
「ごめんごめん、担任の先生、おもしろすぎて収集つかなかったの!えっと、第一体育館だっけ?」
「そうだよ!私帰り塾だし、そんなに長居できないから、急ぐよ!」
「はりきりすぎw待ってよー!」
 美緒ちゃん、中学校の時もバスケ部っぽいなー。絶対入るよね。なんか、場違いっぽくなったらどうしよ……

「すみません!部見学で来ました!」
「お、来た来た!今年結構多いなー!ラッキー!
あっとー、で、どうする?3人とも経験者?」
「いや、私は経験者ですけど、菜々美は違うよね?」
「私、バスケやったことないです。明日香は?」
「あ、私もやったことないです」
「了解!じゃ、経験者の君はあっちで、実際にゲームに混ざって、初心者の二人は、こっちで軽くボールに慣れよっか」
「「「わかりました!」」」
 やっぱ美緒ちゃん経験者なんだ。カッコいいー。


「どう?バスケ楽しい?」
 う~!シュート全然入んないし、ドリブルしながら走れないし、難しい!
「……結構難しいんですね……」
「まぁ、最初は誰でもそうだけど、慣れれば楽しいよ!実際私も、ってヤバ!え?あれ一年だよね!?」
 ?どうしたんだろ……
「速っ、ちょっと待って!ヤバいヤバい!」
「あのコ、南中のバスケ部のエースだったコじゃない?」
「うっそ!マジ?だからあんなに速いのか……」
 わ……。
 み、美緒ちゃんだ……。
 すごく速い!
「あ、もう塾なので帰ります。ありがとうございました」
「ねぇ!君、何ちゃんだっけ?」
「佐藤美緒です」
「バスケ部、入るよね?」
「もちろんです。来週から、よろしくお願いします」
「あの~、なんでうちの高校来たの?バスケ強いわけじゃないのに」
「普通に近かったからです。えっと、もうそろそろいいですか?塾遅れちゃうので……」
「あ、ごめんごめん!バイバイ!こちらこそありがとう!またいつでも来てね!待ってるよ!」
「はい、さようなら」
 あ、ヤバい!美緒ちゃんと帰っちゃう!
「私も帰ります!さようなら!」

「美緒ちゃん!」
「あ、明日香ちゃん。どうしたの?明日香ちゃんも塾?」
「美緒ちゃん、すごくバスケ上手いんだね!ビックリした!」
「ありがと、明日香ちゃん、バスケ部入るの?」
「どうしよ……、私、運動音痴で、今日の体験もすごく難しかったから……」
「入らないの?」
「うーん、考えてみる」
「バスケ、楽しいよ。難しかったらさ、私、教えるし。てゆうかこの高校のバスケ部、ぶっちゃけあんまガチでやってる感じではないから、大丈夫だよ」
「そうなの?じゃあ、入ろっかな?」
「良かったー!やっぱ知ってる人入ってくれた方が、安心するからさ、明日香ちゃん入ってくれて助かる!」
「ホントに?で、でも、菜々美ちゃんは?」
「菜々美は多分ムリムリ!あいつ、集団行動苦手だから、運動部は向いてないよ」
「じゃあ、バスケ部とか、これからも色々わかんないこと聞くと思うけど、大丈夫?」
「大丈夫だよ!私も、明日香ちゃんに迷惑かけるかもだけど、よろしくね」
「うん!」
「あ、忘れてた!LINE、交換しよ!」
「あ、そうだね!」


「じゃ、私バスだから、バイバイ」
「明日香ちゃん、バスなんだ。バイバイ。またねー」
「うん、またね」
 とっさにバスケ部入ろっかなとか、いっちゃったけど、大丈夫かな?
 ……大丈夫!美緒ちゃんがいるもん!
 最初はちょっと怖かったけど、ホントに明るくて、頼れる人だなぁ。

 良かった。

 これで私

 一人じゃない。

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