Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜
モンスタートラップが必死すぎませんか?
目覚めたあとも精力的に下降を続け、ついに50層に到着!
いやぁ、長かった。ここまでくるのに丸2時間。
そりゃあもう通路を埋め尽くすくらいの量の蟻やら蜘蛛やらの魔物がうようよと湧いてくる。
蟻娘や蜘蛛娘だったら割と許容範囲かとも思ったが、あれも2次元が生んだ平面の産物であって、3次元に現れて汚してしまうようなことはあってはならない。
ヤン兄の言葉を借りるなら「お前死刑」だ。
虫と人間のハーフ的な魔物が出てきたら、出会い頭に命を刈り取ってあげよう。今までは殴って爆裂四散させてたけど、流石にそろそろ数が多くて飛沫を避けきれないので、剣で遠距離戦します。はい、飛ぶ斬撃てす。
ここに来る前に、洞窟の47層の奥にあった隠し部屋で見つけたミスリルとアダマンタイト、オリハルコンを使いやすいサイズに殴って加工し、状況対応の鍛冶能力で剣を二本作る。
シルティスによると、アダマンタイトとオリハルコンの硬さはあまり変わらないようなので、三つの金属を使って上手いこと格好のいい剣を作ってみる。
片方の剣は鍔がオリハルコンで刃がアダマンタイト、もう片方の剣は鍔がアダマンタイト、刃がオリハルコンと、赤(アダマンタイト)と黄金(オリハルコン)という色の誇張の激しい剣になった。
因みに柄はミスリルの白銀色です。曇りひとつなくて綺麗だね、我ながら惚れ惚れするわ。こんな事態になってなければ、現世ではフィギュア職人になれてたかもしれない。
「ご主人、せっかく剣作ったんだから銘を付けてあげないと」
「それ付けなきゃいけない?」
「つけた方が愛着が湧くでしょ?」
「そうか……じゃあ、アダマンタイトの剣は『紅羽(アカバ)』、オリハルコンの剣は『黄羽(オウバ)』で」
適当につけた名前じゃあないよ? 嫁たちの中で、剣の色に髪色が似てた娘の名前をピックアップしてつけました。はい、そこ気持ち悪いとか言わない……
自分で作った嫁と一緒に戦うって、胸アツ展開? ……嫁振り回してる時点でそれはないか。いや、俺に振り回される嫁ってのもありか? ……何言ってんだろう。
ミスリルで作った鞘にそれぞれの剣の銘を刻んでおく。
「さぁ、手頃な武器も手に入れたことだし、ダンジョン攻略再開しますか」
そうして俺たちはさらに真相へと潜っていくのだった。
◇◇◇
……なんだよ、この明らかに怪しい扉。よくあるやつだよね、あれだよね、一度入ったら出られないトラップだよね……でもね、52層で行ってない部屋がここしかなくて、なおかつ下の層に下る階段がないんだよ……
「うわぁ、やだなぁ、これめんどくさいやつじゃん……」
「まぁ、このダンジョンの最下層に行く階段はここしかなさそうね」
と考えると、としかしたらただの階段部屋だっていう説もあるかもしれない。てか、53層まであるって分かってんだったら、何故この場所のことを教えなかったんだよ、あいつら。
「仕方ない、入るか……」
まぁ、なんだかんだで剣を使ってサクサク攻略が出来ていたので、何かあってもひとまずは大丈夫だろう。
「しっかし、ご主人、あの我流剣技でよくあそこまで戦えたと思うわ」
「うるせぇ、余計なお世話だよ無能元魔王」
「むっきー、腹立つわー。ご主人のこと殴れないのが痛いわー、攻撃できないの辛いわー」
シルティスの何様発言に反論しながら扉を押し開く。
「お、案外中は大丈夫そうだな」
「え、ご主人、そのネタはなんだか寒いわ」
――うん。だって、いつもより雑魚が少し多いだけ――
「そいっ!」
気の抜けた声で左手の『紅羽(アカバ)』を振り、斬撃を飛ばして部屋の中にいる魔物達を蹂躙する。
「……うわぁ、相変わらずえぐいわぁ」
俺の放った残激で全滅した魔物達を見て、ドン引いた顔でこちらを見るシルティス。
「あんなしょぼい一撃にみんなやられてしまうとは……」
「……ちょっと君1発食らってみるかい?」
「結構です、そんな怖い事言わないでくださいっ、ご主人様っ♡」
急にかわいこぶっても今更遅いからな。てか、お前70オーバーのBBAやんけ。
「あ、ご主人、前前」
ぶりっ子モードが唐突に終わったシルティスが指を指した方向に、再び大量の魔物達が出現している。
てか、この部屋のどこにも階段なくね?
うわぁ、どこかに隠し階段があって外れ引いたやつかな?
扉壊して出たいところだけど、こいつらに追われたら困るし。この部屋のスポーン機能を一時的に失わせるくらいに魔物達をズタボロにしてから出ますかね。
「シルティス、働かざるもの食うべからずだからな?」
「えぇ!? あの美味しいパンが食べられないのは……」
でしょうね、辛いですよね、だってあなた僕の分のパンいつも全部食べちゃうもんね。元々三人分しかなかったのを俺が分けて与えて、ちゃんと自分の分が確保されてるのに。毎度毎度俺にスープだけ回してくる罰です。ここは一人で戦ってください? 危なくなったら変わってやろう。
◇◇◇
「はぁ、もうむり、おっきいの使いすぎて魔力が尽きちゃったわ……」
あれから3時間、2分おきに数百体規模でスポーンし続ける蟻さん。まぁ、そら魔力尽きるよね。喋る言葉も拙くなってきている。使ってる魔力量、魔王として戦ってた時より多かったりして。
「魔王時代は……えりくさー、たくさん持ってたから、なんとかなったけど……」
あぁ、そういう……ちょっと幻滅。魔王っていうくらいだから、圧倒的魔力量で敵を痛めつけるみたいな奴らかと思ってたけど、結局道具に頼ってんのかよ。
「ごしゅじん、たしゅけてぇ……」
蟻たちに全身をくまなく溶かされそうになっているシルティス。しかし、圧倒的体力、防御力と快復力のために、服だけが溶け落ちていく。
「ごーしゅーじーんーっ、はあくたしゅけてぇ……」
「え、でもそれ痛くないよね?」
麻痺されたのか、先程よりも言葉が拙くなっている。……仕方ない、そろそろ潮時か。
「せいっ」
両手の剣を振り、魔物達をいっせいに消し炭にする。シルティスにも多少当たったが、軽く振っただけなので大した怪我にはならないだろう。
そろそろ、モンスタートラップが終わって欲しいんだけどなぁ。
そう思いながら3時間ほど剣を振っていると、トラップ部屋にやっとモンスターがわかなくなった。
部屋の端には怪しげな宝箱がひとつ。そしてまさかの階段はどこにもないようだ。
槍で大穴開けた時に分かったことだが、ダンジョンの壁はすぐに再生してしまう。ので、少しでも帰りの道順を覚えておかないと、ということで今は正規ルートを辿っているのだ。
それにしても未開封の宝箱があるってことは、ここが未攻略部屋で階段部屋じゃなかったことを意味指すのでは無いだろうか。
「せめて、これだけ長時間労働させたんだ、リアル人間に放置ゲーの主人公させたんだからそれなりの報酬はあるよね!?」
まぁ、長時間労働したのは実質俺じゃなくてシルティスで、俺はただ腕をブンブンと振っていただけなのだが。
そんなこんなで、内心かなり焦り気味で宝箱を開ける。時間は有限だ。結果がついてこない限りそれは全て損になる。
『【風鎧グリファス】
装着者の全ステータス3倍
相手に察知されなくなる
全ての風魔法の使用方法が脳内に強制インプットされる』
……報われました。なんか強そうなの手に入ったしいいでしょ。おけおけ。
結局チート装備が手に入るイベントだったのか、と思うのと同時に、なぜここが初心者ダンジョンに指定されているのかが疑問に思えてきた。あのトラップに入ると、俺みたいな能力持ってない限りみんな死んでしまう気がする。
そう思い、部屋の外に出る。
「……あ」
部屋の扉の丁度右側に、黒地の王国紋の刻まれた看板に赤字で『この先立ち入るべからず オルセイヌ』と記入されている。
……いや、わからんだろ、普通。こんな見にくい場所にこんなふうに置いとくなよオルセイヌさんよォ。
結局、いつ現れたのかわからない、新しく上の階層に行くための階段で51層の隠し部屋に行くと、53層直通の通路があって、こちらの注意不足の度合いが酷すぎることを改めて明確にしてしまった。
……何も無かったことにして静かに俺達は階段を下っていくのだった。
いやぁ、長かった。ここまでくるのに丸2時間。
そりゃあもう通路を埋め尽くすくらいの量の蟻やら蜘蛛やらの魔物がうようよと湧いてくる。
蟻娘や蜘蛛娘だったら割と許容範囲かとも思ったが、あれも2次元が生んだ平面の産物であって、3次元に現れて汚してしまうようなことはあってはならない。
ヤン兄の言葉を借りるなら「お前死刑」だ。
虫と人間のハーフ的な魔物が出てきたら、出会い頭に命を刈り取ってあげよう。今までは殴って爆裂四散させてたけど、流石にそろそろ数が多くて飛沫を避けきれないので、剣で遠距離戦します。はい、飛ぶ斬撃てす。
ここに来る前に、洞窟の47層の奥にあった隠し部屋で見つけたミスリルとアダマンタイト、オリハルコンを使いやすいサイズに殴って加工し、状況対応の鍛冶能力で剣を二本作る。
シルティスによると、アダマンタイトとオリハルコンの硬さはあまり変わらないようなので、三つの金属を使って上手いこと格好のいい剣を作ってみる。
片方の剣は鍔がオリハルコンで刃がアダマンタイト、もう片方の剣は鍔がアダマンタイト、刃がオリハルコンと、赤(アダマンタイト)と黄金(オリハルコン)という色の誇張の激しい剣になった。
因みに柄はミスリルの白銀色です。曇りひとつなくて綺麗だね、我ながら惚れ惚れするわ。こんな事態になってなければ、現世ではフィギュア職人になれてたかもしれない。
「ご主人、せっかく剣作ったんだから銘を付けてあげないと」
「それ付けなきゃいけない?」
「つけた方が愛着が湧くでしょ?」
「そうか……じゃあ、アダマンタイトの剣は『紅羽(アカバ)』、オリハルコンの剣は『黄羽(オウバ)』で」
適当につけた名前じゃあないよ? 嫁たちの中で、剣の色に髪色が似てた娘の名前をピックアップしてつけました。はい、そこ気持ち悪いとか言わない……
自分で作った嫁と一緒に戦うって、胸アツ展開? ……嫁振り回してる時点でそれはないか。いや、俺に振り回される嫁ってのもありか? ……何言ってんだろう。
ミスリルで作った鞘にそれぞれの剣の銘を刻んでおく。
「さぁ、手頃な武器も手に入れたことだし、ダンジョン攻略再開しますか」
そうして俺たちはさらに真相へと潜っていくのだった。
◇◇◇
……なんだよ、この明らかに怪しい扉。よくあるやつだよね、あれだよね、一度入ったら出られないトラップだよね……でもね、52層で行ってない部屋がここしかなくて、なおかつ下の層に下る階段がないんだよ……
「うわぁ、やだなぁ、これめんどくさいやつじゃん……」
「まぁ、このダンジョンの最下層に行く階段はここしかなさそうね」
と考えると、としかしたらただの階段部屋だっていう説もあるかもしれない。てか、53層まであるって分かってんだったら、何故この場所のことを教えなかったんだよ、あいつら。
「仕方ない、入るか……」
まぁ、なんだかんだで剣を使ってサクサク攻略が出来ていたので、何かあってもひとまずは大丈夫だろう。
「しっかし、ご主人、あの我流剣技でよくあそこまで戦えたと思うわ」
「うるせぇ、余計なお世話だよ無能元魔王」
「むっきー、腹立つわー。ご主人のこと殴れないのが痛いわー、攻撃できないの辛いわー」
シルティスの何様発言に反論しながら扉を押し開く。
「お、案外中は大丈夫そうだな」
「え、ご主人、そのネタはなんだか寒いわ」
――うん。だって、いつもより雑魚が少し多いだけ――
「そいっ!」
気の抜けた声で左手の『紅羽(アカバ)』を振り、斬撃を飛ばして部屋の中にいる魔物達を蹂躙する。
「……うわぁ、相変わらずえぐいわぁ」
俺の放った残激で全滅した魔物達を見て、ドン引いた顔でこちらを見るシルティス。
「あんなしょぼい一撃にみんなやられてしまうとは……」
「……ちょっと君1発食らってみるかい?」
「結構です、そんな怖い事言わないでくださいっ、ご主人様っ♡」
急にかわいこぶっても今更遅いからな。てか、お前70オーバーのBBAやんけ。
「あ、ご主人、前前」
ぶりっ子モードが唐突に終わったシルティスが指を指した方向に、再び大量の魔物達が出現している。
てか、この部屋のどこにも階段なくね?
うわぁ、どこかに隠し階段があって外れ引いたやつかな?
扉壊して出たいところだけど、こいつらに追われたら困るし。この部屋のスポーン機能を一時的に失わせるくらいに魔物達をズタボロにしてから出ますかね。
「シルティス、働かざるもの食うべからずだからな?」
「えぇ!? あの美味しいパンが食べられないのは……」
でしょうね、辛いですよね、だってあなた僕の分のパンいつも全部食べちゃうもんね。元々三人分しかなかったのを俺が分けて与えて、ちゃんと自分の分が確保されてるのに。毎度毎度俺にスープだけ回してくる罰です。ここは一人で戦ってください? 危なくなったら変わってやろう。
◇◇◇
「はぁ、もうむり、おっきいの使いすぎて魔力が尽きちゃったわ……」
あれから3時間、2分おきに数百体規模でスポーンし続ける蟻さん。まぁ、そら魔力尽きるよね。喋る言葉も拙くなってきている。使ってる魔力量、魔王として戦ってた時より多かったりして。
「魔王時代は……えりくさー、たくさん持ってたから、なんとかなったけど……」
あぁ、そういう……ちょっと幻滅。魔王っていうくらいだから、圧倒的魔力量で敵を痛めつけるみたいな奴らかと思ってたけど、結局道具に頼ってんのかよ。
「ごしゅじん、たしゅけてぇ……」
蟻たちに全身をくまなく溶かされそうになっているシルティス。しかし、圧倒的体力、防御力と快復力のために、服だけが溶け落ちていく。
「ごーしゅーじーんーっ、はあくたしゅけてぇ……」
「え、でもそれ痛くないよね?」
麻痺されたのか、先程よりも言葉が拙くなっている。……仕方ない、そろそろ潮時か。
「せいっ」
両手の剣を振り、魔物達をいっせいに消し炭にする。シルティスにも多少当たったが、軽く振っただけなので大した怪我にはならないだろう。
そろそろ、モンスタートラップが終わって欲しいんだけどなぁ。
そう思いながら3時間ほど剣を振っていると、トラップ部屋にやっとモンスターがわかなくなった。
部屋の端には怪しげな宝箱がひとつ。そしてまさかの階段はどこにもないようだ。
槍で大穴開けた時に分かったことだが、ダンジョンの壁はすぐに再生してしまう。ので、少しでも帰りの道順を覚えておかないと、ということで今は正規ルートを辿っているのだ。
それにしても未開封の宝箱があるってことは、ここが未攻略部屋で階段部屋じゃなかったことを意味指すのでは無いだろうか。
「せめて、これだけ長時間労働させたんだ、リアル人間に放置ゲーの主人公させたんだからそれなりの報酬はあるよね!?」
まぁ、長時間労働したのは実質俺じゃなくてシルティスで、俺はただ腕をブンブンと振っていただけなのだが。
そんなこんなで、内心かなり焦り気味で宝箱を開ける。時間は有限だ。結果がついてこない限りそれは全て損になる。
『【風鎧グリファス】
装着者の全ステータス3倍
相手に察知されなくなる
全ての風魔法の使用方法が脳内に強制インプットされる』
……報われました。なんか強そうなの手に入ったしいいでしょ。おけおけ。
結局チート装備が手に入るイベントだったのか、と思うのと同時に、なぜここが初心者ダンジョンに指定されているのかが疑問に思えてきた。あのトラップに入ると、俺みたいな能力持ってない限りみんな死んでしまう気がする。
そう思い、部屋の外に出る。
「……あ」
部屋の扉の丁度右側に、黒地の王国紋の刻まれた看板に赤字で『この先立ち入るべからず オルセイヌ』と記入されている。
……いや、わからんだろ、普通。こんな見にくい場所にこんなふうに置いとくなよオルセイヌさんよォ。
結局、いつ現れたのかわからない、新しく上の階層に行くための階段で51層の隠し部屋に行くと、53層直通の通路があって、こちらの注意不足の度合いが酷すぎることを改めて明確にしてしまった。
……何も無かったことにして静かに俺達は階段を下っていくのだった。
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