Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜
これで安地は確立ですか?
闇は夜よりも暗く、海よりも深く、空間をねじまげてでもロキの体を食いつぶしていく。
その姿はさながら大型の動物を小型動物の群れが喰らっているような、獰猛で残酷な印象を見たものに植え付けただろう。
ぐちぐちと快音を響かせて中の巨人を貪る闇の姿は、もはやそれが本来の異形の闇などではないのだということすらも忘れさせる。
見たものの全身を恐怖という感情の鎖でその場にはりつけた光景はしかし、そのはりつけられた人間達全員を救うために戦うものの光景であったということに気づくものは居ないだろう。
「全く、相変わらずそんな役回りだわ」
「どちらにしても中身だけ移動してきたこっちの体じゃ、そろそろ俺達は持たないかもだね」
「ええ、そうね。グランフェイタスの言っていた、3周目の英雄にあとは任せるしかない」
「それにしても、本当にこんな世界があったのなら、私こっちで生きたかったかもしれないわ」
「……」
「まぁ、今更そんなことを言ってもどうしようもならないしね、さて、最後の英雄くんへの手向けを用意しなくちゃ」
「ああ、悪い」
「別にあなたが謝ることじゃないわよ。本当の私は死んでるんだからあれよ、いい事する幽霊もいたってことよね。『近江國の生靈、京に來たりて人を殺す語』なんて怖い話があるけれど、私はあれよ、死んででも尚世界を救うために頑張った善良な幽霊ってやつよ。あ、この話の幽霊は生霊だけどね」
「……お前らしいな、あんなことがあっても」
「もうほんと、なんとか自分たちの世界救っていざ元の世界に帰りましたってところで世界終わってるとか、お話にならないわよ」
「あれが予知夢でよかったって今でも思ってるよ。グランフェイタスには感謝だな」
他愛ない2周目での話を繰り広げる2人。そんなふたりの体は徐々に光を帯び始めて透けていく。
「……さて、そろそろ時間ね」
「一宮君は間に合わなかったか」
「仕方ないわよ、あいつはあいつでどこかで上手くやってるわ。さぁ、黒剣、最後に一発かましてやりなさいよ。この世界に一瞬でも私たちが生きた証を」
「あぁ、分かってる」
消え掛けの両手を中に掲げ、優はその場に2本の剣を生成する。
「黒剣、白剣。銘を刻んでこのままロキに刺してとどめる。エルピスの力が弱まってる今ならおそらく英雄くんはしっかりやってくれるさ」
そう言うと、優は安里の手を握り、宙空を階段を上るようにして昇っていく。
「さぁ、理不尽なループは今回で終わりだ。新しい世界でまた会おう」
「必ず会えるだなんて確証なんてないわよっていつもの私なら言ってたかもね……でも、何だか今回ばかりは最初から、あなたの言うことを信じられる気がするわ」
笑顔で天に向かっていく2人の姿は光の柱となり、その位置をバルトラ陣営、そしてエイジに知らせる。
曇天を割く柱は、その後も長くその場に留まり続けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ご主人、行くわよっ!」
シルティスが扉を勢いよく開け放って上着を着直しながらこちらへ走ってきた。
つい先程、宙に現れた巨大な人型の化け物が、まるでヘドロのようなものに食われ、その場所に光の柱が現れるという不思議現象が怒って唖然としていた所だった。
あれが現れてシルティスが行くと声をかけてくるということは、あれが城の魔王という人物が何かをしたということだろう。
ちゃんとロキを抑えてくれていればいいのだけれど。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ハッ、もうケリをつけたか」
アーサー・ペンドラゴンはエクスカリバーを薙いで各地の蛇を駆逐し終えたところで、自身を構成する魔力が弱まりつつあることに気づいた。
「これで私達がこの時代に意思を持つことは最後になるわよ」
2周目の世界に小鳥遊優が現れるという条件を満たしていなければ彼らは現世に現れることは無い。
へスティアは暗にアーサーにそう伝えたかったのだろう。しかし、アーサーはそのようなこと一切気にする素振りなど見せなかった。
「もとよりアヴァロンにいたところを現世に呼び出されたまでだ。ここで消えてもあの園へ帰るだけだからな」
そう鼻で笑い、この世界の終わりは自分がみとどけてやると傲慢な態度をとる。
本来の史実ではそのような人物ではなかったはずだが、やはりそこは、優のイメージが大きく出ていたのだろう。
彼を生み出した小鳥遊優は、自身が魔王となる上で、王というもののイメージをこの王に無意識的に植え付けていた。
その自身を傲慢であるとしばりつける要素が和らぎ、本来の自分を出すことができるようになったにも関わらず、王はその傲慢な態度を崩そうとはしなかった。
「今ここにいるのは本来の私ではないからな
。過去のように振る舞う必要も無いと考えたまでだ」
「あなたがそんなことを言うなんて、面白いわね。消えかけだから昔のあなたに戻ってるんじゃない?」
「ハハ、そうかもしれないな」
思念体達も自身の消滅を知覚し、その場で魔力の結晶となって消えて行く。
こうして2周目からの来訪者たちの力によって、最後の安全地帯、日本は無事に確保された。
こうして3周目の話は終焉へと近づいていく。
その姿はさながら大型の動物を小型動物の群れが喰らっているような、獰猛で残酷な印象を見たものに植え付けただろう。
ぐちぐちと快音を響かせて中の巨人を貪る闇の姿は、もはやそれが本来の異形の闇などではないのだということすらも忘れさせる。
見たものの全身を恐怖という感情の鎖でその場にはりつけた光景はしかし、そのはりつけられた人間達全員を救うために戦うものの光景であったということに気づくものは居ないだろう。
「全く、相変わらずそんな役回りだわ」
「どちらにしても中身だけ移動してきたこっちの体じゃ、そろそろ俺達は持たないかもだね」
「ええ、そうね。グランフェイタスの言っていた、3周目の英雄にあとは任せるしかない」
「それにしても、本当にこんな世界があったのなら、私こっちで生きたかったかもしれないわ」
「……」
「まぁ、今更そんなことを言ってもどうしようもならないしね、さて、最後の英雄くんへの手向けを用意しなくちゃ」
「ああ、悪い」
「別にあなたが謝ることじゃないわよ。本当の私は死んでるんだからあれよ、いい事する幽霊もいたってことよね。『近江國の生靈、京に來たりて人を殺す語』なんて怖い話があるけれど、私はあれよ、死んででも尚世界を救うために頑張った善良な幽霊ってやつよ。あ、この話の幽霊は生霊だけどね」
「……お前らしいな、あんなことがあっても」
「もうほんと、なんとか自分たちの世界救っていざ元の世界に帰りましたってところで世界終わってるとか、お話にならないわよ」
「あれが予知夢でよかったって今でも思ってるよ。グランフェイタスには感謝だな」
他愛ない2周目での話を繰り広げる2人。そんなふたりの体は徐々に光を帯び始めて透けていく。
「……さて、そろそろ時間ね」
「一宮君は間に合わなかったか」
「仕方ないわよ、あいつはあいつでどこかで上手くやってるわ。さぁ、黒剣、最後に一発かましてやりなさいよ。この世界に一瞬でも私たちが生きた証を」
「あぁ、分かってる」
消え掛けの両手を中に掲げ、優はその場に2本の剣を生成する。
「黒剣、白剣。銘を刻んでこのままロキに刺してとどめる。エルピスの力が弱まってる今ならおそらく英雄くんはしっかりやってくれるさ」
そう言うと、優は安里の手を握り、宙空を階段を上るようにして昇っていく。
「さぁ、理不尽なループは今回で終わりだ。新しい世界でまた会おう」
「必ず会えるだなんて確証なんてないわよっていつもの私なら言ってたかもね……でも、何だか今回ばかりは最初から、あなたの言うことを信じられる気がするわ」
笑顔で天に向かっていく2人の姿は光の柱となり、その位置をバルトラ陣営、そしてエイジに知らせる。
曇天を割く柱は、その後も長くその場に留まり続けた。
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「ご主人、行くわよっ!」
シルティスが扉を勢いよく開け放って上着を着直しながらこちらへ走ってきた。
つい先程、宙に現れた巨大な人型の化け物が、まるでヘドロのようなものに食われ、その場所に光の柱が現れるという不思議現象が怒って唖然としていた所だった。
あれが現れてシルティスが行くと声をかけてくるということは、あれが城の魔王という人物が何かをしたということだろう。
ちゃんとロキを抑えてくれていればいいのだけれど。
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「ハッ、もうケリをつけたか」
アーサー・ペンドラゴンはエクスカリバーを薙いで各地の蛇を駆逐し終えたところで、自身を構成する魔力が弱まりつつあることに気づいた。
「これで私達がこの時代に意思を持つことは最後になるわよ」
2周目の世界に小鳥遊優が現れるという条件を満たしていなければ彼らは現世に現れることは無い。
へスティアは暗にアーサーにそう伝えたかったのだろう。しかし、アーサーはそのようなこと一切気にする素振りなど見せなかった。
「もとよりアヴァロンにいたところを現世に呼び出されたまでだ。ここで消えてもあの園へ帰るだけだからな」
そう鼻で笑い、この世界の終わりは自分がみとどけてやると傲慢な態度をとる。
本来の史実ではそのような人物ではなかったはずだが、やはりそこは、優のイメージが大きく出ていたのだろう。
彼を生み出した小鳥遊優は、自身が魔王となる上で、王というもののイメージをこの王に無意識的に植え付けていた。
その自身を傲慢であるとしばりつける要素が和らぎ、本来の自分を出すことができるようになったにも関わらず、王はその傲慢な態度を崩そうとはしなかった。
「今ここにいるのは本来の私ではないからな
。過去のように振る舞う必要も無いと考えたまでだ」
「あなたがそんなことを言うなんて、面白いわね。消えかけだから昔のあなたに戻ってるんじゃない?」
「ハハ、そうかもしれないな」
思念体達も自身の消滅を知覚し、その場で魔力の結晶となって消えて行く。
こうして2周目からの来訪者たちの力によって、最後の安全地帯、日本は無事に確保された。
こうして3周目の話は終焉へと近づいていく。
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