虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
天空攻防 その12
宇宙付近まで上げられていた俺も、どうにか地上に辿り着けた。
また、『SEBAS』の活躍により魔道具の仕様も可能に。
妖刀[宿業]も使えるし、これで抜かることは無い。
アイテムを[インベントリ]から取り出しつつ、追い付いた『飛武』に声を掛ける。
「──どうでしょう、ここいらでお開きということにしては?」
「何をバカなことを。こちらとて、正当な依頼を受けている身。悪いが、もう一度大人しく宙へ逝け」
「依頼人……というよりか、依頼者に関して心当たりがありますので言わなくても結構ですけども。さて、一つ確認を。追い返した場合、貴方はまたここに来ますか?」
「……一度切りだ」
俺を殺すことが合法化されているのだが、いろいろと制約が設けられているようで。
その一つが、同じ者が俺を殺す目的で何度も来ることができない点。
二度目以降は、『騎士王』も動いて違法者としての対処をしてもらえる。
さすがにそこまでして、俺を殺そうとする者も居ないだろう。
「ところで、その報酬とは? まさか、無償で私を殺しに来た……などと仰るわけでは無いでしょうね」
「それを言わんこともまた、受ける条件の一つになっている」
「……都合がいいですね、それ。まあ、やり方次第で勝手に把握できますので構いませんよ。さて、再び戦いましょう」
「──それでこそ、だ」
高い位置から、あるいは高い位置で攻撃する際の威力が上がる【飛闘王】。
そして理屈は謎だが、無敵状態などを無効化して干渉できる権能『飛武』。
前者の力は地上に居る今ほぼ皆無、せいぜい攻撃前に自身で飛ぶぐらいだろう。
問題は後者、非力な俺では触れられるだけで抵抗も虚しく浮いてしまうはず。
翼を一度はばたかせ、地面を蹴り上げて移動を行う『飛武』。
対する俺は妖刀[宿業]を構え、体の操作権を『SEBAS』に委ねる。
必要最低限、超虚弱スペックでも可能な動きで振るわれる攻撃を捌いていく。
その際風圧で何度も死んでいるが、今回の相手は無敵時間を無意味と化す。
だがどうやら、間接的に発生した影響は俺にダメージを発生させないようだ。
風圧で死んでも、無敵時間中は死なないことを確認しながら回避を続ける。
「どうした、先ほどの威勢は逃げるためのものだったのか!」
「そんなはずありませんよ。今もまた、反撃の機会を窺っているのです」
俺が死ぬ際のリソース散布を、[宿業]がすべて喰らっていた。
自らに蓄え、ナニカを召喚する際の燃料にしてくれるのだろう。
つまり、死ねば死ぬほど強力な存在を長時間出すことができる。
……時間は俺の味方だ、問題は相手がどこまで粘るかという話だな。
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