虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
続探索イベント その02
イベントエリア 待機場所
タクマがその情報を事前に集めて来てくれた探索イベント。
その内容は至ってシンプル、閉じ込められた建物内から出るという物。
ただそこにさまざまな要素が加わり、いわゆる脱出ゲームにもなっている。
すでに一度開催されているのだが、謎解き要素やら若干のバトル要素も含まれていた。
「……今回は静かで何よりだ」
事前に設定を済ませておくことで、今回は初期地点を個人用の場所にしてくれている。
これは前回、俺がジンリの手の者と派手にバトルしたのも理由に含まれているらしい。
もともと、前回も一番最初はこの場所で始まり脱出の基礎を学ぶことになっていた。
前回参加した者は、それが免除となり続きから楽しむことができるようだ。
「ふむふむ……前回の集団用のエリアに行きたいなら『集会場の鍵』、元の世界に戻りたいなら『退界の鍵』を使えばいいと。それ以外の移動手段は、獲得した鍵を使うことでそのままステージに移動可能だと」
《ある程度のリアル性を再現するより、休人の自由さを選んだようですね》
「俺は大助かりだから別にいいよ。さて、俺もどこか行くとしようかな」
前回のプレイはかなり特殊で、本来行くことができる上級までを巡るよりも初級の新エリアの開拓にばかり手を付けていた。
結果、上級で同じようなことを繰り返すよりも初級ではあるが隠し要素を見つけている俺の方がポイントを稼ぐ……なんて自体が起きていたのだ。
しかしながら、そのやり方は今回もできるとは思わない。
俺のやり方は知る人には知られているし、前回より未開放の要素が少ないからだ。
「ここで大人しくしているのは論外だけど。情報収集のために外に出たら、それこそジンリの関係者にまた襲われそうだ」
ジンリ、それは俺がもともと別のオンゲーで作った組織を束ねていた副代表。
実質的なトップだった彼は、あれやこれやと俺をトップに仕立てようとしている。
彼なりの目的や主張はあるだろうが、俺にとって重要なのは家族の平穏。
そちらに手を尽くす以上、できることはないと断ったはずなのだがな。
「また、来るよな?」
《こういった仕様になった以上、あまり手は出してこないでしょう……しかし、だからこそ旦那様が動くと読んでいるはずです》
「……だよなー、アイツそういう読みが鋭いから困るんだよ」
そう、俺は一度ぐらいは集会場に行くつもりで居たのだ。
──なぜなら今回、アイテムの持ち込みについて正式な情報があったから。
「便利グッズを売って、多くの攻略者たちの支援をする……家族に褒められるぞぉ」
《はい、間違いございません》
──浅い? そんなことは関係ない。
すべての行いは家族に通ずる、そんなこんなでイベントをやっていこう!
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