虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
続探索イベント その01
実を言うと、イベントの情報は公式サイトよりも早くどこかに流れているらしい。
休人が会話の中から得る場合もあれば、普通にSNSに上がることもあるんだとか。
生産ギルドの面倒な事情を聴いた翌日、仕事帰りの拓真からいつものように情報を聞いている……何やら不敵な笑みを浮かべているつもりのようだ。
「──そうして得た情報を、わざわざ無償で教えてやっているんだからな。ガセネタを選別して、確実な情報を提供している俺にたまには感謝してくれてもいいんだぞ。具体的にはほら、お前の家に──」
「……おいおい、俺が不審者を家に招くわけ無いだろう? 何より、そんなことしたらお前ともども俺もどこかで事故に巻き込まれるだろう」
「くっ、あの人の運が今は恨めしい!」
軽口を言い合える仲である拓真は、我が家がどういう場所なのか知っているのでこれ以上は深掘りしない……もちろん、うちの家族的には歓迎ムードなんだがな。
ただまあ、あの時はタイミングが悪かったのだ。
少々揉めていた結果、仲裁役を買って出たはずの拓真がいろいろと悲惨なことに。
ずぶ濡れになった彼に、さすがに俺も瑠璃も必死になって謝った。
……後日いいことがあったのか、なぜかこちらがお礼を言われてしまったものだ。
「で、今回のイベントは何なんだ?」
「ふっふっふ……ずばり、探索イベントの第二弾だ! 前回は行けなかった超級のエリアに加えて、上級までのステージにも新要素が追加されたらしい」
「…………うーん」
「そういえば、お前はジンリ関係の連中に追われてたんだっけ? さすがに目に余ったのか運営も対応してくれたみたいだぞ……というか、探索要素ガン無視でバトルなんてしているから、さすがに対応したんだろう」
なるほど、それはいい情報だ。
どうやらSNSの方に、『PvP要素は今回は無し(笑)』といった内容が出ていたそうだ……バッチリ見られていたようだな。
謎解きとして軽い戦闘はあっても、さすがに休人同士で戦わせることを目的とはしていないイベントなわけだし。
「まだ事前情報な分、イベント内容自体は公開されて無いけどな。まっ、いろいろと見つけていたお前には、今回も期待させてもらうぞ……割と高く売れたぞ」
「……まあ、俺だという情報さえ出さないなら、別に良いんだが」
謎を見つけるとうちの家族が褒めてくれる以上、やらないという選択肢は無い。
前回から修正点はいくつかありそうだが、持ち込めそうな物を作って待っておこう。
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