王女は尻から魔石を生み、聖女のおしっこは聖水に ~エロいけどエロくない、変態達が織り成すラブコメ~

夕月かなで

04 変態一家でも別にいっか(諦め)

 変態な婚約者二人は、現在俺の実家にて住んでいる。
 王女と聖女がそれでいいのか、王城と教会に戻らなくていいのかとも思ったのだが、王様と教皇様に土下座で世話を頼まれたので仕方がない。
 あの二人、最高権力者の癖に滅茶苦茶泣いて頼んできたからな。
 苦労してきたんだな……、分かるけど俺に押し付けるな。

 ノエルにパンツを履かせて、授業でサーラがアホ丸出しの回答を自信満々に答え、なんとか今日も学校を終えた。
 しかし俺にとってはここからも本番だ。
 なんて言ったって、家に帰れば騒がしいのが三人も増えるのだから。

「アーくんおかえり」
「ただいまアイナ」
兄様!あにさま 今日も剣のご教授を!」
「後でなリリカ」

 俺の家族構成は、今は亡き父と四十路なのに二十代にしか見えない母、後姉と妹がいる。
 アイナとリリカは俺と同じ黒髪で、アイナは毎朝頑張って髪を跳ねるようにカールさせている。
 一度髪型を縦ロールにしたことがあったが、サーラが土下座して止めさせてた。
 王女様の立つ瀬がないとか言ってたが大丈夫だぞ、排泄王女には元々ないから。

 リリカは騎士を志している為、ボーイッシュな短い髪型をしている。
 小柄で体力も無いので心配しているが、やる気はあるので俺が鍛えている。
 小柄だが俺の知っている中で一番大きいお胸の持ち主だ。
 鍛錬するときは揺れが気になって仕方がないので、キツく布を巻かせている。
 ……それでも揺れるが。

「ただいまー!」
「今帰りましたわ」
「おかえりサーちゃんにノエちゃん」
「おかえりなさいサーラさん、ノエルさん」

 婚約者二人も俺の家族と仲が良いので、まるで四人姉妹を見ている気分になる。

「あれれ? お母さんも入れて五人姉妹にしてくれないの?」
「地の文を読むな。ただいま、母さん」
「おかえりアスタちゃん。サーラちゃんにノエルちゃんもおかえり」
「ただ今帰りましたわ、お義母さま」
「ただいまお義母さん」

 母であるカナタは、美魔女だ。
 言葉の通り、見た目は二十歳くらいの魔女だ。
 中身は四十

「ねぇアスタちゃん。ちょっとお母さんとお話しよっか?」

 ……中身も二十歳くらいだと思う。



「ねぇアーくん。リリカの鍛錬の後、いつものお願いね?」
「……善処する」
「部屋で待ってるからね」
「……分かったよ、行くから。行くから抱きつくな」
「むっ!」
「あっ躓きましたわ!」
「お前らも抱きついてくるなうっとおしい!!」

 いつの間にか音も無く、母さんまで抱きついてやがる。
 しかも腰の前に。
 変なことされない内にさっさと退散が吉だな。

「アイナ、それ以上抱きついてるなら手伝わないぞ」
「離れるわね」

「サーラ、夕飯抜きに」
「離れますわ!」

「母さん、父さんが泣くぞ」
「死んじゃったあの人は悪いけど、あの人より逞しいんだもの」
「何処見て言ってるクソババア」
「酷い!! お母さんはアスタちゃんのことを思って!」
「そういえば王様が母さんのことを、年増って言ってたぞ」
「あら、お母さん用事思い出しちゃったわ。ちょっと行ってくるわね」

「ノエル」
「どうしたの?」
「離れろ」
「やーだっ」
「せいっ!」
「なんで私だけ力づくなのぉ!?」

 リビングの床に背負い投げされたノエルを放置して、リリカと共に庭へと出る。
 ノエル? カーペットだから大丈夫だろ。
 王様? あれは事実だから因果応報だ。

「さぁ兄様! 今日も鍛錬お願いします!」
「おう。……なんというか、お前だけが癒しだよ」
「?」
「それでいい、リリカはそのままで居てくれ」
「よく分かりませんけど、分かりました!!」

 無邪気な笑顔、無垢な瞳、この薄汚れた家族の中に天使がいて良かった。
 本当に、本当に良かった。

「どうしたのですか兄様!? 何処か具合でも!」
「大丈夫だ、これは嬉し涙だ」
「いきなりですか!?」
「よしリリカ、鍛錬を始めようか」
「はい! よろしくお願いします!!」



「はぁ、はぁ、んっ、んあぁ、ふっ、はぁ。ま、まだやれます!」
「そうか。リリカは根性があるな」
「騎士にぃ、はぁはぁ、なるんですからっ、当然です!」
「よし、来い!」

 母さんの知り合いの魔女によると、リリカの身体は殆どの栄養が胸にいっているらしい。
 その為筋肉もなかなか付かず、体力も女の子の中で低い方だ。
 正直な話、リリカは騎士に向いていないだろう。
 身体を動かさない仕事の方がいいはずだ。
 でも俺は、彼女の夢を壊すわけにはいかない。

 俺はリリカの、兄なのだから!!

「んふぅ、ん、はぁ、はぁん、も、もぅ、駄目ぇ、ですぅ」

 リリカは体力を消耗すると、独特な呼吸になる。
 汗だくの身体と艶のある吐息がなんとも扇情的で……。

「何考えとるんじゃ俺はぁぁぁぁ!!」
「兄様っ!?」

 家の壁に頭を強く打ちつける。
 くそ、ノエル達のせいで俺の思考までおかしくなっちまったのか?
 リリカは妹だ、俺がそんな目を向けてはいけない!!

「ん、はぁ、んくっ、はぁはぁ」
「うおおおおおおおおおおお!!」
「兄様ぁっ!? どうしたんですか!?」

 俺は走り出した。
 家の門を出て、街中を走り抜ける。
 街門を高速で駆け抜け、騎士達も呆然としている。
 そのまま森を駆け抜け、俺に気付かないままのゴブリンを木刀で叩き斬って駆け抜ける。
 山を上り、谷を降り、途中で煩かったドラゴンも木刀で叩き斬る。
 そして俺は一際でかい山の上に辿り着き、大声で叫ぶのだ。

「なんで、なんでそんなに!!!」

「リリカの吐息がエロいんだよぉおおおおおおおおおおおお!!!!」



「あ、兄様。おかえりなさい」
「ただいま、リリカ」
「突然出て行かれたのでびっくりしました。何かあったのですか?」
「ああ、ちょっとな。ほら、お土産だぞ」
「そ、それってもしかして」
「ドラゴンの鱗だ」
「本当に兄様は何をしてきたんですか!?」

 その後、王国騎士団長クラスしか持ってないであろうドラゴンの剣をプレゼントしてあげた。
 諸手を挙げて喜ぶ姿を見て、ちゃんと兄の仕事ができて良かったと思う。
 進路にいたドラゴンを拳一発で屠って本当に良かった。

 でも、喜び飛び跳ねるリリカと。
 その大きく揺れるお胸様を見て。
 また俺は、走り出すのだ。
 次は虎でも狩ってくるか。

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