Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~
魔王討伐作戦(3)
――魔王城を中腹に見据えてすでにアルセス辺境伯領の魔法師達は、いつでも炎系の魔法が放てるように隊列を組んでいる。
その数は400――。
それ以外に、アルセス辺境伯領の騎士団が200人。
歩兵として、1000人ほど。
400人ほど人数が少ないが、300人は、本陣の守りを行っている。
――そして。
アルセス辺境伯と俺とリンデールの3人は、これからのことについて話し合いをしていた。
魔王城が見える場所――、森の外の河原から少し離れた場所の本陣では、天幕の外に大きなテーブルを移動し――、テーブルの上に置かれている地図を俺達は見据えていた。
「アリサは王都に報告に行けたのでしょうか……」
「報告は来ていないのう。それに転移系魔法の為には膨大な魔力が必要になる。早くとも今日――、戻るかどうかだろうな」
リンデールとアルセス辺境伯の話を横で聞きながら、俺は無理矢理に近い形で避難させたフィーナのことを思い出していた。
――彼女は、残ると言った。
理由は、俺を守る為だと――。
だが――、俺は守られるほど立派な人間などではない。
死ぬ度に何度も時間を行き来して身勝手に振る舞ってきたことも、フィーナを騙して結果的に見殺しにしてしまった事だってある。
そんな俺が、彼女に守ってもらうなど都合が良すぎる。
だから、無理にでも彼女をアルセス辺境伯領の主都でもあるアルセイドまで避難させるように手筈を整えた。
それは睡眠薬に近い物を飲ませること。
だから、彼女は寝ていることだろう。
そして目が覚めた頃には全てが終わっている。
「アルス、どうかしたのか?」
「――いえ」
「それよりもアドリアンが戦線離脱したのは……」
「仕方ないだろう? ライラを連れていけるのはアドリアンくらいなものだからな」
そのアルセス辺境伯の言葉には俺も納得だ。
俺が最後まで残って戦うと言ったら、母親は猛反対してきたから。
話をしている時に、本陣の中央に巨大な魔法陣が出現する。
それは五芒星を複数重ねたような物で――、色は緑色。
「これは……、大型の転移魔法陣!?」
リンデールの言葉と同時に周囲に光が満ちていき――、目が開けられなくなる。
ようやく目が開けられたところで、100人を超える白い甲冑と盾を持った騎士団の一員が姿を現した。
「リメイラール教会の聖騎士部隊が――、何故……、ここに……」
リンデールが戸惑いの声を上げている。
そして、アルセス辺境伯はと言うと、眉間に皺を寄せて――、一緒に同行してきたであろうアリサへと視線を向けた。
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