虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
続探索イベント その08
裏技的な移動手段は、謎空間に繋がっているため失敗する。
いくつもの『プログレス』が、それにより失敗していることを確認した。
ドアを潜るためには、鍵を開けるという真面な方法を取る必要がある。
ゆえに、俺が売るのは──ピッキングツールとなった。
「まあ、種類が多くても困るしな。スライムベースに作って、魔力を流すことで形状が変化するようにしておこうか」
毎度お馴染み、:DIY:スキルを駆動。
能力値が全開になり、ついでに職業由来の思考系スキルで若干の思考加速。
効果基準が能力値であるため、無限の数値が無尽蔵に脳を加速させてくれる。
……まあ、スキルの方に制限があるので、延々と早められるわけではないのだが。
「参考にするのは『万能開錠の鍵』、術式の一部を劣化させたり限定化させることで常用できないようにしておくわけだ」
自分のアイテムを壊す、という特殊過ぎる『プログレス:トラッシュクラッシュ』。
これを魔道具として組み込んでおけば、一度使うだけで自壊させられる。
「その辺は適当に……よし、完成っと」
前回と同じ仕様だったので、罠として設置されていたスライムを素材に使えた。
それを用いて加工し、出来上がったのは棒状のメモリー。
「魔力を流せばこんな風に、光っているからその間に鍵穴に差し込む。そうすれば、このように……鍵穴にフィットした鍵になって、自動的に鍵を開けてくれるっと──ただし、使えばそれだけで一発で壊れるわけだ」
《とても良いですね。惜しむらくは、魔力式の鍵としては用いられないことですね》
「まあ、完全に楽をするのはいけないだろ。これで全部を開けられないからこそ、きちんと必要な謎解きはしてくれるはずだ」
たとえばタイムアタック、少なくとも初級のメインエリアにはいくつも魔力式ではない物理的な鍵が存在していた。
中級以降がどうなっているか、それは定かではないがまったく無いわけでは無いはず。
とりあえずは、初級をクリアしていない者たちへのお助けアイテムぐらいでいい。
「どうだ『SEBAS』、売れるか?」
《はい、間違いなく……付け加えると、その仕組みを調べようとする者も、参考にしようとする者もそれなりに買うでしょう》
「ははっ、そりゃあいいな。できるなら、ぜひともやってほしい物だ」
自壊する『プログレス』、それを防ぐことができる自信があるうえで、職人としての腕も良いならば可能かもしれない。
すべての『プログレス』を扱えても、他の要素との組み合わせを俺は把握できていないので、成功例があるというならばぜひとも知りたいものだ。
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