虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

神風 後篇



 タクマの所で、【神風兵】に関する情報を調べてみることに。
 途中、飛行機の話などをしてその情報をプレゼントしたりして──【神風兵】を知る。

「基本的に、だいぶ過去の情報だけだな。あるいは、遺跡で出土するような機械付きのアイテムでようやくか……」

 俺の知る限り、現在の機械技術で最新のモノを有しているのは『機械皇』だ。
 現代風の機械からファンタジー的な機械まで、多くの機械に精通している。

 だが、その技術を表沙汰にはしていないため、冒険世界全体で言えば現在の機械技術はさして高くはない……最近は、休人が来て少しずつ発展しているけども。

 例外的にこの暗躍街や遺跡など、神代の技術で保存されていた機械などは残っている。
 そこからある程度技術を学んでいたからこそ、休人たちが機械を作る場があった。

「しかしまあ……全員悲劇的な死だな」

「そりゃあまあ、普通に就くならもっといい空系の職業があるんだからな。どうしても時間が無い、短期的に力を付けてすぐに戦いたい……みたいなヤツしか使わんだろ」

 そもそも、攻撃に全性能を特化させたような職業なのだ。
 最上位職のみが持つ、極秘奥義という特殊な能力も就いた直後に使える特殊仕様。

 ……まあその能力が、ほぼ100%死で終わるのだから笑えない。
 詳細は説明しないが、まさに『KAMIKAZE』といった内容だ。

「それで、就くのか? わざわざ聞きに来たぐらいだ、どうせいつもみたいに変なことをして条件を満たしたんだろう? 試練の内容もいちおう分かってるぞ」

「就く気は無いし、俺の職業は特殊仕様だから条件を全部満たせば試練が不要だから別にいいんだが……まあ、内容だけは聞いておいておこうか」

「……チート野郎め。まあいい、試練の内容はノーダメ撃墜。試練用に用意された超高速で動き回る反撃機能付きの的を、一定時間内に一定距離内で破壊することだ」

「…………何それ、難易度高過ぎだろ」

 一番面倒なのは一定距離内、つまり遠くから狙撃で楽々クリアは不可能となる。
 ノーダメなのはまあいい、スペックは確認したが本当に防御は考えてない仕様だし。

「クリアできるかどうかで言えば……まあ、できるだろうな。最近は『プログレス』で試練を楽々クリア、みたいなのも誰かやってくれそうだし」

「実際、そういう話はあるぞ。普通なら無理難題なところを、『プログレス』でごり押ししてクリアしたってヤツ」

「まあ、俺としてはその分『プログレス』も成長してくれるだろうから、都合がいいんだけどな」

「……俺は分かっているからいいけど、他の奴が聞いたらブチ切れそうだな」

 付き合いの長いタクマだからこそ、平然と聞いているが。
 役立つゲームシステムだと思ったそれが、個人所有の技術だと知ったら……揉めるな。


「虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く