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リアフィス

09

「お姉ちゃん午後の予定は?」
「当分は組合の依頼しつつスキルレベル上げかな?」
「あー、カタコンベいたもんね」
「うん、ゾンビだけじゃ上がるスキル偏るからね」
「何上げるの?」
「んー……戦闘系全体的に?」
「お姉ちゃん片手剣だったっけ?」
「いや、細剣。後は《光魔法》と《闇魔法》だね」
「あれ細剣だったのか……《光魔法》も取ったんだね」
「使えないのかと思ったけど、初期スキルにあったから」
「あー……あれ不思議なんだよねー」

なんでも悪魔系は光取れないけど、アンデッドは取れる。
ただアンデッド自体が知力が低いっぽいので、魔法はいまいち。ゾンビとかMP無かったもんね。あえて使うならゴースト系が良いらしいとか。
アンデッドは闇を種族スキルで取れる。他は初期スキルにあるけど、ポイントを使用して取ろうとすると、光ではなく他の4属性が消費高いらしい。何で光じゃなくて、他の4属性が? という不思議があるようだ。
悪魔系は種族スキルで最初から闇を持ってるようで、光はそもそも取得不可。他の4属性は平均の3ポイントで取得可能だとか。

この謎、なんか神々が関係ありそう。光と闇を司るとか言ってたステルーラ様。
まあ雑学程度だし、本読んで分かった時に知らなければ教えましょう。

「悪魔がいるなら天使もいるんじゃないかって、一部躍起になってるらしいよ」
「あー、天使ね。最終形態はセラフ?」
「だろうねぇ……第九位から第一位まで10レベ毎に進化かな?」
「問題はなり方が分からないと」
「うん」
「まあ、ゾンビちゃんの私には天敵でしか無いかな……」
「まあ……うん。そう言えばお姉ちゃん《光魔法》気をつけてね?」
「4倍だし気をつけるけど……」
「ああいや、自分で使う時も」
「へ?」
「【ライトバースト】って言う自分を中心として、恐らく円形に攻撃する魔法。あれ、アンデッドが使うと自分も食らうらしいよ……」
「まじですか……」

……自分の火力を耐えられる気がしませんね。
魔法防御が高めの装備とは言え、4倍は無理でしょう?

「どこで狩りしてるの?」
「東の森」
「え、ソロだよね?」
「勿論。街に着いたの昨日の夜だしまだフレンドいないよ」
「……順調?」
「効率としては……微妙? 敵が少なすぎるかな。ベア倒して討伐依頼終わったら数が多いらしい南でも行こうかな?」
「倒すのに問題はないんだ……」
「多少動くハイゾンビぐらいだし? リビングデッドの方が厄介かな」
「リビングデッド倒せてる方が驚きだからね?」
「武器の先端に【ライトボール】用意して、そのまま背後から突き刺すだけで倒せるんだよね」
「あー……光4倍と不意打ちボーナスか……」

戦法が嵌りすぎた例でしょう。
ただし育つスキルは《刀剣》と《光魔法》だけです。
何よりカタコンベ生活が長かったので、しばらくは避けたいところ。
あそこは種族経験値稼ぎ用です。楽しさを求める場所ではありません。

ああ、そうでした。
一応重要といえば重要なので妹には伝えておきましょうか。

「そう言えば組合の人から聞いたけど、態度悪い人がいるって?」
「ん? ああー……いるねぇ……」
「出禁にしようかって話が出てるみたいよ?」
「え、出入り禁止?」
「うん、出入り禁止。店の扉って基本魔道具なんだって。出禁くらうと入れなくなるし、強制的に追い出されるらしいよ」
「NPCの店からまさかの出禁……」
「今までのゲームと同じって決めてかかった人が悪いね。あそこまで普通に会話できるのだから、公式に書いてある通り人として扱わないとね」
「ふむぅ……」
「ちなみに出禁にすることを進めておいた。元々あの街でやってきた店だし、本来いなかった異人を出禁にしたところで問題は無いのでしょう」
「確かにそうだね。自業自得か。でも……規模によっては異人自体の出禁があり得るってことかな……掲示板案件かなぁ?」
「おバカが出禁くらうのはリアルでもあることだから、別に良いんじゃない?」
「知り合いに言っとくぐらいでいいかな……」

と言うか、我慢の限界で『異人』全体を出禁にされる方が困ります。そこまで行く前にさっさと迷惑な個人だけ出禁にしてもらった方がありがたい。
対応を決めたところで、食器を片付け2人してゲームに。


ログインすると東の森のセーフティーエリア。
秋菜からセーフティーエリアより奥に行くと、そこそこポップ数が増えると言う情報を貰ったので、増え方次第ではこもりましょうかね?
少なければ、南?
東の素材が一番高いですし、始まりの街周辺ではここが一番高レベルですから、できればここで稼ぎたいですね。

〈特定の条件を満たしたため、『称号:静謐なお姫様』を取得しました〉
〈特定の条件を満たしたため、『称号:優雅なお姫様』を取得しました〉
〈『称号:静謐なお姫様』と『称号:優雅なお姫様』が統合されます〉

おや?

静謐なお姫様
  物静かなお姫様に与えられる称号。
  他者に与える印象が良くなる。
優雅なお姫様
  優雅なお姫様に与えられる称号。
  王侯貴族に与える印象が良くなるが、平民達には警戒される事がある。
優雅で静謐なお姫様
  優雅かつ、物静かなお姫様に与えられる称号。
  他者に与える印象がとても良くなり、警戒もされづらい。

なるほど、そういうタイプの効果ですか。
NPCの好感度が上がりやすいとかでしょうね。

静謐の取得条件は……3日間、全ての行動において一定以上の音を出さない。
優雅の取得条件が……3日間、常に姿勢を維持しつつ、一切走らない。
統合先は純粋に纏まり、効果が上がった感じ。

3日間は現実の累計ログイン時間ですか。でなければもっと早かったでしょうし。
という事はプレイ時間が72時間行ったのですね。むむ……結構やってますね?
まあ、日常に支障は出ていませんし問題はありませんか。
しかしあれですね? 累計時間3日はともかくとして、走るなって相当鬼畜難易度ですね? 私は正直ゾンビの時は『走れない』が正解ですし、ドレスでバタバタ走るのもあれですから……って相当レアな状況ですからねぇ……。


まあ、次行きましょうか。
セーフティーエリアを出て更に森の奥地へと向かいます。
《感知》で探りつつ、目に入った素材を採取しながら動き回る。


ブラウンベア Lv17 アクティブ
  縄張りに入った敵に容赦はしない。
  死んだふりしても食われるだけなのでやめよう。
  属性:― 弱点:― 耐性:―
  属:動物 科:ベア
  状態:正常


いました。やっといましたよ。
……食われるんですね。まあ、新鮮な肉が落ちてたら食べますか。
秋菜によると熊さんは森の奥しか出ないようです。
弱点は……生物お決まりと言って良い首と胸……それと手足ですね。

お決まりのように魔法で先制しましょう。
闇をもう少し上げたいので【ダークボール】ですね。

「グルァアアア!」

魔法が当たった熊さんは器用に二本足で立ち上がり、こっちに吠えました。
デフォルメされている訳じゃなく、リアルな熊なので中々の迫力です。

って危ない……。
四足で猛ダッシュしてきた熊は飛びかかりつつ右腕を振ってきました。
攻撃的に正面から受けるしか無く、割りと大きな音と共にズサーっとノックバック。
防御越しに抜かれたのはリビングデッド以来ですか。かなり攻撃的ですね?

地を滑った私に追撃のため寄って来た熊さんの右腕を逸し、斬りつけて終了です。


〈《防御》がレベル10になりました。スキルポイントを『1』入手〉
〈《防御》のアーツ【ディフェンスセンス】を取得しました〉
〈《受け流し》がレベル10になりました。スキルポイントを『1』入手〉
〈《受け流し》のアーツ【パリィセンス】を取得しました〉


解体ナイフを突き刺し、ドロップ品のチェック。


[食材] ブラウンベアの肉 レア:No 品質:C
  褐色熊の肉。
  それなりのご馳走とされている肉。鍋にされる事が多い。


熊鍋ですかね? 今度はお肉3個です。敵のサイズで決まっているのか、敵のサイズでドロップ幅が決まっているのか……まあ、数倒せば分かりますか。

それにしても、あの飛びかかりは中々の攻撃力でしたね。
魔法で釣らず、最初から近接戦闘した方がもしかしたら楽なのでは?
削られるのは1割無いぐらいなのですぐ回復はするんですけど。

えっと、覚えたアーツは……防御と受け流しをしやすくなるパッシブアーツですか。
つまり補正を入れるスキルでしょうかね。

しかし、防御した時にだいぶ大きな音が出ました。
先に称号が手に入っておいて良かったですね。
具体的にはどのぐらいの音なんでしょうね? ここ2週間ゲーム内ではNPCと……秋菜とWhisささやきしたぐらいですか。他は喋っていませんね。
戦闘もゾンビちゃん達とこの剣で斬るぐらい。
うん、確かにだいぶ静かですね。そもそも周りに人がいる環境ではなかったですし。
お姫様に関しては種族の影響でしょうから、特に言うこともありませんね。

おや、《感知》に反応が。
狩りの続きと行きますか。


〈種族レベルが上がりました〉
〈《闇魔法》がレベル10になりました。スキルポイントを『1』入手〉
〈《闇魔法》の【ダークアロー】を取得しました〉

うん。
ベアも3体倒せましたので、報告に一度戻りましょうか。
お肉に関してはサイズでドロップ幅が決まっている……と言うのが有力な気がします。兎さんや狼は1個固定でしたからね。
奥の方は確かに敵の数が多めでした。これなら冒険者組合と往復するのも良いかもしれませんが……手間なのも確かですね。私移動速度は遅いですし。
まあ、一度帰りましょう。



アーツの無いスキルは通知を切ってしまいましたが、じわじわ上がっているようで何よりです。そろそろ生産スキルにも触れてみたいところですね……。

さて、漸く街まで戻ってきましたか。やっぱり移動がネックですかね。
馬車を見たので買うことも考えるべきでしょうか?
それとも馬だけを買って……《乗馬》スキルあるんですかね? むしろ無い訳がありませんか。馬のプレイヤーもいると秋菜も言ってましたし。
この序盤で馬を手に入れるのは流石に無理そうですかね。
と言うか、今所持金1000でしたね。まず無理です。

まあとりあえず街に…………ん?
うわ……あ、あれは……ゾンビと並ぶ不人気の一角……。

セクシーダイコンじゃないですか!

……兎さんに齧られてますね。
ゾンビよりあちらの方が辛そうですね? 周囲にいる敵的な意味でですが。
まあ、見た目的な……精神的な意味ではこちらの方があれなのでしょうが……。
ちなみにセクシーダイコンの見た目はまんまダイコンです。
先が2つに裂け足になり、手のような小さい突起も2つあるダイコンです。一応頭に値する部分は葉っぱが付いてますね。
ほんと、動くダイコンです。シュールですね……嫌いではありませんよあれ。
実はゾンビとあちら、どちらにするか迷いましたからね。

あれは種族スキルの《木魔法》でしょうか。
自分が齧られる事で動きの止まった兎さんに植物が絡みつき動きを止め、短い足で蹴り続けると言う見てる分には楽しい方法で倒していました。
セクシーダイコン相手だと兎のAIが変わるようですね。体当たりではなく、皆齧りに行ってます。逃げることもなく齧る一択ですか。……見た目ダイコンですからね。
ニンジンである必要は無さそうです。

《木魔法》と齧られる事で減ったHPとMPは、種族スキルの《光合成》でお日様に当たっている間自動回復しますから、我々の逆みたいな種族ですね。

特に手を貸す必要は無さそうなので、自分の事を済ませましょうか。
わざわざ人外を選んでいるのです、ああいう時間も楽しいでしょうからね。
一応数少ない人外同士、縁があれば話すこともあるでしょう。


さて、私も街に付いたばかりなのでやりたいことが沢山あるのです。
とりあえず戦ってて地味に思ったのは、この長さの髪は動くには少々邪魔です。リボンで先の方を縛りましょう。ヘアゴムなんて無さそうですし。
雑貨屋にありますかね?

後は冒険者組合に報告と、ドロップ品の処理ですが……これが問題ですね。
組合で他の素材より倍以上していましたが、元の値段を知りませんし……プレイヤー同士の取引の方が高く売れると言うのがお決まりでしょう。
問題は売る相手がいないこと。
露店でもしましょうか? 露店しながら生産に触れてみるのもありですが……。

まあ、とりあえずリボンを買いましょう。話はそれからです。
流石にリボンで1000は超えないでしょう。


「こんにちは」
「おや、あんたかい」
「髪を結える物、なにかありませんか?」
「ふむ……リボンかかんざしぐらいかねぇ?」
「簪があるのですか……まあ、リボンで構いません」
「50だよ。色を選びな」
「紺を2本下さい」
「あいよ」

お婆ちゃんのお店を出て、大通りへと戻ります。
次に近いのは組合ですね。報告に行きましょう。
冒険者組合が見えて来た頃、入り口から見覚えのある人物が出てきました。
あ、思いっきりこっち2度見しましたね。
革の鎧にハルバードを背負う、青みがかった銀髪の子。
まあ、妹なのですが。

「お姉ちゃんだー!」

……早いね。敏捷か。
軽く叫びつつ、真っ直ぐ突っ込んできた秋菜を受け止めます。
ギュムっと抱きついてきて、ポフッと顔を谷間に埋めてくるのはいつもの事。

「はー堪らん!」
「突っ込んだまま喋らないで」
「お姉ちゃん微妙に冷たいね……」
「そうみたい。微妙に暖かく感じる」

まあ不死者ですから、体温は低いのでしょう。完全に冷え冷えよりはマシ?
魔法的な物で動いてるとしたら体温を持つ理由がないですからねぇ……。

「丁度いい所に。髪結んでくれる?」
「いいよー。どこで結ぶ?」
「膝辺りかな?」

妹に1本渡して髪を結んで貰った。

「むむむ……この剣かっこいい……」
「でしょう?」
「でもPK気をつけてね? 推奨されてないとは言え、物好きはいるから」
「されてもこの装備私専用だから、落ちることはないけどね」
「あ、そうなんだ」
「うん、装備狙いなら完全に無駄だね。ところで、皮素材買い取ってくれる生産職に心当たり無い?」
「ああ、元々紹介するつもりだったから今から行く?」
「討伐依頼の報告してきて良い?」
「いいよー」
「じゃあちょっと行ってくるね」

妹を残しさっさと組合へ行き、クエストの報告。
ラビット、ウルフ、ディア、ボア、ベアの討伐で合計3300の収入です。
200、400、800、900、1000ですね。
討伐一往復で初級の生産キット分になるのならまあ良いんですかね?
どうせまた行くので、再び同じのを受けてから組合を出ます。
奥はそれなりに敵いたんですよね。

「お待たせ」
「ん、いつもの場所にいるって言うから、南に行きます。まあ近いんだけど」

秋菜に付いてまだ行ったことのない方……大通りから少し外れた南東エリアへ。
これから会う人は恐らくトップ鍛冶師らしい。有名人だとか。
恐らくなのはまあ、ネットゲームだからですね。

「おっちゃん!」
「おう、来たか小娘!」
「私のお姉ちゃんだからよろしく!」
「…………そういう設定か?」
「いや、ガチの方」
「……ああ、例のか」

なんだろう、例のって。
それよりもおっちゃん呼びはやめさせるべきでしょうかね?

「βプレイヤーなら大体が本体セット貰ったの知ってるからね」
「ああ、なるほど……例のね。アナスタシアと申します。よろしくお願いします」
「ええ、よろしくお願いします。エルツと言います。普段は豪快なドワーフRPしているのでどうぞよろしく」

ああ、なるほど。
ではおっちゃん呼びも別に良さそうですね。

「お姉ちゃんキャラ名アナスタシアなんだね……ぶっ込んだね……」
「うん、別にバレないかなって」
「あー……確かに。普通分からないか。私アキリーナだから!」
「そっちは混ぜたのね」
「と言うか姉妹なのにキャラ名今知ったのかよ……」
「お姉ちゃんが人外選んだせいでさっき初めてゲーム内で会ったんだもん……」
「えっ……人間に見えるんだが……」
「これでも現在進行系でお日様に焼かれている不死者系ですよ」
「へー! まじか。あいつらに紹介したいぐらいだな」
「あいつら?」
「おう、βプレイヤーの不死者2人組。霊体系と骨系だ。公式でも変わらずな。結構有名だ。目立つし」
「なるほど、私は特殊進化ですがゾンビ系です」
「ほほう……」
「む、じゃあ私は狩り行ってくるからお姉ちゃんをよろしく!」
「おう。さっさと北を開けてくれ」
「ゴーレムはまだ無理!」

そう言いながら秋菜は走っていった。

ちなみに私の名前は月代 琴音。妹は月代 秋菜。
『ぶっ込んだ』や『混ぜた』の意味は私達には一応名前が2つあるから。
お母さんは日本人だけどお父さんは違う。日本の名前と向こうの名前がある。
私がアナスタシア。妹はカトリーナ。
私はそのまま使い、妹は秋菜とカトリーナを混ぜアキリーナ。
アナスタシアは割りとキャラ名ではメジャーだと思います。だからこそ、逆にバレる事もないかな、と。そもそも向こうの名前を日本では使わないし、知っているのは家族や長い付き合いの友達ぐらい。
そして呼ばれる時もナーシャやスターシャとかなので、アナスタシアと呼ばれるのは逆に新鮮だったりする。日本生まれ、日本育ちだし。
夏休みにお父さんの実家に行ったりする事もあるので、喋れますけどね。


まあ、それはともかくエルツさんです。
種族はドワーフの男。髪は赤黒く、目がオレンジ。勿論髭あり。

「北は鉱山でしたっけ」
「うむ。まだボスのゴーレムが倒されて無くてなぁ。誰か倒してくれねーと流石に生産職には辛いと言うか無理だ!」

エリア解放ボスは誰かが1回でも倒すと、そこは以降ある程度弱体化した敵になるそうで。その代わり初回を倒した人にはボーナスがあるとか公式が言っている。
まだどこも倒されていないので、確認はされていない模様。

「北が開かないと鉄が取れないとかリーナがボヤいてましたね」
「俺もボヤきたい。素材が無いんじゃ作れん」

横の露店に並んでいる1つに目を向ける。

[装備・武器] 青銅のエストック レア:No 品質:B- 耐久:120
  青銅製の駆け出しが使うのに適した細剣。
  刃が無いので突き刺す事しかできない。
  丁寧に制作した事で、性能が少し上がっている。
  製作者:エルツ
  《鑑定 Lv10》
  ATK:△
  攻撃タイプ:刺突
  適応スキル:《細剣》
  《鑑定 Lv20》
  クリティカル発生補正:極小
  クリティカルダメージ補正:極小

おぉ……品質がB-ですか。C以上を始めて見ましたね。私のエクストラ装備は勿論ノーカンです。クリティカルの2つはレイピア系標準搭載のようですね?
エストックは丸く尖っているだけで刃が付いてなく、完全に刺突専用。
当然今の装備と比較表示すると、ATKが赤色の逆三角に。

「とりあえず、フレンドと……リストな」


リストは取引を簡単にする便利な機能。
主に生産職が使用する機能で、素材の買い取りリストの事ですね。
素材名と値段がずらりと並んでおり、本人から貰うことで自分が持っている物が明るく表示され、金額が表示される。
リストを作った本人の近くだとリストからトレードが持ちかけられ、トレード枠にリストから、ワンボタンで全部または選択で乗せられる。
そして、買い取り側もワンボタンでお金がトレード枠に置かれるため、重宝するらしい。
流石にリスト項目の更新は手動だけれど、一度リストを貰いさえすればほぼリアルタイムで品と値段の更新が反映されるらしい。
特売チラシではなく、買い取りチラシですね。
いちいちトレード枠に動かす作業をしなくていいので楽です。


えっと、鍛冶に使えるのはボア皮ぐらいのようですね。

「ディア角って何に使うのでしょう?」
「あれはー……《細工》でアクセだったか?」
「ああ、なるほど。ではボア皮の買い取りをお願いします」
「おう、東の素材は喜んで買うぞ」

ボア皮3個が単価2000で6000になりました。美味しいですね。
今までの収入を考えると明らかに高い気がしますが、それだけ需要があるのでしょう。本職がそれでいいと言うのですから、特に言うことはありませんね。
どうせ加工して売れば元は取れるんでしょうから。生産職ってそういう者ですし。
ああ、せっかくお金が入ったのですからあれも……。

「鍛冶って解体ナイフも作れますか?」
「ああ、作れるぞ。ただ現状NPC品と大差ないからわざわざ作らないな」
「という事は、後々作ることになるわけですね」
「なるだろうな。一応確認で1個は作ってるし。あれちゃっかり耐久あるから、壊す前に持ってこいよ。直した方が安いからな」
「そう言えばありましたね。分かりました。ツルハシはありますか?」
「勿論あるぞ」

[道具] 青銅のツルハシ レア:No 品質:B- 耐久:120
  青銅で作られた鉱石を掘るための道具。
  丁寧に制作した事で、扱いやすく丈夫になっている。
  製作者:エルツ

「1500だな」
「ではとりあえず1つ」
「おう、まいど。鍛冶でもやるのか?」
「いえ、採掘ポイントがあったら掘りたいだけです」
「売るならうちによろしく! やっぱ常連は欲しいよな。ところで、戦闘的にはどうなんだ? ボア皮まだ取れるなら頼みたいんだが」
「ええ、構いませんよ。また行くつもりなので出たら持ってきます」
「頼んだ。他に売りたい素材あるなら生産者紹介するぞ?」
「食材と錬金素材以外なら大体売れますが……まだ東の森しか行ってないので、売るのもこれと言って無いんですよね」
「《料理》と《錬金》持ってるのか」
「《料理》はリアルでもするので。《錬金》はロマンで取りました」
「なるほどな。どっちも趣味スキル扱いされてるが……ま、楽しけりゃいいわな。どう派生するかもまだ分かってないんだし」
「はい。その時の気分で何するか決めます」
「それがいい。ああ、味次第では料理なら買うやついると思うぞ。簡単に手に入る分、携帯食料は不味いからなぁ……」
「自分で作るほどではないけど、あるなら買うって感じですか」
「だな。スキルポイントの問題もあるし、携帯食料はそんな高くない。よって皆取らないわけだな。まあでも、料理人ギルド作ろうとしている者もいるだろ!」

このゲームもギルドやユニオンと呼ばれるチームが作れる。
ゲーム内が冒険者ギルドではなく冒険者組合になっているのは、組合でチームとしてギルドを立ち上げるから……らしいですよ。
組合からギルドへのギルドクエスト的なのもあるんじゃないですかね?
ギルドハウスと言うハウジングシステムもある。勿論ギルドではなく、個人的に所有する事も可能です。お金さえあれば。
いずれ欲しい……かなぁ? とか思わなくもないぐらいですね。正直生産拠点としか使わないと思いますが、ハウジングの生産系施設がいくらするやら。


素材を売ったり、立ち話をしていたら空が赤く染まり始めました。

「む、夕方が来たか……奴らも出てきそうだな」
「奴ら?」
「βの不死者2人だ」
「ああ、確かにお日様ダメージが減ったようですね。痛みの感覚が減りました」
「……難儀なもんだな」
「お日様に当たるだけで自動回復が育てられるので、悪くありませんよ」
「あー、奴らも言ってたなぁ。昼間は自動回復育てられるから、それはそれで悪くないって……」
「普通に上げようとすると面倒ですからね。外に出れるようになれば後は普通にしてるだけで勝手に上がりますし…………お、上がってる」
「自動回復系って確か、毎秒だけど固定値だったか」
「ポーションが使えない変わりに種族スキルで自動回復系ですね」

どちらがいいかというと、どっこいどっこいでしょうね。
ポーションという消耗品を買わなくていいけど、大ダメージからの復帰が難しい。
逆に大ダメージさえ受けなければほぼHP満タンを保てる。
ポーションが無くなったからと補充しに街に帰る必要もない。
格下にはとことん強いけど、大ダメージを受けやすい格上には工夫が必要ですね。

せっかくなのでエルツさんが作った武器を見ながら話していると、後ろから金属の擦れる音と、カタカタと言う音がしてきた。

「おうお前ら!」
「やあやあエルツ」
「装備できてる?」
「おう、来るだろうと待ってたぞ」

杖を持ってるスケルトンの人と、リビングアーマーの人がやって来た。
リビングアーマーは動く鎧。中身は空洞なのかな?
スケルトンの人はファンタジーでよく見る骨なのですが、骨の色が赤いですね。スケルトンの上位種でしょう。

「これが言われたバスタードソードな」
「どれどれ……」

周囲を確認してから何回か振っている。

「うん、いいね」
「おう、盾がこれな」
「どれ……うん、問題なく持てそう」

リビングアーマーがバスタードソードにタワーシールドですか。
完全にタンクですね。と言うか、かっこいいですね。
本来フルプレートはこのゲームだと重すぎてまともに動けないらしいですが……元がフルプレートなリビングアーマーには関係ないですね。自前ですから。

「で、お前達に紹介したい人がいるんだ」
「僕達に?」
「おう、そこの嬢さんな。例の姉ちゃんだと」
「ご機嫌よう」
「「「おぉー……」」」

せっかくなのでアシストに従い、カーテシーでご挨拶を。

「え、プレイヤーだよね?」
「例の姉ちゃんって……ああ、アキリーナさんの?」
「んだんだ。ちょっと前連れてきて置いて狩りに行ったよ」
「なるほど。アルフレートです。見ての通りタンクのリビングアーマーです」
「ほねほねって言うんだー。見ての通り魔法系のスケルトン!」
「アナスタシアです。これでもゾンビ系になります」
「「まじ!?」」
「はい」

んー……妹に聞いた方が早そうですね。

『リーナ、今平気?』
『おー、なにー?』
『今アルフレートさんとほねほねさんに会ったんだけど、3人は信用できる?』
『アルフさんにスケさんにおっちゃんの3人なら問題ない。口堅いよ。いい人達』
『そう、分かった』
『内緒話ならPT組んでPTチャットにしないと意味無いからねー』
『うん、そうする』

会ったばかりの私より、付き合い長い妹の判断の方が良いでしょう。

「妹のお墨付きがあったので、一部ステータスを見せますね」
「お、まじか」
「良いのかい?」
「まあ種族とかだけなので」

アルフレートさん、ほねほねさん、エルツさんの3人をPTに誘う。
そして、ステータスの上の方だけをPTで共有表示にさせる……と。

名前:アナスタシア
種族:不死者の王女イモータルプリンセス 女 Lv11
属性:闇
属:高位不死者
科:ロイヤルゾンビ

「高位不死者!?」
「ロイヤルゾンビで笑う」
「これ、特殊進化では? 見せて良かったの?」
「妹に聞いたら3人は口堅いと言いますから。それに、もしかしたら長い付き合いになりそうですからね」
「うん? ねえアルフ、なんかバフ付いてない?」
「え? ほんとだ、なんだこのマーク?」
「俺も付いてるな、統率系か?」
「そうですね。私の種族スキルでステータスが上がってるのかと」
「種族スキルの方なのか!」
「あ、もしかしてプリンセス……姫様だからでは?」
「あり得るねー。王家と言えば統率系上位持ってそう」
「えっと……この2つです」

《不死者の王族》
  PTにいる不死者をスキルレベルに応じて全ステータスを強化。
  不死者の敵から受けるダメージがスキルレベルに応じて減少する。
《王家の権威》
  リーダーの時、メンバーの全ステータスを強化。
  上昇率はスキルレベルとパーティーの規模により変動。

「なるほど、間違いなく権威の方は統率系上位だな」
「両方種族固有っぽいなぁ」
「不死者専用か。正直僕達ぐらいしか恩恵ないね?」
「不死者系人気ないからな……」
「と言うか、人外系は悪魔系かもふもふ系が人気過ぎるな」
「皆さんエクストラ種族は知っていますか?」
「「「なにそれ」」」

やっぱり知らないんですね。
ヘルプにも新たに追加されていましたし、初期では分からないのでしょう。
私が教えるより私のヘルプ枠を見せた方が早そうですね。

「「まじか!?」」
「ほう、こんなのが……」
「「め、めちゃくちゃ知りたい……!」」
「ご法度だぞ?」
「「ぐぬぬ……!」」
「と言うより、教えようがないんですよね」
「そうなのか?」
「私の不死者の王女イモータルプリンセスは私だけです。進化先開放のキーアイテムがもう手に入らないんですよ。そもそもリビングアーマーで王女ルートは無理ありますしね。なので他のを探す必要があると思います」
「『それなりの数種類がある』って書いてあるもんね」
「はい。私は種族スタートのカタコンベ、隠し部屋にキーアイテムがありました。お二人も種族スタート位置が分かるならそこを調べてみるのもありだと思いますが、あるとは限りません」
「しかし、こんな重要な情報良いのかい?」
「私はもうたまたまなりましたので、構わないでしょう。不利にはなりません。もう焦る必要も無いので」
「そっか、そもそも被る可能性が無いんだもんね」
「はい。それなら人外仲間かつ、妹の知り合い、更に不死者仲間と言う事で」
「よし、探すか」
「うん、探そうか」
「ああ、それと。私のこの装備みたいにエクストラ装備がある可能性もあるので、隅々まで探すといいですよ」
「気になってはいたが、エクストラ装備何かもあるのか」
「性能には幅があるようですが、壊れないですし落としませんから安心です」

エクストラ装備のヘルプも見せておきましょう。

「ふむ、なるほどな。まあ早々あるもんじゃないだろうから、廃業は無さそうだ」
「これ以上教えることはありませんが……キーアイテムを入手する時、システムに体の制御を奪われたので、もしかしたら他もそうかもしれません」
「ふむぅ……」
「まあ、とりあえずフレンド……よろしく」
「よろしく! 我らが姫様!」
「よろしくお願いしますね」

よし、これで情報はなんとかなりそうですね。有名らしいですし、2人が見つけ次第掲示板にでも出してもらいましょうか。対応面倒ですし。

ではそろそろ狩りにでも行きましょうかねぇ?

「じゃあ早速探してくる」
「うん、探してくる」
「私は東に狩りにでも行ってきます」
「おう!」


PTを解散したらエルツさんの露店を後にして、東の平原でラビットとウルフの討伐を済ませてから森へと入る。
夕方から夜へと切り替わり光源は月明かりしか無いけれど、私は暗視を持っているので影響はありません。
不死者の持つ暗視とスキルの《暗視》は性能が違うようで、不死者が持つ方が遥かに優れているようです。元々夜の住民ですからね。

今日は寝るまで東の森を彷徨う事にしましょう。
夕食は森のセーフティーエリアでログアウトすればいいですし。
ギルドの討伐依頼は街に帰ったら報告して更新するぐらいでしょうか。素材売った方がお金になりますし、数匹倒す度に戻るのは面倒です。

では、寝るまで狩りましょうか。
狩るだけでは火力的に単純作業になってしまうので、せっかくゾンビと違ってよく動くのですから、魔法での先制をせずに近接のみなどもしてみましょう。
魔法もあげたいので半々ぐらいでしょうかね。
足の動きや、どうした方が戦いやすいのか色々研究してみましょう。せっかくのダイブ型なのですから、その方が面白いでしょう。

ボアやベアの突進を正面から受け止めるのは流石に辛いものがありますね。
逆に、受け流すのは非常に楽です。これがステータス差でしょうか。


せっかくなので《闇のオーラ》も検証しました。
あれ接触の度に判定と、接触している間の蓄積判定がある模様。侵食ですかね?
毒、呪い、衰弱の効果があるわけですが、私にどこかしらが触れるとオーラが纏わり付き確率で状態異常になるようですね。
ただ、触れるだけでは毒にはなりづらいようで、剣で斬るとなりやすい感じです。恐らく傷口感染的なあれだと思うのですが。

毒はよくある継続ダメージですね。
呪いは回復アイテムの効果を減少させます。
衰弱は全ステータスの低下を引き起こす。
どれも厄介な効果です。

こっちが近接攻撃を防御するだけで接触判定入るので、PvPは衰弱6とかになったらとどめ刺すとかでも良さそうですよね。
防ぎながら魔法で攻撃するぐらいでしょうか。



〈種族レベルが上がりました〉
〈《刀剣》がレベル15になりました〉
〈《刀剣》のアーツ【斬鉄剣】を取得しました〉
〈《防御》がレベル15になりました〉
〈《防御》のアーツ【マジックガード】を取得しました〉
〈《受け流し》がレベル15になりました〉
〈《受け流し》のアーツ【マジックパリィ】を取得しました〉
〈《闇のオーラ》がレベル10になりました。効果が上昇します〉


【斬鉄剣】はよくある防御力無視の攻撃ですね。
【マジックガード】と【マジックパリィ】は魔法を防ぐのと逸らすアーツ。
単体は【マジックパリィ】で範囲魔法は【マジックガード】で耐える方向でしょう。
《闇のオーラ》は状態異常強度が2になったようですね。

まだまだ初期の基本スキル達なので、どんどん上がりますね。美味しいです。
今日狩りしてて誰にも会ってないので、セーフティーエリアで軽く体幹トレーニングしちゃいましょうか。
そしたらログアウトして、リアルでもやったらおやすみなさい。

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