虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
称号獲得成果 中篇
再生した固有種のアイテムは、元【魔王】四天王の一人カルルにプレゼントした。
……この娘もこの娘で、いろいろと困難な運命を背負っているからな。
「さて、[称号]の確認なんだが……かなりの量が手に入ったな。意図している分、劣化はしているみたいだが──それでも、世間一般からすれば立派な偉業だ」
固有種相手に単独で時間を稼ぎ、誰一人として仲間を失うことなく逃がす。
そのうえでノーダメージ(1からある意味減っていない)状態で、勝利する。
ある種、英雄染みた行いではないか。
……まあ、普段からやっている気もしないでも無いが、やはり意識して行うことにより獲得しやすくなっていたのだろう。
「『決死の守護者』やら『死地の担い手』、他にも『起死回生』なんてのもあるな……そのほとんどに『・劣』が付いているけど」
一部、タクマも情報を把握していなかった[称号]があり、それらに関しては劣化を免れていたようだ。
他にもいろいろと獲得しており、だいたいの[称号]に『生』か『死』という字が組み込まれている。
《劣化していない[称号]に関しては、強大過ぎる相手との対峙を条件に設定されていたからでしょう。[エクリエンド]は紛い物とはいえ固有種、単独で残り圧倒するというのはさまざまな観点から困難かと》
「…………まあ、休人だとそうなるか」
死んでも死なない、つまり何度でも挑める休人なので前提条件である強い個体との勝負自体はまだあるだろう……が、特典は基本的に一人にのみ与えられる代物。
要するに、パーティー単位で挑んでも手に入れられる者は独りだけ。
そんな相手に独りだけ残り、勝利すれば誰がそれを手に入れるのかなどすぐ分かる。
つまり、逃げるなら全員だし倒そうとするのもまた全員だ。
今回は全員が協力者だったうえ、そう苦労しても意味の無いものだったからできた。
……再生個体は準備さえ整えれば、無尽蔵に準備できるからな。
ただし、元が唯一無二の固有種であるため現存できるのは一種に付き一体までだが。
閑話休題
そして何より、これから彼らもまた固有種の再生個体を討伐する予定なのだ。
今度は先ほどとは逆、俺が逃げて代わりに倒してもらうパターンである。
マイナスな[称号]も手に入るのだが、それでもプラスなものが含まれていた。
たとえば『死地からの生還者』、という相手が強い時の逃亡率向上なんてものも。
なお、この文面『相手が強い時』というのがかなりの曲者。
レベル差判定だけでなく、能力値の合計や保有する能力なども加味しているようだ。
「……つまりこれ、そういう擬態をしてくる個体も居るってことだし、その擬態も含めて全部を管理しているってことでもあるんだよな。ハァ、全部見られているんだなー」
固有種には『超越種』や『災凶種』という絶対のカテゴリーだけでなく、討伐レベル的な区分も存在する。
それらは何を以って決められているのか。
人ではない、世界が──システムが認定している……多少は隠す努力もするが、やはり限度がありそうだ。
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